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死の魔法

 それから数ヶ月とおぼしき時間をオレはアストリアと天界で過ごした。いろいろ、ホントいろいろされちゃったが、甘々な新婚生活といえばその通りで、世俗の垢を落としてくれる毎日だった気がする。そんなある日。


「あっ、貴女を召喚している人がいる。さぁ、おでかけなさい。我が(つるぎ)にして最愛の伴侶たるリブラ」


「私も同時にどこかの国に転生するわ。いいこと。必ず必ず見つけるのよ!」

天界というのは人界(亜人や魔族などの他種族が住んでいる世界も多いが仮にこう呼ぶ)から見て一方通行ということらしい。オレがそうだったように一旦来てしまえば、人界での存在は消え帰ることはできない。


 天界から人界へは神であろうとも、生まれてくる赤ん坊に魂として入り込む以外の方法はない。人界で死んだ魂も同じ道を通ることになるらしい。


 唯一、違うのがオレということになる。神が創造した人形ホムンクルスの器に魂が入っているていだ。この人形(ホムンクルス)は特殊な存在。おそらく神の新たな「発明」なのだろう。天界から人界を自由に転送できるという代物のようだ。


 記憶もアイテムも人界に持っていける道理だ。アストリアがオレに指輪を預けたのはその仕組みを利用したということだ。


 だからオレは、転生者というより被召喚者ということになるのだろう。


「さて、行くとするかぁ〜」


 ということがあったのだが、RPGのようには行かなかった、オレ達は序盤ともいえるフェーズで三回失敗し、三つの世界をおシャカにしてしまった。もちろん一度行った人界で死ぬと二度とその世界には行けない縛りはある。今回は四度目。さすがに失敗は許されない。


 ちなみに「神であったとしても転生先を選べない」と言ったが、厳密に言えば生まれるはずの人のペルソナを細かく設定できないという意味だ。魔王は「魔王になるべき魔族幹部」くらいで転生したようだ。


 アストリアは今までの三回「王国の姫」という選択をしたのだが、後継者争いという本筋とは関係のないトラブルに巻き込まれることが多かった。今回は「王族関係者の娘」という設定で行くことにしている。とにかく、彼女を一日も早く見つけないと。


 脱線しすぎた。話を戻そう。


「では。始めるぞモラーヌ。オレが、魔法を使えば気を失うかもしれん。だが、案ずるな。死んだわけではない。手間をかけるが連れ帰ってベッドに寝かせておいてくれ。夕刻には目覚めよう」


 姿とのギャップはあるのだが、魂のコアはオレには違いない。みなさんには、ロリロリ声な女性声優が男言葉で喋っているとイメージしてもらえると嬉しい。(って、誰に向かって話してるのオレ)


 ただ、そもそも、オレの器である人形(ホムンクルス)には自動翻訳機能(AI)が搭載されているらしい。オレは日本語で話しているつもりなのだが、この世界の人達には、それなりに聞こえているのだろう。


 魔族の軍団は北の城塞都市サンクトブルクの城壁に取り付かんと早足で迫ってきていた。全軍五万。今や後尾に至るまでオレの視野に入れることができた。


「頃合いだ」


 オレは右手を天に向けた。オレの唯一だが強力な「死の魔法」は無詠唱。心に念じるだけでよい。手のひらに禍々しい黒、いや、漆黒より黒いブラックホールを思わせる直径五センチほどの小さな魔法陣が描かれた。そこから出てきたものは。白い。少し桜色がかっているだろうか。花びら。ソメイヨシノ、桜の花びらだった。


 ふっと花びらを吹くジェスチャーをするとそれは魔族の軍団に向かって優雅に舞って行った。軍団に近づく度に花びらの数が増える。2、4、8、16、32、64……鼠算式に増えた花びらは桜色の霧のように軍団を包み込んだ。


「ドレイン、スピリット」


 優雅な風景は一瞬にして阿鼻叫喚の世界に変ずる。薄い桜色の霧は鴇色から真紅に染まった。すぅ〜っと音がするように霧が掻き消えた時。魔族の死体が五万。平原に転がっていた。


「あとは頼んだ。モラーヌ」


 オレはMP(マナ)を使い切り、昏倒した。

やっと本題に入ってきた感じです。何となくヨーロッパの国々をモデルにしていますが、悪役っぽく描いてる国もあります。他意はありません。たまたまですので、ごめんなさい。ひとまず北の方なのでロシア、サンクトペテルブルク、昔のレニングラードイメージかな。なんとなくレニングラード包囲戦ぽいというか。


いずれにしても、死の魔法は無敵に近いのですが、魂のないものや特殊な魔物などには無効だったり、あまり使い過ぎると気を失うというペナルティ付きです。「魔法には代償が必要」というのはこの物語の全体を貫く法則ですが、主人公は大きな魔法の代償として小さく弱い体しか与えてもらえないという縛りです。とはいえ、あまり弱すぎても物語が進まないので魔道具でのチートは認めています。


本編のストックですが、ほぼ完結までの道筋はできました。後は書くだけなのですが文庫本2冊には届かないくらいのボリュームで決着しそうです。このペースでアップできたとして2〜3ヶ月かかるかなぁ。一度、アップして見直して、誤字見つけて……を10回くらい繰り返していますので、できましたらアップして1時間後くらいに見てもらえると嬉しいです。

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