地図、入手
俺は三歳児になった。
二歳の頃には股間に違和感を覚えつつも慣れて来ていたおしめがとれた。
俺とラーナを拾ってくれた女性は孤児院の人だった。
孤児院と言っても五年前には全員この孤児院を卒業したらしく俺とラーナの二人
だけだ。
三歳ともなると言葉も喋れるようになり、行動範囲も広がった。
だが、それでも行動や年齢に制限が付きまとう訳で中々苦労している。
例えば、冒険者ギルドは五歳にならないと登録できないとか、学校とかもあった
な......まぁそれも五歳からしか通えないらしいが。
それじゃあ今は何をしてるかって?
ふふふ......筋トレや走り込みを毎日欠かさずしているのさ。
今も丁度、早朝の走り込みが終わって孤児院に帰って来たところだ。
ガチャッ____
「ただいま~」
「クラインはえらいわねぇ~、それに比べて......はぁ~」
深いため息をついた後にカルシアは俺にラーナを起こしに行くように促す。
はいはい、わかってるよとラーナを起こしにいく。
ラーナが寝ている部屋のドアを開けたらいつも通りの寝相の悪さが神がかった
ラーナがいびきをかきながら気持ちよさそうに寝ている。
「おーい!起きろ!ラーナ」
ショートの綺麗な赤色の髪がすごいことになりながらも上体を起こし眠そうにし
ているラーナ。
「カルシアが呼んでるぞ」
「はーい」と眠そうなラーナと共に戻るとカルシアが朝食を食卓に並べて待って
いた。
この孤児院には孤児の子がたくさんいたのだろう。
俺とラーナとカルシアの三人じゃこの長テーブルはちょいと寂しすぎる。
「ねぇ、カルシア。魔王っているのか?」
俺は朝食に出されたパンをかじりながら質問した。
三歳児のこの質問に驚きながらもカルシアは答えてくれる。
ラーナも眠そうにしていたがこの質問には興味があるのか「あたしも知りたい」
と身を乗り出す。
「魔王なんてどこで耳にしたんだか......まぁ、あれね。十五年前に教会の人
たちが魔王を封印したのよ。それから魔物の数も大幅に減ったわね」
その話を聴いた瞬間、複雑な気持ちになった。
魔王も魔物もいた。だが、封印された上に魔物も減少だなんて、俺の活躍する場
が全くないじゃないか。
カルシアは思い出したかのように話を続けた。
「あっ、でも最近何故か魔物の出現も結構耳にするようになったわね。確かすぐ
外れの村の近くの森で魔物に遭遇したとか......。危ないから街からは出ない
ようにね」
そんなこと言われたら行ってみたくもなるが、今行っても確実に第二の人生終
了ってことになりかねないしな。
(ん?その外れの村ってもしかして......)
「ねぇ、カルシア!その外れの村ってどこにあるの?」
そう、あのクズ親がいる場所かもしれないと思っただけだ。
「ん~、そうね。ここじゃないかしら。ここらの村はここだけだもの」
そう言いながら、カルシアは取り出した地図を指さした。
(やはり、この村か......占めた!地図があるじゃないか。この城みたいなと
ころは王都かなにかか?)
「カルシア。この地図もらってもいい?」
「いいけど、何に使うつもり?」
「ちょっとね!」
誤魔化して言うと俺は食べ終えた朝食を片して自室に戻る。
その地図には王都以外にも様々な行き先が記してあり、おれの冒険心をくすぐっ
た。