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もう一人の赤ん坊

 その日の夜の出来事だ。


赤ん坊特有の眠りから目覚めた俺が目にしたのは、俺を腕に抱え、息を荒げて街


の方へ駆けてく母の姿だった。


「この子は忌むべき子よ____はぁはぁ」


息を切らしながらもそんな言葉を繰り返し吐き続けていた。


街に着くなり母は駆ける足を止め、俺に目もくれず首を右に左にと周りを気にし


始めた。


(この状況って俺にとって非常にマズくないか?てか捨てられたりしないよな?)


「この辺りがいいわね」


(って!コラぁ!予想的中してんじゃねぇ!「この辺りがいいわね」じゃねぇ 


よ。どうすんだよ)


あの野郎!こっちを一切振り向くことなく去って行きやがった。


おいおい、こんな展開ありなのか?


俺の知ってる転生はこんなんじゃねぇ!



 タッタッタッタ_____


足音が近づいてくる。


(次はなんだ......)


母が後悔に駆られ、戻って来た......のか?


「この辺りがいいかしら......あら......」


路地は暗くて良く見えなかったが赤ん坊を抱えた女性と言うことはわかる。


(え、なに、この偶然。てか哀れみを含めた声色で「あら......」とか言って


んじゃねぇよ)


「一人じゃなくて良かったわね。ごめんなさいねママのせいで。この子をお願い


ね」


その女性は涙しながら一度だけ振り返り去って行った。


(お願いねって......お願いされても俺、赤ん坊なんですけど......。てか俺


の時とえらい差だよな)


うん。この状況ってなに、どゆこと?全く展開読めません。


赤ん坊の俺はどうすることも出来ず、路地の吹き抜けから夜空を眺めていた。


隣のこの子は捨てられたことも知らず、気持ちよさそうに寝ている。



 「おぎゃぁぁぁぁぁあ!!!」


「!?」(うおっ!びっくりした~)


そろそろ眠気がきそうだって時に隣の赤子が泣き始めた。


勘弁してくれ。てか泣き止め、うるせぇよ。まぁ赤子はこれが普通な訳で、泣か


ない俺がおかしいんだよな。


「......おぎゃぁぁぁぁぁあ!!!」


こいつ今、一瞬、泣き止んで俺の顔チラ見しやがった......


それにしてもうるさい。


 タッタッタッタッ_____


(この足音......捨て子三人目か?勘弁してくれ......)


「あら、ここね____はぁはぁ......双子ちゃん!?」


(双子じゃねぇよ!)


路地から顔を覗かせたまたしても女性。俺と隣の子に駆け寄ってきた。


女性が俺とその子を抱きかかえると同時に安心したのか泣き喚いていた声もピタ


リとやんだ。


泣き声が止むと急激な眠気がいつも通り襲ってきた。


(いったいぜんたい、これからどうなる事やら......おやすみ。)







 










※ただ赤ん坊の話という訳ではありません

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