アイギス(仮)の盾
この世界には公転の中心となる恒星が1つ衛星1つ。時間についていえば1日は約24時間で1年が300日。何年も冬が続くということもなく毎年四季が巡る。地球と酷似した環境だ。逆に考えてみると地球と似た環境であるが故に進化の過程でヒューマノイド型の知的生命体が生まれたとも考えれれる。
人族、魔族、亜人とも両手の指10本がスタンダードだ。ここでも十進数が使われる。むしろこれはダースという概念のあるオレたちの世界が特殊なのではないか。この星の自転の時間はオレたちの単位で約24時間だが、この世界では午前と午後をそれぞれ10分割する。
すなわち、ここでの1時間はオレたちの1時間12分ということになる。月も10分割されており1ヶ月は30日ある。キリが良すぎてうるう年の概念がないのは、少々魔法の匂いを感じる。ちなみに、1〜3月が冬、4〜5月が春、6〜7月が夏、8〜10月が秋に相当する。春夏秋冬はAIが無理をしてオレの世界に言葉に置き換えたらしく、正確には少し違う概念のようだ。
青龍が指定した生贄を捧げる日付は九月九日。重陽とは言い難い指定のようだが、まだ七日ほどの余裕がある。ギルドからの帰り道、オレ達はアキコ用の防具を準備するため、まぁ、お決まりでクロスした剣と盾の看板のある店に入っていった。怪しげな冒険者にうろんな目つきをしていたオヤジだったが。
「ファストキャストの魔法がかかった盾がほしい」
というマニアックな要求をすると「ワカッテルナ! こいつぅ」という表情をした。
MMORPGで真面目にヒーラーをやってみるとよく分かる。コンマ数秒の遅れがPTを重大な危機に陥れるのだから。ってさぁ、ケアルのキャスト意外に長いって知ってる? それにさぁ〜。イレースのリキャストが長いことを知らないクソ脳筋アタッカーが「イレ、イレ」五月蝿くてキレそうになるとか。というのはオレの元いた世界のネトゲの話だが、ここでキャストのスピードは本当の命にかかわる。
魔法というのはたとえ無詠唱であったとしても、意思が天界にアクセス、天界がこれを承認し発動するまでには数秒のキャスト時間が必要だ。大きな魔法であればあるほどその時間は長い。この盾とファストキャスト機能が完備された3Dプリンター指輪を組み合わせると、ミリセック単位で魔法が発動する。すなわち、どんな魔法や攻撃に対しても問題なく防御可能ということになる。
ちなみに、魔道具に込める魔法にはスタティックなものとダイナミックなものがある。前者はその魔道具を装備すれば常に発動しているもの、後者はその魔道具に魔力を込めれば発動するものということだ。アストリアのように服に強力なスタティック属性を込めるのはオレにはできないし、アキコにもそんな職人芸はない。土と闇属性を盾に付与し魔力を込めて強力な防御を発動という手順になる。
「値は張りますが……」
とオヤジが出してきたのは、メデューサの頭部が描かれた革製の丸縦。アイギスのレプリカだが、軽くて扱いやすそうだ。オレとアキコが魔法を込めれば、高機能な盾にできるだろう。武具は消耗品なので高価なものは少ない。だが、オヤジの言い値は金貨十枚。なんとか八枚まで値切ったのだが、うーーん。
風属性魔法であるファストキャストがスタティックに込められているというのは、職人の技の粋を凝らして作られたものであるには違いない。アキコの父にもらった路銀が心許なくなったが、ドラゴン討伐クエストの報酬もあるしなんとかなるだろう。
オレたちは武具屋の奥で魔力を付加する道具を借りることにした。道具を置く台のついたフラッドベッドスキャナといった形のそれは、手元にガラス板のようなものがついており、手のひらを置くことで魔力を道具に転送するイメージだ。
交互に魔力読み取りスキャナに手を置き、オレは闇、アキコは土属性魔法を盾に付与した。これでこの盾に魔力を込めると闇属性が魔法を吸収、土属性が物理攻撃を緩和、ということになり万全の防御態勢が整う。
「さて、アキコ、まだ日も高いし少し寄り道して帰ろうか?」
「え?」
「あのね。アキコ、そのシ●ムラ装備はどうかと思うわ」
こういうセリフはなぜかオネェ言葉になってしまう。まぁ、キャラ的にこちらの方が違和感がないわけだが。
「シ●ムラ?」
ということで、一応この手のことも書いておきたいので、ゴチャゴチャすいません。で、基本、和数字にしているのですが、読みやすいかなと思いと前半は洋数字を多く使いました。ヒューマノイド型生物が住むのだから地球に似ていて当然というのは、そうかなぁ〜と。それで、なんでダースなんだよ? は少し思うし。
続いて最近は辞めちゃったのですが、MMORPGネタ。私自身がヒーラーかバッファーしかやらないので、そちら目線です。てか、そこそこPSあってヒーラーできる女の子、もてますよw 主にFFのお話ですが、キャストタイムは魔法が発動するまでの時間。一度唱えてから、もう1回同じ魔法を唱えるまでの時間がリキャストタイム。両者関連性があり、キャストを縮めるとリキャストも短くなります。ヘイトコントロールのために細かい「ケアル」を繰り返したいのですが、コンマ数秒の差だけで、ずいぶんユーザビリティが違います。とか、書くと延々となるので、今日はコレで勘弁しておいてあげる。てかさぁ〜、ヒャッホイやってすぐにタゲ取るノウキンアタッカーにムカッときながらプレイしていたのは本当です。あっ「タゲ」って分かりますよね。target。モンスターの攻撃対象者です。
タイトルですが、この物語はギリシャ神話がメインです。それだけでは収束できないので、北欧とか出ますが……なので、アイギスかなと。本物が武具屋で売られているハズもなく、レプリカという設定で(仮)が付いています。魔法の属性について、物語的に光と闇はそれぞれ精神誘導もできますが、基本は創造と破壊。闇属性はブラックホールイメージで物でも魔法でも「なかったことにする」という感じです。土についてはFFの魔法ストンスキンなので物理無効ではなく「緩和」です。
最後、予告的に数セリフ出しましたが、次回は女の子タイムです! (Hはありません)用語は共通かなぁ。謙遜して「ユニクロです」という場合もありますが、安くてコスパのよい装備をユニクロ装備という言い方をする場合があります。それに対してのシ○ムラです。
引用について。
・何年も冬が続く……は、「ゲーム・オブ・スローンズ」からです。
#傍点を使ってみたのですが、小さくて見にくいです。ルビと同じタグなので、・を●に替えてみました。どでしょ?




