四
「十五分経った。今から転送陣に移動する。ついてこい」
そう案内されたのは湿度が高い地下室だった。
周りは石で囲まれて、僅かな灯りと四人の男が沈黙を保ったまま立っているだけだ。
男達は皆一様に紫色のローブを身に纏っており顔はよく見ることができない。その静寂さに子供達は畏怖し、誰一人口を開かず指示に従っていた。
決して広くもないその室内に子供達が全員入ると、それを囲うように四人の男達は移動した。
「今から転移の術式を描き、術を発動させる。着いたら速やかに教員の指示に従え」
仏頂面を最後まで崩さなかった壮年の男は「やれ」と短く言ってすぐに部屋を出て行った。もう仕事は終わったと言わんばかりだ。
「では術式を描きます。参考にでも見ていてください」
男達の一人が、穏やかな調子でそう口にすると四人は一斉に術式を描き始めた。
赤、黄色、緑、赤。同じ模様の術式でも色によりこんなに印象は変わるものか。
それはとても幻想的で美しく、真白も他の子供達も口を開けて男達の人差し指から紡がれる色とりどりの術式を見ていた。
そうして、見入っている間に風景が捻れていき、すぐ古びた校舎と一人の男性の姿へと様変わりした。