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蜥蜴狩り  作者: 惹玖恍佑
47/67

47、二月九日、午前八時三十六分。 第二変電所地下ケーブル坑内。 ジャグス。

巨大な縦坑の中で、ジャグスは背後からいきなり撃たれた。


威嚇だった。そのときは下を覗き込んだ姿勢のまま完全に不意をつかれた状態だったので、ラルジャンが殺す気で撃っていれば、間違いなく死んでいた。


見上げると、上方十数メートルに並ぶ横穴のひとつに、血まみれのラルジャンが立っていた。


「迷路の出口まで、一気に落ちたか。しぶといと言うか、悪運が強いな」そう言うラルジャンの首からは、彼が言葉を発するたびにぶくぶくと血が泡を吹いた。彼が飛び降りるのと、ジャグスが首のベルトを引きちぎって姿を消すのとは、ほぼ同時だった。


直径が人の背丈よりも大きなケーブルの上に降り立ち、ラルジャンは辺りを見渡した。「逃げる気か? 出てこい」


「待てよ。あんたはなぜ戦いたがる?」右からジャグスの声がして、ラルジャンは撃った。が、「このまま逃げちまうことも出来るんだぜ? どのみち、その傷じゃ、あんたの命は長くねぇ」今度は左からだった。ラルジャンはまた撃ったが、ジャグスはその直後に真正面に現れると、ルガーの照準をぴたりと彼の喉首に合わせて言った。「そのまま放っとけば、あんたは死ぬぞ。なぜ逃げない?」

「俺の流儀だ。気の合う奴とは、とことんまで戦う」

「気が合うって?」

「おまえのその姿では、昼日中に表を出歩くことも出来んだろう。俺と同じだ。殺しの依頼があるとき以外、用無しの存在さ」

「おやおや。自分を皮肉るのか。あいにく、俺にはそんな趣味はねぇ」だが、ラルジャンの次の攻撃をかわしながら、ジャグスは自分がこれを「蜥蜴狩り」だと言ったことを思い出した。


蜥蜴狩りでもなんでもいい。


ラルジャンに近づかなければ勝てないが、今のままでは、ただ、あの光子銃の掃射を避け続ける以外に手立てがない。

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