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それもいつものことで「U子」は注文を終えると
文庫本を取り出し、読みはじめる
僕は「U子」が文庫本に目を落としている姿を好ましく思っていた
その姿を見たいがために弁当屋に行っていたと言ってもいいと思う
とくに夏のそれが僕のお気に入りで
強い日差しを受けながら、けれど、そのことを気にせず
むしろ涼しげに文庫本を見入っている「U子」の姿が、僕は一等好きだった
冬は冬で、手袋を取った手に
はああと息をかけながらページをめくる「U子」を見ることができ
そんな「U子」の姿にも僕は注目したものだった




