#1「出会い」
続けて本編第1話です。
伝えたい状況が…伝わってるかな?
表現力磨きます(T_T)
鎮静の二文字を知らない、騒然とした放課後の教室では、生徒達の様々な話題があちらこちらに見受けられた。
会話の集団に所属しない生徒は家路についているようだ。制服を強制されない校風のため、私服の上着を着ている生徒も少なくない。
「これはゲームだよ、ゲーム!」
「なにビビってんだよっ!」
「なっ!違うっ!デザインが怖いって言っただけだっ!」
持ち込みを許されていない電子機器を両手で持ち、周りのガヤに声を荒げる少年、霜月瞬は、いたって普通の男子高校生である。
特徴らしい特徴は無いが、あえて言うなら黒い短髪に黒い双眸、無地の黄色いパーカーと痩せ型の筋肉、といったところだろうか。
無事にイージーモードでゲームクリアして散々馬鹿にされたその日の帰路だが、始まった新学期の''りあるにじゅうじつしている''生活に瞬はガッツポーズを隠しきない。
──────────────────────
視界が晴れる。
……意味がわからない
……これはどういう…
突然、目の前の風景が変わったのである。
緑。
森。
森の中。
目。
赤い目。
……
うん。わからない。
「落ち着け、落ち着けよ、俺。」
震える声に困惑と焦りの色を浮かべる瞬は、状況を把握すべく、一度深く深呼吸をしてから辺りを見回した。
まず、自分は森の中にいる。
次に、自分を睨む視線がある。
最後に、近付く四肢の息遣いが聞こえる。
解した。
状況を。
「えと……す、すみませーん……お、俺は何も……持ってな…ぁ」
「ガァルッ!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!待て待て待て待て待て待て待て待て!!!」
話しかけるや否や、飛びつく赤眼から本能的に走り出した瞬は、命の危機に瀕していることを悟った。
「奇襲を避けたのか…これは俺の異能が目覚めたみたいな…!?ってぅわぁああああ!!」
「ゥガルルルル…グァァッ」
「こっち来るなぁぁ!!!ぎゃぁああ!!」
と、狼型のケモノに追い回されること数分、瞬の体力が限界を迎えかけた頃、眼前に人間の姿を捉えた。心身ともに満身創痍の瞬は、神にでも縋るような勢いで助けを求める。
「助け…げほっ……てくださ…はぁっ」
そして、叫ぶ瞬に向けられた掌から…光。
「あっ」
少女の声。
「えっ」
瞬の声。
瞬は、ケモノを巻き込んで…爆音とともに吹っ飛ばされた。
次回 #2「ドロップアウト」