第十三話 新たな仲間を手に入れる
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神殿にあがることになった巫女候補には専属の護衛騎士がつくことになるのだけれど、私にだけこの護衛騎士がなかなか決まらなかったのは、間違いなく姉の差配によるものだろう。
「仕方がないことですもの。アンシェリークは私のおまけとしてついて来たようなものですし、それに私たちは姉妹ですから、護衛の騎士は私たち姉妹に一人つけてもらう形で全く問題ないわ!」
姉は太陽を溶かし込んだような輝かしい髪にピンク色の瞳を持つ、女神の化身と言われるほどに優れた容姿の持ち主なので、姉妹で一人、専属の護衛騎士をつける形で良いという言葉で神殿騎士たちの好感度をググーッと上げることに成功をしたみたい。
神殿を守るべき騎士たちを私たちのために多く使うのは申し訳ないってことなんだけど、自分はちゃっかりと一人をキープして、結局、妹には護衛の騎士など付かない状態となったのだけれど・・男だったら誰しも、女神の化身と呼ばれる容姿の令嬢に注力するようになっちゃうわよね。
姉としては、共同の護衛騎士を付けて貰ったという理由で、妹である私を身近に置いておくってことが出来るわけ。
巫女候補たちは食事を同じ食堂で摂ることになるのだけれど、姉の差配で私の分だけ用意されない。これはいつもと同じようなやり方で、
「どれだけ言っても妹は私たちと一緒に食事を摂りたくないと言って仕方がないのです、不愉快な思いをさせてごめんなさい!」
と言って、他の巫女候補さんの前で泣いて謝っていたみたい。
ちやほやされることが大好きな姉のやり方は、巫女候補たちをあの手この手で懐柔した上で、私の評価を常に落っことしながら自分の周りに取り巻きを作り出す。もちろん彼女たちに専属でつく護衛騎士たちにも、妹がいかに横暴で哀れな問題児であるかということを吹き込んで、自分がいかに苦労しているかと訴え、泣きつくようなことをするわけだ。
そうなったらどうなるかは猿でも分かると思うのよ。
巫女候補、そして専属の騎士、その全員からめちゃくちゃ嫌われるっていうのに、そいつらと一緒に始終行動を共にしなければならないのが私ってわけで、孤立して苦しむ妹を見て、姉は心の中でコロコロ笑うっていう寸法ね。
私にとっては、他の巫女候補も、護衛騎士も、実にどうでも良い存在なのだけれど、後にこの女神様らしい姉の配慮に対して、心の奥底から感謝することになるの。
巫女の候補として選ばれるのはベルナール王子の妃となっても問題ない身分も高い令嬢たちということになるのだけれど、そんな令嬢たちの護衛騎士となるのならば、それなりの家の貴族令息ということになるわけで・・
ベルナール王子は容姿が気に入った姉を即座にベッドに引き摺り込むような男だけれど、彼は八人集まった巫女候補たちとは、どいつと寝ても問題ないのだと勘違いしているところがあるみたい。
王子の伴侶候補となる令嬢なのだから、身持ちも堅いきっちりとしたレディも居るわけなんだけれど、なんと、その身持ちも堅いきっちりとしたレディと寝るために、王子は彼女の護衛騎士を懐柔した。
有力な後ろ盾を持つ神官たちが、女神様に祈りを捧げにやってきた信徒の女性たちを無理やり神域に連れ込んで暴行を加えるようなことをしていることでも分かる通り、ここ、神殿では、何でもかんでも男たちのやりたい放題状態になっているのかな?
無理やり身持ちも堅いきっちりとしたレディの体を暴いた王子が言った言葉が、
「俺にはじめてを捧げられて嬉しいだろう?俺ほど上手い奴が最初の相手だということをお前は感謝するが良い」
だそうよ。身持ちも堅いきっちりとしたレディの専属の侍女が言っていたから間違いないわ。本当に、死ねば良いのにって思うのよ。
とりあえず、この世に正義ってないのよね。
王子様からしてこんな輩なんだもの、王家全体がどうなっているかなんて簡単に想像出来ちゃうわよね。
私は姉によって専属の護衛もいなければ、専属の侍女もいないような状態で、そのうち、粗末な部屋へと移動させられて、食事も満足に摂れていないという状況に追い込まれたのだけれど、私お得意の『女神様のお怒りが〜』を使うことをやめたわ。
大神官様は私の窮状を察して何とかしようかと言ってくれたのだけれど、とんでもない。王国で最大の権力を持つ一族に万が一にも目をつけられないようにするためにも、満足な衣服も用意出来ず、痩せ細った、見るからに醜い女という装いでいないと、
「巫女候補は全制覇するぜ〜!」
なんてバカみたいなことを言い出しかねないもの!冗談じゃないわ!
