69.古代兵器ぴーちゃん⑮
「こうかな?」
「いや、それをはめた場合こっちが変になる。しばらく保留だな」
「う~ん、難しいな」
私こう言うの苦手だよ。
はあ、パズルさんは頭使うから嫌だな。
あれから番人さんを倒して、まあ倒したのはフェチョナルさんだけど。
先に進んだよ。
それで、今はこのパズルさんを解いてる。
目の前にある大きな壁に描かれた絵。
それと同じになるように、石台の上にあるパズルにピースさんをはめていく。
地味だけど結構な難問だよ。
このパズルを完成させれば扉が開く。
たぶんそういう仕掛けだよ。
「罠の可能性もあるがな」
「ん? なんでそう思うのかな」
「考えてみろ、なぜアイツの後にコレなんだ? 順番的に逆だろう。ワタシたちのことだ、どこかで道を間違えたんじゃないか?」
あの門番さんの後に、この地味なパズルさん。
「言いたいことは分かるよ。要はダンジョンの様式美さんってことだよね」
最初は簡単なことからで、徐々に難易度が上がって、最後に大ボスさんを倒してお宝へ。
一般的なダンジョンの作りだよ。
「罠じゃないとすれば、ここを作ったヤツのセンスを疑うな」
「そうかな? 私はこう言うのがあっても良いと思うな。緩急さんあって新鮮だし」
毎回最後に大ボスが控えたら疲れるよ。
色々準備とか温存しとかないとだし。
どうせダンジョンに潜るならさっぱりしてる方がいいよね。
「もしかするとこの奥に真のボスが控えているかもな。アイツはほんの小手調べだった可能性も」
「それはちょっと勘弁願いたいな」
アレよりすごいのがいるなんて考えたくないよ。
このダンジョンさん。
フェチョナルさんはともかく、私にはレベルが違いすぎる。
もしまた広い部屋に出たら大人しく撤退するよ。
それに、警戒しすぎだと思うな。
たぶんもう大丈夫だよ。
なんたってこのパズルさんはすごく難しいパズルさんだから。
ピースさんの形や数がいっぱいあって無駄に複雑だし。
もうかれこれ2時間は悩んでる。
いつもなら見ただけで戦死喪失さん。
イライラが爆発してとっくに放り投げてるよ。
うん、これは難関だよ。
「とりあえず続けるか。嫌でもやるしかないからな」
「了解だよ」
今は目の前のパズルさんに集中。
正直、私じゃ貢献できそうにないから、フェチョナルさんだけが頼りだよ。
……ん?
「どうしたのかな? フェチョナルさん」
今ちょっと笑ったよね。フッって。
「私なにか変なこと言ったかな?」
「いや、こうして誰かとダンジョンに潜るのは久しぶりだと思ってな」
誰かと?
「それって、テナコさんたち以来ってことかな?」
「ああ。最近分かったんだが、ワタシはどうにもソロの方が性に合っているらしい。お前も最初の頃に言ってただろう。周りに迷惑かけるくらいなら1人でやった方が良いって」
「それは……うぅ、ごめんだよ」
アレは若気の至りさんで。
反省してるよ。
だから根に持たないでほしいな。
「別に責めているワケじゃない、お前の言うことは最もだ。昔から歩幅を合わせるのが苦手でな、周りを見ずに1人突っ走ってしまう。結局どこまでも自分本位なんだ」
たしかに。
協力して魔物と戦うなんて出来なさそう。
何でも1人で突っ込んで解決しそう。
最初は良いだろうけど、毎回それやられると揉めそうだよ。
強すぎるっていうのも考えモノだね。
「良いと思うな。そういう決まりがあるワケじゃないし、その方が一般的ってだけで無理にパーティさん入らなくても。中には人付き合いが苦手だけど、渋々入ってるって人もいるだろうし」
1人でもやっていけるなら全然。
冒険者は自由なんだよ。
自分に好きなように自由にやっていいんだよ。
それなりに責任も伴うけど。
「ソロ冒険者って中々できることじゃないよ。普通はパーティさんで戦うような相手を1人で相手できる。すごいことだよ」
歴戦の猛者感あってカッコいい。
