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62.古代兵器ぴーちゃん⑧

「メイルくん、どうするのかな」

 

 とりあえずルイスさんは家に帰したよ。

 明らかに寝不足だったから。

 精神も不安定だし、休ませた方がいいよ。

 

「苦しんでる人を放っておけない。ミチルも見たはずだ」


 ルイスさん、怯えていたな。

 ギリギリまで追い詰められて、もう半分諦めてるような。

 もう頼れるのが私たちしかいないって、そういう目をしてた。


「……うん」


 分かってるよ。

 助けたいって気持ちはちゃんとある。

 

「もう知っちゃったし、今さら見なかったことにはできない。だよねメイルくん」

「流石ミチル、僕の言いたいことが分かってるね」

「なに言ってるのかな。助手なんだから当然だよ」


 これまでだって何とかしてきたし、きっと今回も解決できるよ。

 うん、依頼さん頑張るよ。


「ですが、実際どうするおつもりで?」


 ロザリアさん。


「二重人格だと言っていましたが自称の可能性も。仮に本当だったとして、人格を、それも片方だけを都合よく消すなんて可能なのでしょうか? ハッキリ申しますと我々素人では無理かと」

 

 たしかに。

 どうすればいいのかな。

 

「それについては本題、今からみんなで考えよう」

「いつも通り作戦会議だね、なら紅茶をご用意するよ!」

「うん、お願い」


 少し待っててほしいな。

 


 紅茶さん、コトッ


「じゃあ、意見がある人は挙手を」

「はい!」


 はい! はいはいはい!

 はいだよ! はい!


「じゃあ、ローズから」


 むぅ、メイルくん。

 意地悪しないでほしいな。

 

「専門家に任せてみるのはどうでしょう。先ほども言ったように二重人格とは精神病の一つ、我々が下手に改善を試みるよりは専門家に任せた方が無難かと」

 

 なるほどだよ。

 お医者さんに丸投げ。

 私たちのせいで逆に症状が悪化するかもだし。

 それなら最初から専門家さんに任せた方がいいよね。

 一理あるよ。

 

「なるほど、最もな意見だ。父さんに診てくれる医者がいないか掛け合ってみるよ」

 

 偏見さんかな。

 メイルくんのことだから却下すると思ってたよ。

 自分たちだけで解決したがるから。


「じゃあ、次はミチル」 


 むっ、私の番だよ。

 

「はい! 闇人格さんと直接会って、追い払うのが良いと思うな」


 闇人格さんを呼び出して退治する。

 

「身体から出て行くよう説得するんだよ」


 フフンッ


 悪霊の時と同じだよ。

 杖さんグイグイって。

 抵抗するなら多少のポカポカさんも。

 

 二度と出てこれないよう身体で分からせる。

 ふむ、これは中々……天才さんかな?


「それだとルイス様を傷つけることになるのでは?」

「えっ?」

 

 ……あっ、そっか。

 身体はルイスさんの身体。

 主人格さんに戻った時が大変だよ。

 

 はたから見ると暴行事件になっちゃう。

 そうなったらバカみたいだよ。


「まあ、それは最終手段ってことで」

 

 保留にされたよ。

 そう言えば武力での解決は良くないんだったね。

 これは盲点さんだったよ。

 

「東方の地域に未知の儀式が多くあると言われています。中には人格を分離させるようなモノもあるかと。この際そちらを当たってみては?」


 いや、ロザリアさん。

 たぶんそれ黒魔術さんだよ。

 関わらない方が良いんじゃないかな。

 

「仮にピンポイントでそういう儀式があったとして、僕らがやるの?」

「はい。場合によっては」

「そう言うのって基本失敗して、本人だけじゃなくみんなの人格が入れ替わるのがデフォだと思うけど」

「本の読みすぎでは?」


 う~ん……


 あっ、そうだ。


「なら逆に仲良くしてみるって言うのはどうかな。闇人格さんとお友だちになる。お願いして乗っ取りをやめてもらうんだよ」


 押してダメなら引いてみる。

 あくまで平和的交渉。

 案外上手くいくかもしれないよ。


 みんなで食卓さん囲んで、美味しい物を食べれば絶対に、


「ミチル様、真面目に考えて下さい」

「えっ? 私は至って真面目さんだよ」


 酷いな、ロザリアさん。

 怪しい儀式よりマシだと思うな。

 

