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紫の願い  作者: 沢森ゆうな
第一章:術使校編
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 次の日からは早速本格的な授業が始まった。朝礼は鉄紺が行い、大まかにこれからの流れについて説明を行った。


「最初は術使の基本的なことと体力作りを行う。半年経って実習、そして実践と知識的なものから段々経験的なものを学べるように移行していく」


 ここでの授業に教科書はない。授業内容が多岐にわたるため、先生が与えていく膨大な知識の中から自分に必要な情報を取捨選択し、自主的に勉強しろとのことらしい。だから授業も十五時までの日がほとんどだ。


 そのあとは自由時間。図書館にはたくさんの資料があるし、先生に質問すれば答える。求めれば与えられる環境。ただし、何もしなければ何も得られない環境。

試験も四ヶ月に一回の模擬試験のみだ。


「いいか、ここでの勉強の仕方が将来の自分の生死を分けると肝に命じなさい。死ぬ奴は初陣が最期の戦いになるんだ」


 真剣な眼差しに、生徒達は皆、自分が選んだ道の危うさの欠片を垣間見た気がした。



 最初の授業は分析の授業だった。分析は集めた情報を元に戦略を練るのが主で、敵情を探る際にどういった人物からだと探りやすいなどの分析も行うという。


「まず、術使は気の色がそのまま通り名になるから注意しなさい。気の色はその為人ひととなりを表すから、ある程度性格が掴めるのよ。それを基に罠を仕掛けたりされるからね。例えば赤系統は猪突猛進で気性が荒いから、それを逆手に取るわ。赤系統の子いる?」


「はい」


手をあげたのは猩々緋だ。


「例えばある建物を攻略中だとするわ。このまま真っ直ぐ進めば標的がいる部屋にたどり着く。でもおかしい、警備が全くされていない。そんな時どうする?そのまま進む?警戒して迂回する?逆に罠を仕掛けて標的を部屋から出してみる?」


「それは「当ててみましょうか?罠を覚悟で真っ直ぐ行く」


「……そうです」


「とまぁ、こんな風に大体の行動が予測できるから罠を仕掛けやすいわ。この場合はそうね、私が標的だったら道には何も仕掛けないわ。『緊張したけど何もなかったな』って扉に手をかけた時に発動する罠を仕掛るわ」


分析を受け持つ女性教師はにっこりと笑って続けた。


「ちなみに迂回するのは青系統、逆に罠を仕掛けて標的を出すのを選ぶのは黒系統かな。全てがぴったり当てはまるわけではないけれど参考にはなるでしょ?」


 そう言って、色系統の特徴と例の場合どうやって対処すればいいか標的の立場になり教えてくれ、分析の授業は終わった。



 休み時間。食堂に移動してご飯を食べながら話をしていた。

分析の授業は女子から特に好評で、自分だったらどうするという話が話題になっていた。


「鳩羽ならどうするの?」


「あ、私も聞きたーい」


『紫系統は、向上心が強くて好奇心旺盛なところがあるわ。でも割り切る性格で時に冷酷。割りと気分屋ね』


鳩羽は考えていた。


「当日じゃなくて前日までに準備するかな。例えば標的の留まる部屋を予め決めて罠を仕掛けとくでしょ?あとは行くように仕向けるだけでいいし」


「時間がなかったら?」


そんなの解らない。いきなりな仕事だったらどうするか。


「ん〜。依頼主を疑うかも。でも依頼主って、多分所属する軍だから……どうするかな。わからない」


急な依頼なんてあるのだろうか。前々から狙っていた標的が、たまたま警備が少ない所にいるからとかなら解るが、『今日こいつをどうにかしてくれ』なんていうものは怪しい気がする。


そう言うとみんな「へ〜」と何ともいえない反応をして、話しは違う流れへと向かった。




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