表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/73

65.古代兵器ぴーちゃん⑪

 状況を整理しようかな。

 えっと、まずは今回の依頼主、ルイスさんの二重人格について。

 最近、居候してる闇人格さんが身体を乗っ取ろうとしてるらしくて、それをどうにかしたいんだって。


 方法は今のところ2つ。

 一つは古代兵器ぴーちゃんの捜索。

 噂では精神に関係する兵器らしくて、これを使えば闇人格さんを追い出せるかもしれないよ。

 こっちは私とフェチョナルさんが請け負ってる。

 

 んで、もう一つはちょっと複雑さん。

 始めはルイスさんを病院に預けて、その間色々調べて方法を模索するっていう感じだったんだけど。

 

 ルイスさんが例の薬物使用者だって分かって急きょ方針転換。

 原因が薬物使用による幻覚作用っていう可能性が上がってきた。


 とりあえず薬物の使用はやめて貰って、その間に出所を探ることに。

 上手く行けば教団のボスに辿り着けるかもしれないよ。

 こっちはメイルくんとロザリアさんが請け負ってるんだけど、大丈夫かな。

 

 不安は色々あるよ。

 でも私は任された仕事をやるだけ。


 だから、


「今日も頑張るよ!」


 ぴーちゃんを見つけるよ!


「随分と張り切っているのな。どうした? 昨日はあまり乗り気じゃなかっただろ」


 フェチョナルさん、今日もキマってるね。

 よろしくだよ。

 

「メイルくんの勘はよく当たるんだ。私は信じるよ」

「よく分からないが、やる気になったようだな。よし、2人で一攫千金だ」


 うん、頑張ろうね。

 

「それで、どうする。昨日のように地道に聞き込みか?」

「う~ん、昨日はそれで結局なにも進展なかったし、あんまり意味ないんじゃないかな」

 

 いたずらに聞き込みしても疲れるだけかも。

 昨日みたいに途中で萎えちゃうのが関の山だよ。

 

 でも、かと言って他に方法があるワケじゃないし。

  

「うむむ、難しいな」

 

 開幕さん。

 早くも雲行きが怪しいよ。

 これはアレかな。

 ずっと楽しみにしてたけど、いざやってると案外そうでもないみたいな、そんな感じだよ。


「やはりそうか。なら腹を括るしかないみたいだ」

「その言い方だと何かあるのかな?」


 たしか昨日、アプローチさんを変えるとか何とか言ってたような、


「ああ。一つ当てはある。あまり気乗りしないがな」 


 気乗りしない?

 うん?


 


 ──しばらく街を歩いたよ。

 言われるがままフェチョナルさんについて来たけど、どこに向かってるのかな。


「着いたぞ」


 テントさんみたいな、上がとんがってる丸い建物。

 これは、何かのお店?

 変な看板があるし。

 よく分からないけど、この小さなボロ屋がそうなのかな。

 

「テナコ、ワタシだ。入るぞ」


 私も入ろうかな。

 一枚布さんをくぐるよ。


「お邪魔しますだよ」


 わっ、めっちゃ散らかってる。

 

「相変わらずのとっ散らかり具合だな。全く、少しは整理出来ないのか」

 

 これは商品なのかな?

 作りかけの機械や、その部品やら何やら色々転がってる。

 サビの匂いやホコリもすごいし、ガラクタ屋敷だよ。

 

「──ムフッ、ムフフフッ」


 カウンターの向こう誰かいる。 


「おい、テナコ。来てやったぞ」

「ムフフッ、おっ? おぉ~、これはなんという……」


 本に夢中だよ。

 こっちに気付いてないみたい。


 枯れ葉みたいな茶色の髪色に、2つに分けた三つ編み。

 歳がメイルくんと同じくらいの可愛い女の子。

 

 服装からして魔術師さんだね。

 広さの余る袖がズリ落ちてる。

 サイズが合ってないからより子どもっぽく見えるよ。

 

 私と同じで真ん丸眼鏡さんをかけてる。

 ちょっと親近感が沸くかも。

 

「聞いてるのか」

「は~、素晴らしいです。この尊さ、どうやら今回は当たりのよう──」

「いい加減にしろ!」

「あいたっ」

 

 あっ、


「な、なんですか急に⁉ まだ開店前だと言うのに、はっ! まさか強盗!? そんな、ついに私も闇組織に狙われるように!?」

「お前の店を襲撃するヤツなんていないだろ。ワタシだ。忘れたのか」 

「おや? その声、年齢の割には幼児体型、それに似合わない派手派手な恰好は……」


 ジ~ッって見てる。

 

「お前よりはマシだ」

「おおっ! フェチョナルさん! なんですか、また随分と久しぶりじゃないですか」

「前に会っただろ、バカなのか」

「そうでしたっけ? おやおや~? さてはそんなに私に会いたかったんですか~? 我慢の効かない子ですねえ~」


 テンションさん高いよ。


「はあ、帰りたくなってきた」

「別に照れなくても良いんですよ。もう何度も一夜を共にした仲じゃないですか。ええ? お互いに隠し事はナッシング。久々に会うだと言うのに冷たいですねえ~」

「単に師が同じってだけだろ」


 ってことは一緒の門下生さんかな。

 

「お前は相変わらずだな。なんだ? 昼間から何1人で本を読んでニヤついてる」 

「あっ、これはその、何でもないんです! ええ、やましいことは何も。これは今進めてる研究の資料をですね……」


 ササッ


「と、とにかく! 説明したところで素人には分からないんですよ! 部外者は口を挟まないでください! ハッキリ言って迷惑なんです!」


 めっちゃ早口さんで本を隠したよ。


「人のプライベートに安易に踏み込むとは、もう少しはデリカシーというモノを……って、おや? あなたの隣にいる、師匠に匹敵するほどのナイスバディな女性は一体……」

「ああ、コイツは」

「はっ! 待ってください! もしやコレですか?」


 その指の形は何なのかな。


「これはまさか俗にいう浮気!? そんな、私というモノがありながら!?」

「話を聞け」

「許せません許せません、ええそうです、これは私もぜひ混ぜて貰わないと到底許せない事案──」

「いい加減にしろ!」

「あいたっ」


 あっ、

 

「少しは落ち着いたか?」

「……すみません、少々度が過ぎました。いやですね、ほんの冗談ですよ冗談」

「次はないぞ、これ以上ワタシに恥をかかせるな」

「はい、もう大丈夫です、はい」


 

 何なのかな、この人。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