走り終わってみれば汗でシャツがべっとりしてて嫌って感じの
「痛ッ……そんなにダメージは無いよな?」
銃弾に撃ち抜かれズキズキと痛む腕を抑え、ヒノは倒れたガードと呼ばれる存在を見た。
もうピクリとも動いていないと確認して安心する。
戦いが終わって落ち着くと、出した武器は空間の中に粒子になって消えていた。
ズキズキと痛むあちこちに泣きそうになるのを耐えながらヒノが
「ああもう、気をつけろよ、誤射とかあっぶねぇなぁ」
とアンズに文句を言う。
銃で腕を撃ち、抉りやがったことへの文句である。
少し弾道が逸れていたら腕が吹き飛んでいたかもしれないのだ。
ヒノは、幸い軽傷で済んだ自分の幸運に感謝しながらアンズの返答を待った。
しかしその返答はヒノにとって予想外だった。
「誤射じゃないけど」
さも当然のように彼女は言い切った。
「は?」
ぽたりと水が跳ねる音がする。ヒノの腕から血が流れて落ちたのだ。
「丁度あの時あなたの腕を抉るような軌道で銃を撃つのが一番効果的だったからさ、生き残れてよかったでしょ?」
アンズは自信ありげに成長途中の胸を張る。
さも素晴らしいことをしたという態度である。
「あのさ、つまり俺を撃ったのはわざとってことか?」
「違う違う、効果的な銃撃の仕方をしたらあなたを傷つけちゃったの、撃ったのは仕方ないから撃っただけ」
アンズは笑顔だった。
「ひ、人に怪我をさせておいてよく笑えるなあ」
ヒノは冗談めかすため出来るだけ抑揚をつけて聞いてみた。
おどけながらも心の中に広がる目の前の相手への恐怖を押えられない。
だからこそ、アンズを警戒していることを知られたくなかった。
弱みを見せたらつけこまれるように感じて。
「だって生きてるじゃん?生きてるだけで丸儲け――って」
アンズは屈託ない笑顔を崩さなかった。
「じゃあ、もし俺の腕が吹っ飛んでても笑えた?」
「うん!生きてるもの!」
アンズはハッキリと答えた、彼女には何もその答えに問題があるなんて思っていないのだとヒノは感じ。
「は……は……じゃ、じゃあな!」
と会話に無理やり別れの挨拶をねじ込むと、アンズは捨てられた子犬のようなさびしい顔をした。しかし急いでアンズから離れたいと思っているヒノはその表情に気づかないふりをして。
急いでその場から逃げ出した。
ガードの動かなくなった体に途中つまづいて転んで軽く痛めた、それでもアンズからとにかく離れようと歩く。
決して”歩きたくない”と痛みで宣言する脚に鞭を打つことをやめられなかった。