番外編その三 昔の話 彼女はその身を投げ出して
またまた過去編です、過去編はもうちょっとで終わります
ツバキのいる世界には、花畑以外にも、色々なモノが出現した。
電柱。米俵。豚小屋。電柱。床屋の前にある赤と青がぐるぐるしてるやつ等々……
どれも、世界の管理人としてコントロールを出来るようになったホシムラが生成したオブジェクトだ。
ツバキはそれらに、きれいだとか、汚いとか、そんな感想を抱く。生まれてきた存在の中で一番好きなのは床屋の前にある赤と青がぐるぐるしてるやつだ。有平棒ともいう。
ホシムラがいない時は、それをじっと眺めたり豚小屋の中に閉じ込められてみたり電柱によじ登ったりしてすごした。
べつに楽しいわけではないが、全部が好きだからそれらに干渉しているだけで胸が熱くなる。
そういう奴だった。ツバキは。
そして、今日もまた、ツバキはホシムラを待っていたのだが。
全然来ない。
なぜかわからない。
とりあえず待った。
どうせ待つ以外選択肢は無い。
ホシムラの作った世界の住人である彼女にホシムラを迎えに行くことは不可能だ。
だから待った。
何時間かして、ホシムラは来た。
「あ、今日も来たの!」
ガタガタとツバキを無視してホシムラはいつもの世界コントロールパネルのキーボードを打ち込む。
「ホシムラ……?」
バットと、マネキンが何も無い地面に出現した。
ホシムラは、そのバットを拾い上げ、マネキンを殴りつける。ぶっ壊れて粉々になるマネキン可哀そう。
「どしたのさホシムラー?」ホシムラは反応しない。
「ん、ムラシホ?ホシム―?ムーラー?ホッシー?」名前でも間違えたかと思って、ツバキはいろいろ試した。
ホシムラの鬼気迫る表情に困惑して、彼にどう接すればいいのかツバキはわからなくなって、ホシムラにどうすればいいか聞こうとした。
ツバキはこれまでと違う攻撃的ホシムラに混乱していたのである。
ぽん、とホシムラの前に色々な”女の子”達が出現する。彼が出したものだ。
「ホシムラ……?」
「僕は、今からこいつらといちゃつく」
「そうなの?」ツバキはだからなんなんだろう?と疑問に思った。
「僕を好きと言う君の目の前で、君に見せつけるように僕はこいつらといちゃつくんだ……それでいいのか ‼?」
「うん、私ホシムラ好きだから」
その言葉に、ホシムラは激怒した。
「うるさい、虚像風情が……!」
「きょ、虚像……?ってどういう意味なの?」
ホシムラが勢いよくキーを叩くとツバキの手に国語辞書が出現した。
【虚像】の意味が書かれたページが開かれていた。ツバキは読んでみたが、凹レンズのこと等が書かれていてよくわからなかった。
「ねぇ、ホシムラ――?ホシムラ―?虚像ってつまり何―?」
「所詮、お前何か僕を好きになるようプログラムされた人形なんだよ‼‼」
「ホシムラ?」
ガタガタと、ホシムラはキーボードを叩き続けた。