「僕は良いと思うよ。ミチルらしくて」


 メイルくんまで。

 2人とも相手にしてくれないよ。


「残念だけど、多少仲良くなったくらいで出て行ってくれるとは思えない。話では攻撃的な人格らしい。僕らを欺いてくる可能性だってあるし、深く関わるのはやめた方がいいかもしれない」

 

 そっか。

 虚を突いた良い案だと思ったのにな。

 

「う~ん、ならやっぱり直接会って説得するしかないんじゃないかな?」


 場合によっては無理やりにでも。

 武力はダメっていつも言ってるけど、今後の依頼次第じゃ魔物さんと戦うことだってあるだろうし。

 たまにはそういうのも良いんじゃないかな?


「やはり専門家に頼るのが現実的かと」


 ロザリアさんも言ってるよ。

 どうするのかな、メイルくん。


「って言うかそもそもだよ、メイルくんは何かないのかな?」


 少しは提供してほしいな。

 司会役だからって別に案を出さないで良いワケじゃないんだよ。

 

「ミチル様、やめておいた方が」

「なんでかな?」


 私たちだけ案を出して不公平だよ。

 ロザリアさんはそれでいいのかな。

  

「実は一つだけ、僕に案がある」  

「んっ、あるんなら勿体ぶらないほしいな」

「あるにはあるんだけど、正直あまりおススメはしない」

 

 そういう言い方されると余計に気になるよ。

 心なしか、メイルくんも言いたそうにしてるし。

 

「ミチル、舞踏会の日のことを覚えてる?」 

「えっ? うん、覚えてるよ。キャビアさんにフォアグラさん、オレンジ色のメロンさんに大きなフォールケーキさん」


 フカヒレさんスープに、あと赤身のローストビーフさんもあったかな。 

 他にはえっと……

 

「違う、そうじゃなくて。ペルペル伯爵が尋問されていた時のことだ。僕の隣で見てたよね」


 それってあのお掃除部屋での話かな?

 

 たしかペルペル伯爵に変装した教祖さんが、ぴーちゃんについて質問して。

 本物の伯爵さんは知らないって。

 それで酷い目にあわされて。


「その時の会話をよく思い出してみて」


 会話?

 なんて言ってたかな。

 

 う〜ん……


「『精神に干渉する物』だって、そう質問していたはずだよ」


 そんなこと言ってたっけ?

 ちょっと覚えてないかな。


「精神に干渉する物……あっ! もしかして!」


 人格とか消せるのかな⁉

 

「あの時のやり取りが本当なら、古代兵器を使えば上手く行くかもしれない」

「それって可能性はどれくらいかな?」

「分からない。未知の存在だから何とも。単に僕が気になるってだけで、確証性は低いと思う」


 はえ〜、ぴーちゃんか。

 完全に忘れてたよ。

 メイルくんの案が一番ぶっ飛んでるな。

 

「僕らはまだ二重人格についてよく知らない。多少の知識はあっても、まだ実物を見たワケじゃないからね」

「そもそもだよ、ルイスさんはホントに二重人格さんなのかな?」

 

 ほらっ、二重人格さんって滅多にいないらしいし。

 本人が勝手にそう思い込んでるとか。

 

「そうだね。どちらにせよ調べる必要がある。まずは二重人格への理解を深めることから。それで取るべき選択肢が見えてくるかもしれない」

「う~ん、なら結局どうするのかな?」


 調べるのか、それとも探すのか。

 

「二重人格の調査と古代兵器の捜索、2つを同時並行で進めよう」

  

 調べ物さんに、探し物さん……

 

 

 はえ~、ハイスケジュールだよ。

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