乙女座の女神
ある日のこと。働き方改革? 大嫌いな言葉だ。コレは家で仕事しろ! 以上。ってことだろ? 可能な限り家に仕事を持ち込みたくないオレはギリギリまで会社のPCに向かっていた。
午後九時。ドンという大きな音がしてビルの空調が止まった。すでに職場の電気は消えPCの灯で仕事をしていたが、もう限界か。晩飯? ああ、そう言えば食べてなかったな。帰りにコンビニでオニギリでも買って帰るかぁ〜。
電車に乗り約一時間。まだ昼間の熱気の残る道を歩きオレは賃貸安アパートのドアを開けた。
「え? 泥棒?」
いや。人の家に上がり込んでゲームしてる泥棒もないだろう。しかも後ろ姿は女のようだ。
シルバーブロンドの長い髪。ちらと見える頸が雪のように白い。衣服も薄布を纏うと表現すればいいだろうか。暑いとはいえ露出多すぎで艶かしい。
「コレ。なんてエロゲ?」
じゃない。おい!。オレは女の肩を掴もうとした。
「ええええええ!!!」
その手は、肩があったと思しきところを綺麗に通過していた。
「おい。おい。ホロかよ。ちょっと待て。映写機が見当たらないのだけれど」
慌てているオレに泰然自若としたソプラノが答えた。
「ちょっと待ってくれるかな。今、いいところだから」
復古版というところか、レトロなドット絵が動く横スクロールゲームのようだ。
「こんばんわ。愛しい人」
「なんだと。お前、ゴクリかい!」
「ああ。貴方、女みたいな風態の冴えない男だけど頭だけはいいはずよね。もう理解できるでしょ?」
「悪かったな。確かにオレ、ネカマもやってますよ。でもな。女になりたいわけじゃねぇ。あれはなぁ〜。人を騙す背徳感に打ち震える大人の遊びなの! おわかり?」
「分かったよ。あんた異世界の女神かなんかだろ? オレを転生させて俺様つぇぇぇぇで魔王を倒せ! 以上か?」
「ああ、前半は正解。さすがね。まず大きな誤解は異世界と言っても一つじゃないってこと。十神十一柱が創った百以上の世界が存在する」
「まぁ、アレだ。映写機も見当たらないホロで語りかけるってことだけでも、アンタがオーバーテクノロジーの世界にいるというのは認めていいんだろうな」
「OK!! 私が見込んだ魂を持つものね」
「それはそれは光栄ですな。女神様。オレはね。本当は疑り深いのだよ。『コペンハーゲン解釈』をマクロなリアルワールドにも適応してる」
「森羅万象全ては確率論的存在であるってね。だから、超常的な話を聞いても一定確率で真だろうと考えてただけだけどな。ああ、話を続けて」
……延々と話は続いて。この神様、バカではないようだが、いまひとつロジカルシンキングが、出来ていない気がする。要約すると。
(1)10組、11柱の神様がいた。11柱というのは双子の神様がいる。
(2)それぞれの神様はいろいろな世界を創造した。どうやら100を超える異世界群が存在するらしい。
(3)神様は創造した世界を見ているだけだったが、上手く行かない世界に干渉したくなった。
(4)これはオレの世界がちっともよくならないことを論理的に説明してくれる。オレ流に解釈すると。例えば遺伝子操作を考えてみよう。オレたちのテクノロジーでは遺伝子を直接ピンセットで摘んでハサミで切ったり継いだりできないだろ? それと同じことが神様にも言える。神様は大きな力を持っているが直接世界を操作するなんてできない理屈だ。神様も一生懸命なんとかしようとしているが隔靴掻痒の感ありというところか。
(5)神が世界を操作する方法はただ一つ。人としてその世界に生まれ指導者となって統治すること。どうやら人となった神はその世界にいる間は神としての記憶を失くすようだ。もっとも人として生まれたとしても、魂は神様なのだからそれなりの力は行使できるようだが。
(6)この「記憶を失くす」というペナルティーがとんでもないことを現出させたようだ。本来正しい方向に世界を導かねばならない転生した神が暴走して失政を連発する世界がいくつも確認されるようになってきた。
(7)そこで神々は一計を立てた。新たに12柱目の神を創造し、そのお付きとして転生しても記憶が継続できる稀有な魂を持つ者。すなわちオレを選んだ。
(8)オレ達の使命は人に転生し失道した神を討ちこの女神様に挿げ替える。女神様はオレがそのレゾンデートルを思い出させることで、まともな施政ができるハズだ。ただし、神とはいえ人の体に入った以上、そう長くは生きられない。失道神を討ち世界を立て直すまでのタイムリミットは約100年ということらしい。
