化け物?
「ねぇ、どこかおかしいのかしら?」
「考えすぎじゃないのか?」
「そうだと良いんだけど......気味が悪い」
こちらの世界に来てもうかれこれ半年は経つ。
いつも仲のいい父と母がなにやら揉めているようにも取れる。
仮にも俺のいる空間で揉められるのは居心地が良くない。
と、そこで「腹が減った!(あうあうあ~)」と通じもしない言葉を発してみる。
「お、そんな話をするから起きたじゃないか」
「え、えぇそうね。思い過ごしみたいね」
どんな話をしていたのか非常に気になるが、母が俺の言葉を感じ取ったのか、
「まんまの時間ね」と湯気の立つおかゆ鍋を運んできた。
そう、赤ん坊とはいえ、最近はこの質素なおかゆばかりだ。正直味気のあるもの
が食べたい。
その時だった。
「ひゃっ!!!」
「あ゛ぁぁ~!!!(まぁじか!あっつ!)」
このばばあ!躓いたとはいえおかゆを浴びせることないだろう。
すっげえ熱い。ヒリヒリがとまんねえーーー
ジュウゥゥゥゥ~......
そんな音と共に蒸気が上がり、痛みが引いていく。
母の顔は詫びれる要素を一切含まない表情で逆に化け物を見るかの如く目を
見開き驚いた様子だった。
その直後に母が叫んだ。
「ひぃぃぃい!ば、ばけももも、化け物ーーー」と。
ちょちょちょ、落ち着けよこいつ。
人の顔にアッツアツのおかゆを浴びせたんだ。謝るとか手当とか......
ん?あんな熱い物浴びせられたのに今じゃなんともないぞ?
普通は重傷な火傷を負っていても不思議ではないはずだ。
「あなたぁぁぁぁ!ちょっと来て!」
母はテンパっていたのだろう。父を呼びアッツアツのおかゆをこの可愛い息子に
かけ始めた。
(バッカやろーう!ふっざけんな!一度ならず二度までも。狂ってやがる。)
「あうあぅあぅあーーーーー(ちょ、まてまて。うわぁぁあっついって!)」
その直後だ。またしてもジュウゥゥゥゥ~と蒸気と共に音を立てて痛みが引く。
なにがどうなっているんだ?
「こ、これは?何故、火傷が一瞬で治るんだ!」
!!!!????いやぁ驚いた。今、なんと?
火傷が瞬時に治る?だから痛みもないのか。
それって再生能力的なやつだろ?え、俺すごくね?
とか思っていても父と母は違う。話が変な方向へまっしぐら。
「やっぱり化け物なのよ」
や、人間だと思うよ?てかやっぱりってどうゆうことだ?
さっきの揉めてた会話ってもしかして俺のことか?
なにかマズイ予感がすごい伝わってくるんだが......。
「赤ん坊なのに泣きもしないし」
あー、完璧に赤ん坊を演じないと気味悪がられる訳か......って理由もなく泣
けるか!!
「瞳の色も真っ赤じゃないの!火傷も一瞬で治るなんて......気味悪いわよ」
そこまでゆあれると俺もつらいところはある。
瞳の色なんて何色が普通なんだよ!しらねえよ。
再生能力は、うん。俺も驚いた。
「落ち着け、頭を冷やそう。な?」
父がとにかく母を落ち着かせようと必死になる。
「う......うん。」
納得のいっていない様子で取り敢えず返事して見せた母だがその目はうつろだっ
た。