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side 石田先生 ラブラ・ドール 初めての戦闘

 ラケシスと共に、魔王の城らしき場所へ向けて旅立つ。

、レベルを上げる為にモンスターを探しているけど、見通しの良い道にはいないみたい。



 「ラケシス、モンスターを倒したいんだけど、人の通る道には現れないの?」

 「モンスターは必ず人を襲うが、生存本能が無い訳では無い。

  目立つ所では人に襲われる為、人気の少ない所に身を潜めているはずだ」


 「そうかぁ。

  それじゃあ迷わない程度にモンスターの居そうな場所を探して行こう」



 少し道を外れ、沼地の広がるルートを選んで突き進む。


 

 変な泣き声が聞こえる。

 グオオオっと低い唸り声で、獰猛そうな野生動物がいるのかと思うと足が(すく)む。



 ラケシスが、「気を付けて」と私に注意を促し、警戒する方向を見ると、大きな蛙のモンスターが佇んでいる……


 

 何あれ?

 大型犬と同じくらい大きいし、口も人を丸呑み出来そうなくらい大きい。

 あんなのがいきなりダイブして来たら卒倒しちゃうわね。


 

 「勇者殿」

 「ごめん、名前言ってなかった。

  私はラブラ・ドール。

  これからはラブラって呼んでね」

 「承知した。

  ラブラ殿、あの程度のモンスターであれば私一人でも問題無い。

  だが、沼地は奴等の巣も同然だ。

  仲間を呼ぶようなら加勢して貰いたい」

 「分かったわ!

  任せて!」



 ラケシスが素早く駆け出し、水を跳ねながら蛙の方へ一直線に向かう。

 それに気が付いた蛙が水の弾をラケシス目掛けて飛ばしているけど、それをラケシスは軽く躱し、そのまま駆け抜ける様に剣を手にした腕を突き出した。



 それを見た私は唖然(あぜん)としてしまい、これが現実なのだと言う実感が湧かない。

 現実離れした巨大な蛙もそうだけど、ラケシスの動きは早すぎる。


 

 これが異世界か……



 そんな事を脳裏に浮かべて居る間に、いつの間にかラケシスの周囲に身を潜めていた蛙達が姿を現した!

 いきなり四匹もいるなんて!


 

 何をしていいのか分からないけど、とりあえずホーリーアローで攻撃をすると、蛙の一匹を打ち抜き、倒す事が出来た!

 一撃で倒せるのなら余裕!



 ラケシスもあっと言う間に残りの三匹を切り裂き、蛙を倒すと、突然私の方を見て「ラブラ殿!」と叫んだので、振り返ると蛙が私に向けて水の弾を飛ばして来ていた!


 

 咄嗟(とっさ)にマジカルガードを使って身を守ると、強い衝撃が私の体を揺らした。

 今のは危なかった。


 

 HPを確認すると、9しか残っていない。

 マジカルガードが無ければ瀕死になっている所だった……



 ホーリーアローで私を攻撃してきた蛙も倒して、ラケシスの方へ駆け寄る。  



 「ごめんごめん。

  戦闘とか初めてだったから、気が緩んでた」

 「無事で何よりだ。

  それよりも、もう少し安全な道を進んだ方が良いのでは?」



 「いいえ、このまま進むわ。

  私が経験を積んで、レベルを上げていないと魔王は倒せないから」

 「わかった。

  流石は勇者だ」



 今の戦闘で蛙には負けないと確信した。

 本当はちょっと怖いけど大丈夫。



 道を急ぐ必要もあるけど、レベルも上げないと駄目。

 せっかく魔王の元へ辿り着いても、一撃でやられちゃったら元も子もない。


 

 どれだけ強くなれるかは分からないけど、余裕を作って話しが出来るくらいには強くないと駄目。

 その為には、危険な道を進み、魔王より早くレベルを上げる。



 私はそれが出来ると確信している。

 魔王があの子達の誰かだったと仮定して、いきなり最強の強さってわけにはいかないでしょう。

 だって、そんなゲームは面白く無い。



 きっと魔王もレベルが低い状態からスタートしているはず。

 その証拠にここは魔王の城の近くなのに、モンスターはそれ程強くない。



 目指しているのが魔王の城じゃ無い可能性もあるけどね。

 その後も蛙を狩りながら進み、たまに空飛ぶ兎の相手もして、見通しの良い道へと戻って来た。



 「ラブラ殿、そろそろ日が暮れる。

  この辺りで、夜に備えよう」

 「おーけー。

  お腹も空いてるし、火を起こして食事もとらなきゃ」



 「ラブラ殿……本当にそれを口にするのか?」

 「ん? 蛙の肉は結構美味しいらしいわよ」



 「モンスターの肉を食べるのか?」

 「動物もモンスターも一緒よ!」



 「ラブラ殿は(たくま)しいな……私は遠慮させて貰う。

  明日はイダルの村に着く予定だ、そこで食材など分けてもらおう」



 あんな大きな蛙だし、普通に食べてそうだけど?

 ラケシスは蛙肉が嫌い?



 私は食わず嫌いなんてしないからちゃんと感謝して食べる。

 今日だけで数えきれないくらい狩りまくった蛙のモンスター。



 大型のマスティフくらいの大きさだし、最初見た時は怖かったけど、狩り始めるとそれ程強くないし、水辺に沢山いたから一匹捌いて食料として持ち歩いていた。



 不安要素の一つだった食料の調達はこのモンスターのお陰で問題無さそう。

 保存もプリフィケーションの魔法で浄化すれば問題無いし、あとは味か。



 丁度程よく焼けた肉があるので、頂きますをしてパクリ!



 うん――うん……何この味?

 今まで食べた物の中で、これ程見た目と一致しない肉は初めて。



 それに、すっごい口の中に、その味が残って、ずっと気持ちが悪い。

 この味を例えるなら……真っ黒なオイルまみれの器に入れたガソリン?


 

 肉を飲み込もうとしても、体がそれを拒否しているみたいに飲み込めない。

 駄目だ、吐き出そう……



 気持ち悪くて今日は何も食べられそうに無い。

 それでも、ラケシスが木の実をいくつか取っておいてくれたから、それを無理やり飲み込んでおく。



 明日にはラケシスの言っていた村にもよれるはずだし、ちゃんと食材は調達しておこう……


 

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