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百合磁石なオレ(♀)が異世界で「受ける」お話  作者: 里井雪
水の巫女

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32/81

格ゲーと言えば

 翌朝、定期連絡をシロから受けるために外郭南にあるマルエン広場にアキコと向かった。とにかく何らかの形で王族を視認できないとアストリアを探すことなどできない。


「ああ、コレが内郭立ち入り禁止の原因かぁ〜」


 いずこも同じか。「ライムハルトの森におけるエルフの完全な自治を守れ!」「我々はお前達の盾ではない!」「これは暴動ではない。あるのは暴政のみ!」人族同士、人族と亜人、本来一致団結して魔族の侵攻に対抗しなければならないのに、国同士の利害、「人種」差別、一枚岩になれず崩壊していく世界の典型のようだ。


 内郭へ迫ろうとするデモ隊を押しとどめる近衛兵たち。まだ流血には至っていないらしいが、一部では殴り合いも起きているようだ。


 シロが教えてくれたジャン情報によれば、近隣のライムハルトの森に住むエルフ族は多く、一定の自治は認められている。しかし、司法権をダルク帝国へ移譲せよという圧力、さらには悪化する魔族戦への一方的な徴兵が引き金だという。


 既にこの世界を憂うエルフ族有志は志願兵となっている。しかし得意な弓隊を組織されるでもなく、歩兵の数合わせにされ、大きな犠牲も払った。にも関わらずということらしい。


「オレの元いた世界でもこの種のことはままあった。だが、戦時でしかも劣勢であることを考えれば、こんなことをしている場合ではないと思うのだが」


 昔、学校で習ったリンカーンはこのあたりをよく理解した傑物だったのだろう。


「うむ。人というのは狼と違いくだらぬことに囚われるものだと思う」


「ああ、人ではない存在になって清々している。女神様に感謝、感謝の感涙にむせいでいるところだ」


「それはさておき。王族に会えるチャンスがあるようだ。お前に言えば二つ返事でやると言うのだろうが、ジャンとも話したがあまり勧められる方法ではない」


 あっさり冗談をスルーしてシロが言うのには。年が変わるタイミングで闘技大会が催されるとのこと。会場は内郭にあるコロシアム。王族も観戦し、優勝者は新年パーティに出席できるということのようだ。


 闘技というのは投げ技、肘打ち禁止のK-1のようなルールらしい。手、足、膝には風属性魔法により保護されたグローブ、ブーツ 、プロテクターの装備は許されているが、それ以外の魔道具、当然だが魔法は禁止らしい。


 勝敗は判定などないしTKOもない。KOのみということのようだが、毎年流血沙汰になり死者も多数でているようだ。


 参加資格は「人ではないもの」というのはこの国らしい。この国で人でないものは闘牛の牛と同じということなのだろう。この大会のために魔族を捕らえて()()している変態貴族もいるようだ。もちろん、競馬などと同じく優勝者のオーナーには多額の掛け金が分配されるギャンブルがメインの闘技大会だ。


「参加したとしてオレがどんな扱いを受けるのかは想像できる。だが、死ぬ以外のことならなんだってするさ。ジャンもお前も気をつかってくれてるんだな。どんなことになろうとも使命(のろい)を忘れはしない。ありがとうと伝えてくれ」


「ジャンもお前ならそう言うに違いないと言っていたぞ」


「しゃーないなぁ〜」


 アキコも止めても無駄だと分かっているような口ぶりだったが、オレに付き添えないのが無念という表情をしていた。結局、アキコとシロを外郭区に残し、その日の夕刻、既に合流しているジジをオレのオーナーにするという建前にして迎えに来てもらった。


 内郭区に「魔族」であるオレが入るには、想定内とはいえ屈辱的なことになる。魔道具である今の装備(セーラー服)を着ていくことはできない。これについてはジジが素敵なものを準備していてくれた。


 空色のチャイナドレス。半袖、ミニ丈になっていてショートパンツ付きというのがありがたい。ショーツもブラもスポーツタイプではあるものの、お姉さん(きゃっ! っぽいデザインのものを持ってきてくれた。もっとも、スパンデックスのようなものが存在しないこの世界ではショーツ&ブラ風のものという言い方が正確なのかもしれない。


 靴は軽いカンフーシューズタイプ。生足で履いた。髪を三つ編みにしてお団子に巻きこれも準備していてくれた服と同色カバーをつける。軽くピンク系のリップを引くといい感じになった。なんだか気分が浮き立ったのだが、その後が最悪だった。


「申し訳ありません」


「気にするな。ジジが謝る問題ではない」


 服以外の外せない魔道具についてはジャンの心付け(賄賂)で役人たちを黙らせたようだが、魔族の内郭区内での手枷、足枷着用は動かせなかったらしい。魔族の力を削ぐ魔道具なのだが、そもそも力皆無のオレには普通の枷以外の役割はないようだった。

ついに2月に入りました!


恒例?でアニメ話題ですが「異種族レビュアーズ」のTS回。うーーん。一般的なTS物じゃなくて、単純に女体化百合Hみたいな感じでした。風俗レビューという方向性をブラさないということだと思います。こんなところでメス堕ちすると後々物語が続かないでしょうし。さすがに18禁でもないので、喘ぎとか控えめでしたねぇ。というか、18禁のアレは一種の様式美で現実とは異なるようです。あんまりリアルにやるのはダメだとか。


ところで、私のプロフィールを見て「男らしくない人」というイメージかもしれないですが、ステレオタイプに男女を考えていないだけで、レシプロ機が大好きですし、詳しくはないですがボクシングも嫌いではないです。ということもあり、格闘技大会を出してみました。


大会の位置づけとしては古代ローマの剣闘士っぽい感じです。もちろん、競馬のようなギャンブルと流血をクソッタレな人族が楽しむものです。


魔法がある状態で武器を使用すると何でもアリになるので、魔法のプロテクター(強い打撃での骨折を防ぐ)のみ使用というスタイルにしました。


主人公はジャンの手ほどきからヒントを得たために、ものすごく強いです。ですが、一発貰えば死ぬかもしれないというハンデ付きです。で、格闘技にはチャイナドレス&お団子ですよねぇ〜みたいな。でも、手枷、足枷で早々に酷い目に。さてさて、さら酷いことに??


で、今、アキコ編ストックを溜めています。書きつつふと思ったというか。この物語のテーマの一つ。「永遠は祝福ではなく呪いである」というものです。人って死ぬから生が輝くのだろうと思います。永遠の命があったら、何もしないでブラブラと意味のない時を過ごすに違いありません。終わりがあるから頑張れるんじゃないかぁ〜と。ずっと昔に読んだ高橋留美子さんの「人魚シリーズ」。人魚の肉を食べて永遠の命を得ることの苦悶みたいな部分が大好きです。ちなみに本編で「使命」と書いて「のろい」と振っているのは誤植ではありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 32/58 ・エルフのデモがリアルw ・安定の女子力。 [一言] うちの小説のヒロイン達の女子力が壊滅的でげっそり。
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