「そいうこと。説明ありがと」
「誰に向かって喋ってるんだ!」
「だから貴方は私と一緒に正義をなすもの。ああ。名乗り忘れてたわ。私の名はアストリア」
「乙女座? なんとベタな。十二星座だったのかよ。じゃ、オレはリブラ?」
「そそ。断罪人ってことね。あのね。神は人を殺すことができないの」
「って。待てよ、オレはマリー・アントワネットの怖い絵に出てくる斧を持った処刑人ということかい。アンタ、発砲率って知ってるよな?」
「そもそも人は人を殺すのに膨大なストレスを感じる。ベトナムや湾岸戦争の帰還兵の例を見れば分かるだろ。速攻、PTSDで病院送りだが」
「ああ、その点についての対策は考えてあるわ。まず、貴方の心のコアを、私の力でガードしてあげる。そして、この事実は貴方の気を楽にするわ。人は死んでも魂はなくならず、必ずどこかに転生する」
「分かった。分かったよ!」
「見てみたいのでしょ? 異世界を。大いなるオブザーバーになれる稀有なチャンスよ!」
「オレのこと良く分かってるじゃないか?」
「ああ、子供のころからずっと貴方を見て来たわ。だからぁ〜」
「ああああ!! オレが女の子に振られ続けてるのも、アンタの差し金かっ」
「それはその通り。でも。あのね。良く聞いて。神とその伴侶が契約を交わすって、どうするのか知ってる? Hよ。 ま・ぐ・あ・う の。だから、お互い初めてじゃないとダメってこと」
「こちらにいらっしゃい。さ、Hしましょ♪」
挫折はしたものの「なろう」に書いたことはあるのですが勘違いしていました。そうかぁ〜横書きだったのですね。英数を縦書きにするつもりでストックを作っていました。直しつつ投稿しますが無理に統一するより自分で見て読みやすい感じで行きます。
あっ、それから。「なろう」って振り仮名振れるのいいですね。振り仮名遊びもしていますので、もし読んでいただけているのなら、ちょっと注意して見てやってください。1話からネタがあります。ということで、3話フライングしていますが、本作品についてです。
<本作品について>
「なろうは、毎日ちょっとずつ出すのがいいよ」とアドバイスをもらったので、書きためたものを推敲しながら少しずつ出します。リアル用事でダメな日以外、できるだけ毎日アップしたいと思います。すでに文庫本1冊くらいはストックしたので最後まで行けるかな。行けるといいなぁ〜。
「独りよがり」と前回書きましたが、異世界転生俺様つぇぇの形式を借りたエピックが書きたいです。ですが、やたら文章が難しく(大作家のお名前で不遜ですが司馬遼太郎さんみたいな)なりますし、ストーリー的にもどうかなぁ〜?と自覚はしていました。じゃ、ラノベ風に柔らかい文体にするにはどうしたらいいの?分かんないです。
で、昔好きだった平井和正さんを思い出しました。ファンタジーに行く前はSF大好きでしたので。妙にここだけ男臭いですが大藪春彦さんなんかも好きだったりします。なら、幼女がオレ主語の一人称で話したら、書きやすいし変わった趣向で面白いんじゃない?という発想です。幼女の体のフィリップ・マーロウ、もしくは、犬神明です。
そういう設定にするためにはTSの必要があるわけですが、自身のプロフィールだけではなく、商売柄、美少女ゲーム(言葉選びました)声優さんとの交流もあり、同人R-18世界にはそれなりに明るいです。じゃ、そっちはR-18にならない寸止めでやったらどうだろう。
で、研究してみました。以下、検索するとヤバイのが出てくる可能性が高いです。ちゃんと断ったんだからね。セクハラなんて言わないでよね。(以下、敬称略)
千之ナイフ、真城の秘宝館、あむぁいおかし製作所、TSFのF、午前七時の合わせカガミ、吉田悟郎商會、むらさきにゃんこバー。とくに、にゃんこバーさんの絵柄が大好きで機会があったら音声作品のキャラデザお願いできないものかと。
ということで、いつも企画案はそれなりなのですが、実際に文章に落すとなかなかねぇ〜。てかですね。私、周りにはバリバリの理系と思われてる気がしますが、中学のころの一番得意な科目は国語。理系男子と文系女子が微妙に混ざっていますので、目先の変わった物になるといいなぁ〜などと。
後書きを使ってブログ風に日々のことも綴りますが、次回以降はできるだけ内容についても書きます!




