あらすじ
ある世界。大陸は海により幾つかに分断されていて、それらは交易を行うことはなかった。
孤立したそれぞれの大陸は独自に文明を築きあげており、その中の一つ、紫波大陸が今回の舞台である。
この大陸には術使と呼ばれる存在がいた。
術使とは術式(=魔法陣)を用いて術を発し様々なことができる者の総称である。
指に気を溜め、空中に術式を描きながら自身の気と自然の気を共鳴させ、様々な現象を引き起こす。
主に戦闘目的で育成された術使は、しかし、その危険性から厳しく監視され――やがて術使と成る者を限定するようになった。知識を学べる場所を三つの学校へと絞り、日常生活への使用を禁止した。
結局は少数精鋭の兵士という戦の駒を育てる為に創設された学校だったが、入学を希望し、術使を目指すものは多かった。
紫波大陸では小競り合いも含めた国家間の戦が多く、術使は重宝された。そのため待遇が破格であり、この大陸で身分関係なく稼げる手段のなかでは、最も安定した仕事だったのである。
その術使を目指す生徒の中に真白という一人の少女がいた。
痩せこけて少し甘えん坊の彼女は家族のために術使を目指し、術使校へと入学する。
この小説はそこから始まる彼女の物語。