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プロローグ
灰色のセミロングの髪を揺らしながら 男は手を振り上げた
「そう、だ これ、でい、い 全、ては欲、望の為…」
ところどころに区切りのある声 それは不気味な妖怪のような声だった
背後から機関銃を握り締めた中年が恐る恐る近づいてくる
「独裁者めッ…」
そう呟き 引き金を引こうとした その時__
「私、に歯向か、う、な」
___と 機関銃が炭となる
「消え、ろ」
地上から60mはある中世の時計台の外に 灰色の髪をした男は立っていた あと1歩でも前に足を動かせば 真っ逆さまだ
「裏切、り者は消、す」
左手に持っていたパイプから手を離す 下に落ちる前にパイプは炭へと化した
「後少、し 世、界が私、の手に」
時計台から1歩踏み出した
灰色の空の中に 冷たい冬の風が灰色の髪の男の頬を拭きつけた
そして____
ギュンッ___
唸るような風の波をかき分け 下へと落下していく しかし男は落ち着いて
「私、は 死ん、だ」
そう一言 言った