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紫の願い  作者: 沢森ゆうな
第一章:術使校編
16/59

十三

『辛いだろうがしっかりするんだ。話ならいつでも聞くから』


さっきまで美味しいと食べていた星飴も、充分に優しさを含んだ鉄紺の言葉も、最早鳩羽の心には何も入ってこなかった。


 夕飯を一緒に摂る約束をしていたが断って、部屋に引きこもりベッドへと座った。


(……なんで…どうしよう……)


不安だけが波の様に次から次へと溢れて考えることができない。

逃げることができないなら、これからどうするか――それを考えないといけないのに。




 どれぐらい経ったのか、寒さで鳩羽はぶるっと震えた。いくら昼間暖かくても、夜は冷える。寝間着に着替えようとして立ち上がれば、お腹が鳴った。星飴しか食べていないから当たり前だ。

時計を見れば二十三時。

とっくに食堂は閉まっているだろう。

今更ながらに食べておけば良かったと鳩羽はちょっと後悔した。


(寝よう)

空腹だと考えがまとまらない。

寝間着に着替えるため洋服を脱ぐと細い身体があらわになった。



 こんな身体で術使になったらすぐ死にそうだ。

 まずはしっかり食べないと。

 今日笑いながら「いっぱい食べよう」と言ったけれど、本気で食べないといけない。

とりあえず一つ決めて、鳩羽は寝間着を着た。暖かい素材の寝間着はいつも鳩羽が家で着ていたものだ。


「おかあさん…おとうさん…おにいちゃん…」


少しずつ身体が暖まる。


 今日は眠れないと思っていたのに、ベッドに入るとすぐ意識は闇に溶けていった。




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