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百合磁石なオレ(♀)が異世界で「受ける」お話  作者: 里井雪
海の神獣

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レヴィアタン

 エトナ島行きの船の出帆まで(あと)二日。ジャン得意の戦術で内郭区に入って、ショッピングやスパなど女の子プレイを楽しむ選択肢もあったのだが、あんなクソみたいなところは二度と行きたくない。服や贅沢品はすでに、ジャンとジジが調達してくれているようなので、ブラブラと外郭区を散策して暇つぶしをすることにした。


 この都市は人口の多く、であるが故にスラム街もあると言う。後学のために行ってみるのも悪くない。ジャンがいやぁ〜 淑女(レディー)の皆様にわぁ〜…… と躊躇っていた。オレは、過去三度の転生では数年の命しかなかったが、元の世界とのトータルでアラフォーくらいの「年齢」のはず。言いたければ言うがよい。ロリババアだよ。


 だが、ネオマーケットと呼ばれているその地域は結構ハードなところだった。臭いからしてすごい。安物のエールを飲み過ぎた酔っ払いの吐瀉物だろう、芳しい香が漂ってくる。どこか男臭い饐えた臭いも入り交じっている。これは、マジ、ヤバイ。


 誰が買うのか片方しかない長靴が店先に吊るされていたり、どう見ても盗品としか思えない立派な青磁の壺。得体も知れない生物の干物は魔法の贄だろう。檻に入れられた赤い目で灰色の大きな溝鼠が、キイキイ甲高い声で鳴いている。使用目的? 想像したくもない。いずれにしても、ここでショッピングと洒落込むことは、オレ的に無理だった。


 近隣には遊郭もあるとのこと。ヴォルリジエール(とびた)という地域のようなのだが、見学しようと言ったらジャンが全力で止めてきた。妙にそういうところ真面目な男だ。


 宿は相変わらず狭いといえば、その通りだ。ジャンたちのリフォームで隙間風はなくなったが、女の子部屋にはベッドが二つしか入らない。というか二つ入れると足の踏み場もない。とはいえ、虫の心配がなく清潔なシーツと簡易とはいえ暖かいシャワーはありがたい。


 「実年齢」や魂コアは別のものでも人は、自身の姿形に応じたロールプレイをしてしまうこともあるようだ。正直、()()()()()()()に身の回りの世話を焼いてもらう日々は悪くない。特に不満もなく二日の時が過ぎた。


 エトナ島への船は近海を回るとはいえ外洋航海も可能なものだ。大航海時代のキャラベル船に似た三本マストの大きな船だ。全長は三十メートルくらいか。帆もあるのだが魔法の力を利用したもので、風がなくともかなり高速で進むことができる。その他、バラストなどにも魔道具が組み込まれており見た目より遥かに安全な船といえる。


 本来の用途は荷物の運搬なのだが、船の後部には客室も備え付けられている。大金持ちのオレたちだ。VIPルームを二部屋リザーブした。エトナ島までは丸一昼夜の航海。荷を積み替えること三日。その後、五日ほどかけてニクスランドに向かうということのようだ。


 船旅なんていつぶりだろう? 夕暮れ時、甲板に出てみる。装備(セーラー服)が優秀ということもあるが、火山島が近いことも、海流の関係もあるだろう。真冬にあたる季節だがそれほど寒くはない。とはいえ海上。風はそれなりに強い。こんな時、女の子の体は不自由だ。誰が見ているわけでもないが、スカートを押さえながら髪の乱れも気になってくる。手が三、四本ほしいところだ。


 水平線を茜色に染めて沈んでゆく恒星(たいよう)が美しい。恒星が二つある世界も経験したが、ここでは地球と同じ一つ。こちらの方がシンプルでいい。二つあると昼夜が複雑に入り組んでしまうのだ。


 ボーッと水平線を見ていたのだが、あれは? ヤバイかもしれない。大急ぎで仲間と船長を甲板に呼ぼうとしたが、見張りもほぼ同時に異変に気づいたようだ。キャビンからわらわらと人が甲板に集まってきた。


 レヴィアタン(Leviathan)。人の思念が集まって実体化した幻獣の類だが、大きさがまるで違う。幻獣の上位種という意味で神獣と呼ばれるものだ。全長五十メートルはあるだろうか。巨大という表現では言い尽くせぬほどの大海蛇だ。


 今はまだ遠いが、真っ直ぐに船に向かってくる。十分もすれば接触するだろう。害意は不明だが鎧袖一触というか、わずかでも尾が掠っただけでこんな船など沈没してしまう。この距離ではボートを下ろして避難も間に合わない。


「リヴィアタンは深海に生息しているものですし、そもそも外洋で稀に不幸な船が遭遇する類のもの。こんな近海に来るとは信じられません。エトナ島の火山活動と何か関係があるのでしょうか」


 おいおい。船長、そんな余裕ぶっこいで講釈垂れてる暇なぞないぞ。

安定期に入ってきた気がするのでアニメはひとまず継続中でぇ〜。


そろそろ出立しますが、ちょいと街並みなども先々に備えて先出しです。国としてのモデルはないのですが、多分、こんなところもあるのかなぁ〜みたいな感じです。今は観光地になってずいぶんキレイになりましたが、昔の大阪・新世界をイメージしています。


こちらメインでいずれ出てきますが売春地区と言うとオランダ「飾り窓」より私的にはこっち。日本語をフランス語(vol rizière)に訳しただけです。飛田新地。ご存知ですよね。租界?日本国法適応されてるよねココ。みたいなところです。詳しく知りたい人はggrks。


で、リヴァイアサンですが、旧約聖書をイメージしているのレヴィアタン表記にしてみました。ということは、天地創造のお話になってきて一対となるもう一匹も出てきます。で、またまた、主人公の魔法の欠陥が……というのが次回です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 41/70 ・レヴィアタン表記なんか好き。 [一言] やはり安定の女子力。
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