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あるとき僕は、すこしだけ勇気を出し
「U子」がからあげ弁当を注文し終えたとき
―僕も、からあげ弁当お願いします
と言ってみた
文庫本を取り出そうとしていた「U子」の手が止まり、僕を見た
僕も「U子」を見た
目があって、けれど、そのときはそれだけだった
そこから何かが生まれることはなくて
次のときから「U子」がからあげ弁当を注文しても
それに僕が続くことはなく「U子」が文庫本を広げている横で
僕はあれこれ悩み続けた
「U子」が文庫本を読む姿を、ちらり見やりながら―
◇ ◇ ◇
バイト先で久方ぶりに見た「U子」の髪は、だいぶ明るい色になっていて
僕はひどく落胆した
あのときの「U子」は、もうこの世界のどこにもいない




