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―なら僕は、君たちをつれだすよ―
プロローグ
―お父様、お父様!―
夕方の街中で少女が誰かのことを泣きながら呼んでいる。
―どうしてこうなってしまったの!?―
少女の足元には今にも沈みそうな太陽よりも赤い液体がみずたまりになり、みずたまりを作った主は今はみるかげもなく佇んでいる。
「すまん、こおでもしないかぎり、彼は俺を殺してくれなかったから」と呟き激しくむせた。
「なぜ、なぜですか!?なぜ彼を巻き込んだのですか!?」
少女は叫ぶ。自分の好きだった友をなぜ巻き込んだのかと。 ―巻き込んだ?僕を―
瀕死の彼は僕にむかって笑顔で「娘達を【■■■■■】から連れ出してくれ」と言い彼は目を閉じた。
―娘達を【■■■■■】から連れ出してくれ―
僕は彼の横で泣く少女を見て目を閉じる、僕の手の中にはいまだに沈まない太陽のひかりを跳ね返すナイフが握られてあた。