表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合磁石なオレ(♀)が異世界で「受ける」お話  作者: 里井雪
海の神獣

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/81

椿咲く島

 翌朝、船は静かにエトナ島の波止場に接岸した。埠頭はコンクリートによる構造物のようにも見える。この島は海に突き出したコニーデ式火山だが、港から山の中腹まで石造りの家が立ち並んでいる。


 工業立国ということだろうか、人族に近いドワーフは一種の職人集団で、王というものは存在せずギルドマイスターと呼ばれる技術長が指導者として行政を行っているということのようだ。


 特にそう宣言しているわけでもないのだが、ここはドワーフ自治区というより、エトナ共和国という言い方が正しいかもしれない。


 マイスターは三年ごとに行われる選挙、というか技量コンテストで選ばれるらしく、彼らは人族と違い民主的な気質をもった種族のようだ。要は彼らにとっては技術があることが最大のステータス。最も技術力に優れたものを盟主とするということらしい。


 船の船長からは平身低頭、くどくどと昨日の礼を述べていた。ニクスランドまでも含め船賃をタダにしてくれた上で後日、船会社から何らかの礼をするように連絡したと言っていた。


 まぁ、リヴァはオレたちが引き寄せた気もしないでもないので、ちょっと気が咎めたが礼はありがたく受け取ることにした。宿を探しに、港から居住区らしきところへ登って行こうとしたその時。


「旅のお方、お待ちください!」


 後ろから声がかかった。振り返ると同船していたドワーフの若い女だった。ドワーフ族なので身長は低めだがオレよりは少し高いか。ずんぐりした体型が多い種族だが、筋性のとれた体つきなのは人族とのハーフかもしれない。ふわりとしたソバージュの赤毛に琥珀色の瞳。歳のころは二十歳くらいだろうか。


「卒爾ながら。お話を聞いてはいただけませんでしょうか?」


 何やら切羽詰まった様子で近づいてきたと思ったら、いきなり土下座した。無理を言う時の作法はどの世界でも共通なのか?


「どうか。どうか。私どもをお救いください」


「ちょっと待て、若い娘が人前でそんなこと、とにかく話は聞くから場所を移そう」


 ジャンがお前甘いなぁ〜 という目でオレを見ている。


「わかりました」


 案内された家は山の中腹、居住区の中では最も高い場所に位置する立派な建物だった。二階建てになっており一階は武具などを作る工房。十名ほどの職人が働いている。階段を上がって二階が住まいということのようだが、海が見渡せる大きなダイニングルームに通された。


 真ん中には楕円形のマホガニーの大きなテーブルが置かれ、皮張りの豪奢な椅子が並んでいる。壁際には大理石の暖炉。魔道具かもしれない。薪もないのに赤々と火が燃えている。


「お父さん、いいからおいでなさい!」


 娘、ポワリンという名らしい、が、連れてきたのは灰色の顎髭が立派なドワーフの偉丈夫だった。身長は160センチくらいだろうか。彼はドワーフらしいずんぐりした体型だが、盛り上がった肩、引き締まった胴は職人というより鍛え上げた戦士に見えた。


「おい。ポワリン、お客人に無理を言うではない。そのようなこと、いくらなんでも、お頼みするなど筋が違うと申しているじゃろう」


「娘が失礼をいたしました。ワシはこの島のギルドマイスター。ギルとお呼びください」


「あのね。だから……」


「黙れと言うに!」


「ああ、お父様。お話を聞くだけでしたら何の問題もございません。ですから」


「何と! 貴女様がこの方々を統べる方?」


「あはは。ちょっと、ある神様の気まぐれでこんな姿に」


「いえいえ。大変失礼したしました。姿形で人を判断するなど、ワシの目は節穴ですな」


「いずれにせよ。ポワリンさんと言いましたか? 事情だけでも」


「はい」


 娘が言うには、この島の火山は魔法の力で封印されているらしい。封印は一度ほどこしても年限が経てば弱まる。百年に一度、再封印する必要があるらしい。封印にはこの島の洞窟で採れる魔石を研磨して玉を造り、トヒルの神殿にある女神像が持っているものと交換するだけでいい。


 だが、神殿の警護に置いていた神獣が制御不能になってしまった。要はその神獣が邪魔をして、ここ何年も神殿に近づくことさえできなくなったということらしい。


 ダルク帝国付近に幻獣が増えたり、リヴァが出現したり、この世界全体のバランスが崩れる何かが起きているということなのかもれしない。神獣はベヒモスという。レヴィアタンとセットだそうで、元の世界の旧約聖書の伝承に似ている。世界の終末に現れるものということだろう。ベヒモスはレヴィアタンと対極の存在、火の力を宿している。

昨日「ランウェイで笑って」を観ていてふと思いました。「コイツら絶対成功するんだよな」って。「なろう」に書いたってメジャーになる確率なんて宝くじを当てるより難しい。そもそも実力ありません。でも。だとしても!!(「シンフォギア」のこのセリフ好きです)


「人の本当の死はその命が尽きた時ではなく、全ての人の記憶から消えた時である」は座右の銘かな。音声作品でもそうです。私の書いたものがコミケで売られ誰かの手に渡る。それだけでも嬉しいですし、R-18ですからオカズにしていただいて。もう。ねぇ〜。「ありがとございました!」ってティッシュをお届けしたい!


感想に「自分で小説書きました」とコメントあって。もしかして、もしかして、誰かの心に小さくとも影響を与えることができていたとしたら。めっちゃ、嬉しいです。


ということでエトナ島です。ドワーフは土属性を割り振るのがオーソドックスかもしれないですが、大人の事情を察してください。名前はイタリアの火山からですが行ったことないし。モデルは、えへへ、伊豆大島です。


ドワーフの名前も「樫の大木」風にしようとも思いましたが、まぁ、人に近い種族という設定ですので普通にしておきました。ポワリンは、ねぇ、DQ10プレイしたことあるなら分かるかなぁ〜です。ドワと言えばって感じ。


あとは種族による価値観の違いというのも想像できる範囲で描いてみました。きっと、私たちの世界の人種間の違いより遥かに大きいはずなのです。元は人の主人公です。いろいろ経験はしてもベースとなる価値観は人を引っ張っている。「アレ?」みたいなのが書けるといいなと。


で、ベヒモスが出てきます。いろいろ使われている魔獣ですが、ここは旧約聖書風に火の魔物・カバで行こうと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 43/70 ・ドワーフいいね。いい人っぽいイメージ。 ・価値観の違いを上手く書きたいけど、上手いこと書けないという…… [気になる点] ドワーフ…… ロリショタ集団という選択肢も…… …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