エルメスのピアス
いずれにせよ、意外にあっさりと現状を受けいれてしまった。鏡に映るオレの姿は幼女というか小学校高学年〜中学生くらいに見える。基本、女神様とお揃い。女神様フィギュアだ。神は自らに似せて人を創りたもうということか。髪はプラチナブロンドのサラサラロング。天使の輪もくっきりと眩しい朝の光に輝いている。瞳は人間離れしている感じを演出するルビーレッド。アルビノを思わせるほどの白く透き通った肌。そして赤めの唇。頰にもほんのり赤みがさしている。
うーーん。ファンデやチークなしでいいかも♪ まつ毛は長くきれいなブラウン。これもマスカラいらなくね? とはいえ、リップ、シャドー、アイラインくらいは入れておいた方がいいかもしれない。というか異世界に化粧品あるんかぃ。
とにかく正真正銘の美少女には違いない。今夜のオカズにしたいくらいだが、自分の姿に興奮してのアレはいかにも情けない。アストリアもオレを5歳ばかり大人にした姿なのだが、転生してしまう、すなわち、どこかの人に魂が入るため、人界でどんな姿になるのかは分からないようだ。だが趣味的に女であるには違いないだろう。
唯一オレと女神様が異なる点はオレの耳がエルフ型ということだ。女神様によるとオレは異世界でも目立つ存在になってしまうが、この耳のおかげで半吸血鬼などと勘違いされ、真の役割の隠蓑になるだろう、とのことだ。だが、そんな言葉を信じるつもりはない。
「さて。どこの世界に行くのかい。女神様」
「まぁ、慌てないで。確認と準備を。貴女の能力は分かるわよね」
「ああ。ただ人を殺すだけ」
「そそ。数万くらいなら一気に殺せるわ。ただし。魔法には代償が必要よ」
「どこかで聞いたセリフだな。カ○ラン」
「多くの人を殺せば殺すほどそれに比例してMP、Manaをたくさん消費するわ。数万も人を殺せば一時的にMPが尽きて魔法が使えなくなり、最悪、昏倒する。時間が経つか、私が魔力供給すれば回復するけど、冒険当初は私がどこにいるかも分からない。MPがない貴女は小さな女の子でしかないの。簡単に殺されてゲームオーバーってこと」
「だから。身を守るため。旅のため。天界から2つだけ魔道具を提供するわ。まずはこのピアス。エルメスのピアスといえば分かるかしら。もともと神々の能力は時空を操るのがベース。霊力を込めて素早さを大幅にアップする一品よ。人が操る武器はもちろん、大量の弓矢で攻撃されても、貴女には当たらないほどには素早く動けるわ。魔法については、キャスト時間があるのだから余裕のはずよ」
「そういうハンデか。オレは攻撃力は超強力だが防御はゼロに等しい。攻撃は『当たらなければどうということはない』とするしかないと。どんな縛りプレイだよ」
「正解! じゃ、着けてあげる。ああ痛くはないわ」
オレは左の耳たぶを摘んだのだが。女神の手はあらぬところを弄った。
「ちょ、待て。そこは!!!!」
「あら、こんなロリロリっ子が耳ピアスじゃ不良みたいじゃない。見えないところがいいのよ。決してなくさないためにも」
「やめて。いやん。らめぇぇぇ。せめて。せめてオヘソにしてぇぇぇぇぇ」
ということで、これも18禁作品ではないので具体的には書きにくいが、女の子のとってもとっても大事なところにピアスが装着されてしまった。普通なら激痛がするハズなのだが、そこは神様。全然痛くはなかった。
「さて。もう一つはコレ。指輪」
「ああ、普通に指に嵌めればいいんだろうな?」
「ああ。そうよ。一度嵌めると指を切り落とさないと取れないけどね」
「って、そうなら、さっきのも指輪でいいじゃねぇかっ」
「ああ、アレ。アレはね。付加機能が付いてるの」
と言うなり女神様は何かの念を込め始めた。
「あん♪」
なんじゃ、こりゃぁぁぁ。オレの口からは予想もできない声が出た。30年生きてきて決して発することがないと思っていた声だ。例のピアスから……ああ、これも18禁じゃないからなぁ〜。
少しずつHになってきました。これくらいが限界かな? 音声作品のシナリオを書いていて、別の機能なのですがピアス出そうかなと思ったのです。でも、痛そう;;って。もちろん着けた経験ないですし、そもそも着けるべき「場所」がありません。ですが、どうも気になって、その作品はクリップにしました。でも、うーーん、機能上というか、着いてしまえば納まりもいいし。とか考えて今回はピアスです。
引用について。
・カ○ランは、私の大好きな「真実の剣」の聴罪師長さんです。
・水銀燈やイリヤたんも大好きなので、白髪(もしくは銀髪)、赤目はこだわりがあったりします。