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42、二月九日、午前八時三十二分。
都内の上下水道を管理する水道局では、未明の水道管凍結からようやく脱したというのに、今度は下水管の水が大量に漏水しているとの報せを受けて、上を下への大騒ぎになっていた。
水道局長はただちに都内全域で漏水箇所を点検するようにとの指示を出したが、その七分後、警察庁公安第七課より非常回線を通して直接連絡が入り、詳しくは言えないが、いまは地下坑に近づくことは危険なので作業の時間を遅らせてほしいとの要望が入った。
「無茶ですよ!」職員のひとりは局長に詰め寄ったが、それで事態が変わるわけではなかった。
漏水をくいとめる手立てはなかった。




