情報収集
目を覚ますとなにやら父と母が身支度を整えている最中だった。
どうやら寝てしまったらしい。
どうも赤ん坊の体では逆らえない眠気が頻繁に訪れる。なんとも不便な体だ。
「お、アルベルトよ。今から街に繰り出すぞ」
俺が目覚めたのに気づき父が駆け寄ってきた。
今更ながら俺がいるこの村は街の外れにある村で、村を囲うように大木で作った
柵で魔物対策的な事を施していた。
まぁ、この世界に魔物がいるのか否かすら確かめられる状況ではないのはお察し通りな訳だが......
だから街に出掛けると言うのは実に都合がいい。
この世界がどんな世界か少しでも分かれば今後の生活にも活かせる。
俺は蔓で編み込んだ木製の乳母車に乗せられ村をあとにした。
徒歩で片道一時間程でようやく街に着いた。
道中で魔物や盗賊らしき者はなく無事についた訳だ。
まぁもしこの世界に魔物や盗賊などがいたとして今のこの現状で襲われれば確実
に第二の人生が終了ってことになりかねない。
そんなのは最悪だ。笑えないね。
街と言うだけあってか人や店で賑わっている。
ただ想像していた異世界ならではの獣人族とかその他の種族は見当たらない。
エルフ美女や獣耳美女が......い、いない?!っとそんな私情より情報収集だ。
母が押す乳母車でそんな私情を挟みながら情報収集に耳を傾けていた赤ん坊の俺
だが若い男二人の声を俺の優秀な声が拾った。
「お前、まだ冒険者登録してないのか?」
「いやぁ、僕はいいよ。冒険者は目指してないし......」
「ステータスが気にはならないのか?」
「冒険者登録しないと見れないステータスなんて別に興味ないよ」
なんとも気の弱そうな喋り方が耳についたんだろう。
ふむふむ。なるほど。ステータスも冒険者登録もある......。
冒険者ギルド的な機関もありそうだな。
しかし、冒険者登録とやらを済ませないとステータスは確認できないのか。
こう言う話を耳にすると更に疑問が湧いてでてくる。
魔法はあるのか?勇者や魔王はいるのか?
クソッ!!こういった異世界転生はすぐに動ける体にしてくれないと困る。
こんな赤ん坊の体じゃ情報収集もままならないじゃないか。
まぁ、この世界で生きていくんだ。それなりの目標が必要だろうな。
取り敢えず、体が自由に動くようになれば出来る事から始めてみるか。筋トレと
か......
強くなることがこの世界で生きていく上で必要じゃないかもしないが、俺の知っ
ている漫画やアニメは転生したら強くてハーレムが常識だ。うん。
そうして思考を巡らせていると赤ん坊特有の逆らえない眠気とやらが俺を
襲った。おやすみ。
取り敢えず一日一部投稿目指してやっていきます。