こどものくに おとなのくに
むかしむかし そのむかし
あるところにこどものくにと、おとなのくにがありました
こどものくににはこどもばかり
おとなのくににはおとなばかりがすんでいます
おとなははたらきます
たべものがほしい ふくがほしい いえがほしい
こどもはあそびます
あそびたい あそびたい あそびたい
こどものくにはたべものがたりません
「たべるものをちょうだい」
おとなはわけあたえました
「これをたべなさい」
こどもたちはもんくをいいました
「やさいはいらない おかしをちょうだい」
おとなたちはいいました
「やさいもたべないとおとなになれないよ」
「おとなになんかなりたくない」
いまがたのしければいいのです
おおきくなったこどもはおとなのくにではたらかなくてはいけません
まいにちまいにち じぶんをすりへらしていきていくのです
こどもたちはいいました
「おとなはおかしをひとりじめしてる とりにいこう」
「そうだそうだ おとなはずるいんだ」
こどもたちはおとなのくににいいました
「おなかがすいたの おかしをちょうだい」
おとなたちはいいました
「おかしがほしければ はたらきなさい」
どうしよう どうしよう
こどもたちはかんがえました
「はたらきたくないけど おかしがほしい」
おとなたちにぶたれて おいだされました
「おかしがほしいので はたらきます」
いっしょうけんめいはたらいて おかしをもらいました
はたらいたこどもは あっというまにおとなになりました
ぶたれたこどもはなきながらかえりました
「おなかがすいた おなかがすいた」
しかたがないのでやさいをたべます
みんなおなかがすいています
でもたべものはたりません
やがてこどもたちはけんかになりました
けんかしてまけたこども かったこども
ぜんぶひもじくて うえじにしてしまいました
おとなたちはそうだんしました
「こどもがいなければ おとなもいなくなってしまう」
「こんどはいうことをきくこどもだけそだてよう」
「こどもにもはたらかせよう」
「そうしよう そうしよう」
おとなたちはあたらしいこどものくにをつくることにしました
おもいどおりにならないなら やりなおすのです