「協調性皆無さん。逆を返せば、そこがフェチョナルさんの良いところだよ」
現にさっきもだけど、私たちはそれで助かってるワケだし。
私、気が動転して立ち尽くしてたから。
「なんだそれは。褒めてるのか貶してるのかどっちなんだ」
「もちろん褒めてるよ。自信を持ってほしいな」
持ちすぎても困るけど。
「フッ、それでも誰かとこうして一つの事をするのは良いことだ。お前たちといると尚更そう思う」
楽しいって言いたいのかな。
なら私もだよ。
「依頼、上手く行くといいな」
「うん、そう願うよ」
今回もきっと何とかなると思うな。
「完成だ、先に進むぞ」
「うん」
扉が開くよ。
パズル部屋を突破した私たち。
扉を抜けて、景色の開けた大きな部屋に出たよ。
「ここって……」
石でできた壁さん床さん。
一応、周りはロウソクで照らされてはいるけど、少し薄暗い。
相当使われてないのか、少し埃っぽい匂いがする。
なんだか神聖な場所だよ。
それと、すごい既視感がある。
「水晶で見た景色と全く同じだな。ここが最深部で良いだろう」
「うん、それに……」
真ん中にあるアレ。
「ああ、見つけたな」
大きな鏡。
フレームは黄色で全体的に白い派手めなデザイン。
これだよ、古代兵器ぴーちゃん。
ついに見つけたよ。
「私たちが映ってるよ」
一見さん、貴族の人とかが部屋に飾ってる高級な鏡。
よく見ると翼や剣の彫刻さんがあるね。
デザインもそうだけど、昔の王国の人とかが作ったのかな。
はえ〜、
「よせ、安易に触らない方がいい。何が起こるか分からないからな」
「それもそっか、ごめんだよ」
古代兵器だもん。
私としたことが迂闊さんだったよ。
「どうやって使うのかな? 物だけここに置かれてもだよ」
なにか説明書とかあっても、
「そもそもだが、どうやって持ち出す? 大きさもそうだが、かなりの重量がありそうだ。ワタシたちだけじゃ厳しいだろう」
たしかに。
道中に階段とかあったし、2人で運ぶのはちょっと重労働さん。
腰さんにきそうだよ。
「まあ、何にしてもボスへの報告が先だな」
目的の物、古代兵器ぴーちゃん。
「うん、目的は達成したし、私も賛成だよ」
メイルくんに報告。
それで後のことはメイルくんにゆだねるよ。
「よし、ならさっそく――」
スッ
「──ああ、見つけた、見つけました……」
ん、なにかな?
誰か来たよ。
入口からぬるりって。
「ついに、ついに、これで終われる」
私たちのことを気にも留めず、鏡に向かう。
「なんだコイツ? 急に現れたぞ」
たしかに、まるで今までいたかのような感じ。
ずっと後ろからついてきてたのかな。
ん?
あれ? この人って……
「ワタシとしたことが全く気づけなった。手柄を横取りするつもりだろうが、そうはさせない」
「待ってよ、この人ルイスさんだよ」
「ルイス? 今回の依頼人か?」
うん。
自称二重人格で薬物中毒者のルイスさん。
「でもおかしいよ。なんでこんなところに、たしか今は病院で治療を受けてるはずだよ」
1人でここまで来られる精神状態じゃないはず。
そもそもだよ。
ルイスさんはぴーちゃんのことなんて知らないはずだよ。
それをさも探してたみたいに。
メイルくんが教えたのかな。
「長かった……これで、ようやく……」
鏡の前ですがるように座ってる。
可哀そうに。
きっと薬物の副作用でおかしくなっちゃったんだね。
極度の幻覚症状、もう手遅れさんかな。
「何にせよ、この件もメイルに報告だ。一旦連れ帰ってから問いただすか」
「うん。それが良いと思うな」
ここにいても何もできそうにないし。
戻るついでにルイスさんも──
「──ダメだ!」
この声は、メイルくん?
なんだろう、入口の方から、
「そいつだ! ペルペル伯爵を襲ったのは! そいつが教祖、身に染める者だ!」
えっ、
「はっ⁉」
この人、いま笑って、
鏡から無数の白い手が、
「わっ!?」
なにかな!?
急に鏡が光って、まぶしいよ!