それに大神官様が付けようとしているのは貴族騎士だと言うのよ?
冗談じゃない!王家に重ねり続けている貴族騎士なんかついた暁には、いつ、どこで王子に売りつけられることになるのか不安過ぎて夜も満足に眠れないっていうの。
王子は馬鹿だから、巫女候補は自分の所有物程度にしか考えていないみたい。
王家はあんな調子だから女神の加護がどんどん薄れてきていて、過去には沢山現れていた巫女様の出現もなくなり、国民の生活も厳しくなってきているから、女神様の手厚い加護を再び手に入れるためっていうお題目のもと、王太子の妃には巫女がなるって法律で決められているっていうのに、私みたいにはなから女神なんていないと思い込んでいるものだから、神殿へのリスペクトとかほぼゼロ状態なのよね!
今のところ八人いる巫女候補の末席に位置する、見た目も冴えないハズレくじの妹である私は無事でいるけれど、最近、エトとヘイスという二人の神官がいやらしい目付きで見てくるようになったのよね。
八人いる巫女候補の中で、どうあってもベルナール王子が手をつけなさそうな巫女候補。そんな巫女候補だったら、自分たちで好きにしても良いのではないかと考えているみたい。
何しろあのクソ神官どもの後ろ盾は側妃と妾妃ですもの。怖いもの無しなのは間違いないし、
「女神の化身といわれたヘンリエッタ様の妹なのだから、見かけはアレでも美味かもしれぬし、初見の味見はいくらでも楽しみたいし」
なんてことを言っているのを聞くと、そろそろ大神官様のところへ逃げ出した方が良いのかもって思うわよね。
そんなある日の夜、クソみたいな二人の神官たちは私を凌辱するためにやって来た。手慣れた手つきで部屋に侵入して来たことから、こいつら、明らかに常習犯だ。もしかしたら、神殿で働く修道女さんたちにも手を出しているのかもしれない。
神官たちの悪事を事前に察知した黒髪の神殿騎士が私の所へやって来て、不埒な神官の始末は任せて欲しいと言い出したのよ。
琥珀色の瞳を真っ直ぐに私に向けるのは黒髪の平民騎士であり、私はこの、女の子のように整った顔の男を覚えていたの。女神の泉を破壊したという濡れ衣を着せられ、民衆が集まる中で公開処刑された平民の男。明らかにその親族と思われる少年は、神殿騎士となって私の目の前へ現れた。それも、燃えるような憎悪の瞳は相変わらずのままで。
「巫女候補様となればベルナール殿下と顔をあわせることも多いことでしょう?巫女候補様の護衛騎士となれば殿下とお近づきになれるかもしれません。私の目標は王宮騎士となることなのです」
フィルベルトという平民騎士は、飄々とした様子で私に向かって言い出した。王宮騎士として出世することが目標だから、ベルナール王子の目に止まるように巫女候補の護衛騎士になりたいだなんて、完全なる嘘よ。
あなたは今でも王家に対して憎悪を燃やしている、それは、その琥珀色の瞳を見れば明らかよ。
それに平民騎士というところもいいわね。
これが貴族騎士だったら、いつ何時、家が大事だとか言い出して裏切られることになるのか分かったものじゃないもの。
あなたは王家に対して復讐をしようとしている。
そもそも、昏倒している神官のうちの一人は、女神の泉を破壊する原因となった妾妃アンネリーンの実の兄ですもの。大きな後ろ盾もある貴族神官相手に、どんな手に出るのかは分からないけれど、期待ばかりが膨らんでいく。
ええ、そうね。あなたが望む通りに、あなたを私の専属の護衛騎士としてあげましょう。私はこんな馬鹿みたいな島からそのうち抜け出してやるつもりだけど、それまでの間は、あなたに協力してやっても良いくらいには思っているのよ。
過去編となりまして、裏切りとか、策謀とか、悪い奴とか、どんどん出てくる予定でいますので、懲りずに最後までお付き合い頂ければ幸いです!!
もし宜しければ
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