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第四章 思いがけない避難先①


「好きに過ごしてくれていい。俺もシャワーを済ませてくるから」


着くなり入浴を勧められ、避難先に家を借りるこちらの遠慮など一蹴して私をバスルームに追いやった高柳統括は、烏よりも早く水浴びを済ませた私にその言葉を投げると、自分もバスルームへと入って行った。


「好きに…って言われても……」


初めて訪れた職場の男性の自宅で、風呂上りに男物のTシャツとハーフパンツ、という無防備な姿で堂々と寛げる女が居たら見てみたい。私が知らないだけで彼にとっては普通のことなのかもしれないけれど、少なくとも私にはそんな度胸は無い。


(一人暮らしの男性の部屋に泊まるのだって、初めてなのに……)


同じ家で一晩過ごしたことがある異性は、紀一さんと結城君だけ。もちろんそれぞれの奥様も一緒だ。


そわそわと落ち着かない気持ちを持て余した私は、リビングの中央に置かれたソファーの端っこにちょこんと腰を下ろした。



停電で帰宅不可能になった私に、高柳統括は行先変更を告げた。

変更後の行動切り替えが素早いのは、さすがエリート上司。目を見開いて固まっていた私に次々に指示を出す。


「遠山本部長の奥様がご心配されているかもしれない、他にも連絡する必要がある人もいるだろう。時間帯もあるからメールだけでも送っておいたほうがいい」


慌てて鞄から携帯を取り出すと、彼の予想通り佐知子さんから着信とメールが入っている。まどかからもメッセージが来ていた。二人とも私のカミナリ恐怖症を知っているからそのことを案じる内容もある。


返信がない私を心配する彼女たち。自分のことばかりでそんなことにも思い到らない自分が情けなかった。


高柳統括に言われた通りに二人に無事を伝える連絡をメールした。



次に彼が出したのは、私の“お泊り”セットへの指示だ。


煌々と明るいコンビニへと顔を向け、「必要な物は今ここで買ったらいい」と言う。

明日は(もう今日になっているけど)仕事が臨時休業になったので、洋服に関して気にする必要がないけれど、下着やら化粧やら女子には必須アイテムが色々と必要だ。


男性の家にお泊りをしたことはないが、まどかの家に泊まりに行ったことは何度もあるので私にだってそれくらい分かる。


(女性のお泊り事情にまで気が付くなんて、どれだけ百戦錬磨なんだろう……)


少しだけもやっとするのを感じて、手に持っていた買い物かごの持ち手をグッと握り締める。

化粧品や日用品のコーナーで必要な物をかごに入れた後、思い立って奥の棚まで足を進め、車中で待っている高柳統括を気にしながら、手早くかごに商品を入れて行った。


買い物を終えた私を乗せた車は、コンビニを右折して来た道を戻るように走り始めた。

それから数分後には彼の自宅マンションへ到着したのだった。






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