あら見てたのね
生まれてこの方こんなに身の危険を感じたことはない
地平線の彼方まで埋め尽くす様々な魔物の群れ、いやあれはもう軍団だ
幾つかの集団に分かれているが統率された動きに誰が見ても無秩序な有象無象の寄せ集めとは思うまい
明らかに知性あるものが確固とした意思を持ち指揮を執っているのは間違えようもない
なぜなら魔物はベースとなる獣の性質に引っ張られている存在であり、捕食者と被捕食者の関係は変わらないはずなのに、お互いが肩が触れ合う隣であるにも関わらず全く互いに関心がないように振る舞っているのだ
これは異常である
いったい何者がそうさせているのか
ひょっとしたら
まさか
最悪の予想が浮かび上がる
王の誕生
ゴブリンキング、オークキング、オーガキング、リッチ、バンパイアロード、デーモンロード
そして
…魔王
災厄の王の誕生、いや復活か?
バキバキバキ
魔物軍団が森を更地に変えながら南に向かっている
あの方向には確か小さな町(笑)があったはず
このままだと予備戦力もない開拓間もないあの町(笑)は蹂躙され跡形もなく消滅してしまうだろう
報せに行きたいが自分の足では間に合わないっ、どうしたら
そこまでだった
突然目の前から音が消えた
次いで目の潰れるような強烈な光が!!
ド
ズズズズズズ
ズズンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン…………………………………
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンッ!!
うぎゃあーっ!!目があ!!目があ!!
しばらくは目が痛くて痛くてのたうち回った
いきなりの閃光に地響き、いったい何が起こったというのか!?
とにかく痛くて目が開かない、止めどなく涙が流れ出ている
こんなところを魔物に襲われたら助からないが致し方ない
回りにいるであろう魔物の襲撃に怯え、失明寸前の痛みには悶えながら、ひたすら回復を待った
どれくらい経ったのか、ようやく視界が戻る
信じられなかった
あれだけいた無数の魔物がどこにもいない
魔物だけじゃない
魔物のいた辺りの木々や岩山や地肌その他諸々がそっくり抉れたように消えていた
荒ぶる神の御技……なのか?
人に害をなす魔物は消えた
おや?
ここに立つと抉れた跡の形が放射線状になっているのがよく分かる
そしてその収束点とおぼしき場所には…人がいた!?
おかしな服装をした…男?が地面に手をついて…何をしてるのか分からんな
orz
↑のような格好をしていたが何だろう、気になる
さほど遠くない、行ってみるか
あ、あの男(仮)、転んだぞ
腑抜けみたいになってるが大丈夫か!?