第一章 黒歴史との再会④
“良い大学に入って国家公務員になる”
それが私の長い間の夢だった。
中学高校と勉強一筋で頑張って来た私は、志望していた国立大学に入学することができ、成績優秀者にのみ許された特別奨学金を受けながら大学に通っていた。
当時の私の目標は『とにかく早く母に楽をさせたい』ということ、ただ一点のみ。
本当は大学などには行かずに就職しようと思っていたけれど、高校三年の時の担任から『青水さんほど優秀な人に就職はもったいない』と止められ、母からも『雪華には女子大生になってキャンパスライフを味わってほしい。』と強く言われて、「それなら」と大学受験を決めた。
けれどやるからには上を目指さないと気が済まない。
女手一つで私を育ててくれている母を楽にさせる為にも、大学に行く四年間のロスを取り戻すくらいに良いところに就職しなければ、と当時の私は考えていた。
“難関大学に入り国家公務員になる”
それを目標に昼夜を問わず時間を惜しんで勉強した結果、私は見事に志望大学へ入学することが出来たのだ。
そんな私が高柳滉太と出会ったのは、大学入学して間もない頃に入ったサークルだった。
そもそもサークルなどに入るつもりもなく、講義以外の時間はアルバイトをしようと思っていた私に、サークル活動を勧めたのは他ならぬ母だ。
『サークル活動こそ、キャンパスライフの醍醐味よ、雪華!』
そんなよく分からない持論を展開した母に押されるがまま、私はESSへと入会した。ESSを選んだのは、どうせなら社会に出た時に役立つサークルがいいと思ったからだ。
そこで出会ったのが彼、高柳滉太だ。
私が入会した時には既に修士一年だった彼は、そんなに頻繁にサークルに顔を出すわけではなく、イベントや大会の時などに後輩の指導がてら様子を見に来る程度だった。
高校を出たばかりの私には、四つ上の彼がとても大人に見えた。
優しくて笑顔の素敵な彼に心惹かれていくのに、そう時間はかからなかった。
いつもとは違う私の様子を高校からの親友はすぐに見抜き、すっかり白状することになった。
初めての恋に戸惑う私の相談に乗ってくれ、応援してくれた彼女とは、お互いが社会に出て別々の道を歩んでいる今も仲良くしている。




