ラーナの魔法
あぁ、昨日は散々な目に遭ったな......。
ドアの前で動けなかった俺の方にラーナの暴走した炎系の魔法がドアを貫通し、
直撃......って、本当に三歳児かよ!
俺に再生能力があったから良かったものの、なけりゃ人生終了してたな。
カルシアはラーナの魔力にも驚いてたが、俺の再生能力にも驚いてたな。
俺は既に日課になっている走り込みの最中にそんな事を思い出したりしていた。
____ガチャッ
「ただいま~」と孤児院に帰ってくるなり、いつも通りにラーナを起こしにラー
ナの眠る部屋に向かう。これも日課だ。
ラーナの部屋のドアには昨日の貫通穴が出来ており、そこから普段からは想像も
つかない光景を目の当たりにする。
相当、魔法にはまったのか、いつもならまだ寝ているはずのラーナがなにやら魔
法の詠唱を行っていた。
俺は身の危険を感じ、朝食の並ぶ食堂に駆け込む。
「クライン。ラーナは起きたの?」
食堂で待っていたカルシアがそう言うと____バタンッと勢いよく食堂の扉が
開く。そこには寝ぐせの神がかった彼女がいた。
「遅れてごめんなさい。カルシア、クライン」
ラーナはそう言って俺の横に座り、いただきますの合掌を済ませ朝食のパンを頬
張る。
「ねぇ、クライン」ラーナが耳元で囁いてきた。
「あたしの魔法みてみたい?」
なんとも子供らしい遠回しな言い方をしてくる。
それよか「お前の魔法で死にかけたっつーの!」とは言わないまでも必死に嫌が
る素振りをして見せた。
さすが三歳児、そんなのはお構いなく話を続けてきやがった。
「後で部屋にきて、見せてあげる」
いやいやいや、見たくないし、あなた学習能力、皆無なの?え、昨日部屋で魔法
使うの禁止とまで言われていたよね?てかドアに穴空いてるよね?
分かり切ったことでカルシアに怒られるのは勘弁願いたい。そこで提案した。
「よし、俺も丁度、中庭で筋トレするし中庭で見せてよ」と。
カルシアは俺とラーナの会話には一切気付いていない様子だった。
ラーナの魔法が暴走しないことを祈りながら朝食を終えると日課の筋トレをする
為、中庭へ向かう。
いつも通りに中庭で筋トレをしているとすごい笑みを浮かべたラーナが近づい
てきた。
(本当に来やがった......)
ラーナが見せたがっている魔法が俺にとって必要になるとはこの時はまだ知らない。
ここをこうしてほしい。こうしたらいい。
などの意見お待ちしています。