15.新米冒険者からの依頼⑤
それから2時間後、
「着いたな!」
目的の採掘スポットに到着。
「ここが……」
初めて来たけど、ふーん。
ゴツゴツした岩がいっぱいあるね。
それがいくつにも重ねって、一つのお山さんみたいになってる。
鉱山って言うほど大きくはないけど、これなら採掘に困らないかな。
「って言うか、よくこんなところ知ってたね」
驚いたよ。
森さんの中にこんなところがあったなんて。
ちょっとした穴場スポットって感じだし。
「ああ、場所は曖昧だったが、昔に師匠とよく来ていたからな」
あっ、お師匠さんがいるんだ。
はえ~、なんか意外。
言っちゃ悪いけど、なのにアレ?
止めないってことはお師匠さんも変なのかな。
「それでブロード、ここに例のブツが眠ってるの?」
「ああ、そうだ。良い魔晶石が見つかるといいんだが……」
星4以上はあるのかな?
ゴソゴソって。
ブロードさんがピッケルさんを取り出した。
「よし、あまり時間もないからな。さっそく採掘を始めるぞ」
シャキン
ピッケルさんの先が光る。
「僕も手伝うよ。見てるだけなのも退屈だからね」
「いいのか? 子どもには結構な重労働だぞ。あとそれは大人用だから、お前にはキツいと思うが」
「ご心配に及ばないよ。こう見えて腕力には自信があって……」
ピッケルさんを持つメイルくん。
ちょっと重そう。
「……やっぱり僕もこっちにするよ」
「それがいい。あんまり無理しなくていいからな」
「うん、ブロードもね」
「フッ、意地っ張りなヤツめ」
ふーん。
2人ともすっかり仲良しさんだね。
一体誰のおかげでここまで来れたと思ってるのかな。
まあ、別にいいけど。
「おいミチル、お前はどうするんだ? 一応お前の分も持ってきてやったぞ。余った大人用だが」
ん、私?
「あー、私はいいかな」
パスするよ。
「そうか。じゃあ、しばらく待っててくれ」
「いいけど、3時間経ったら終わりだよ」
問答無用さん、暗くなる前に帰らないと。
魔物さんが活性化しちゃうからね。
「ああ、長居は危険だ。じゃあメイル、始めるぞ」
はあ、やっと一休みできる。
ずっと歩いてたから足が鈍りみたいに重たい。
肩さんも凝ってるし、どこかで休憩しないと持たないよ。
んっ、そこの木さん、ちょっと失礼するよ。
──いいか? この辺りの岩に自分の魔力を当てて、その振動で魔晶石を探知する。良さげなのを見つけたら、魔晶石を傷つけないよう慎重に掘っていく
──へえ〜、魔力で探知するのか。意外と本格的だね
──いいや。それが案外簡単でな。慣れればお前でもできるぞ
──そっか、じゃあ面白そうだし僕もやってみようかな
2人がやっている間、私はここでのんびりさせてもらうよ。
ふぅ〜。
えっ?
なにお前だけ呑気に休んでるんだ、だって?
手伝わなくてもいいのか、だって?
……はあ。
いいんだよ。
私は疲れたんだよ。
だってさっきまで、って言うか今もだけど、2人に振り回されてヘトヘトなんだよ。
ゴロンッ
帰りも2人の護衛しなきゃいけないワケだし。
今のうちにしっかり休んでおかないと。
メイルくんにもしものことがあったら、みんなに顔向けできないからね。
──わっ!?
──どうしたメイル!
──ごめん、虫がいて
──虫ごとき怯むな。まったく、これだから温室育ちのお坊ちゃまは
──あっ、キミの頭に毛虫が
──うおっ!? うおおおおっ!? 頼む! 取ってくれ!
こうしてるとなんだか、子どもの遊びを見守る保護者みたい。
世の親御さんの気持ちがちょっぴり分かった気がするな。
お母さんってみんな大変なんだね。
はあ、お天気さん。
お空はこんなにも青いのに、私の心はどんよりしてる。
最近どうも気が合わないね。
調子がいいのは分かるんだけど、ちょっとは私に合わせてほしいな。
なんか憂鬱かも。
私、何してるんだろうって。
みんなちゃんと働いてるって言うのに、私だけこんなことしてていいのかな。
私だけ超待遇でいいのかな。
はあ……
たまに思うんだ。
こんな秘境の奥地で、グッタリしてる私の人生って一体……
まあいいや。
私は文句とか言わない人間だから、今日はこの辺にしておくよ。
それよりも、いっぱい歩いたからかな。
なんだかお腹すいてきちゃった。
ちょっと早いけどおやつにしようかな。
えっと……
チラッ
採掘に夢中でこっちは見てない。
……いけそうだね。
夢中になっている今のうちに。
おやつさんを独占するよ。
今の聞いてたかな?
風さん、私は忙しいからあとはお願いするよ。
うん、それじゃ、
みんなのお楽しみ、おやつの時間だよ!
──ミチル
ん〜、なに、かな……
──ほら、起きて
ミホちゃん、もう少しだけ。
──ミチル、ミチル
ん〜、なんか頭がユラユラ〜
「ミチルってば」
……うん?
「あっ、メイ、ルくん……?」
目の前に、メイルくんだ。
「うん、おはようミチル」
ここは、
「完全に寝ぼけているな。起こさない方が良かったんじゃないか?」
「そういうワケにはいかないよ。せっかく僕が──」
ブロードさん。
2人とも私を覗き込むように……
そっか、私いつの間にか寝ちゃったんだ。
「ほらっ、見てよ。僕が見つけたんだ」
ん? いきなりなにかな?
「ブロードには敵わないけど、僕のも中々だと思うんだ」
あのメイルくん。
いま私、寝起きで目があんまり開かないんだけど。
そんなに見せつけられても分からないんだけど。
えっと、なにかな?
これは石?
「青いね、若干透けてるし。でもこれがなんなのかな?」
何かの鉱石?
アイスメタルか何かかな?
「ひょっとしてまだ寝ぼけてる? ほらっ、例のアレだよ」
アレって?
……あっ、例の。
「ふ~ん、これが魔晶石さん」
メイルくんが見せてくれるモノ。
これが天然の魔晶石らしい。
ちなみは星さんは3。
なんかデコボコしてるね。
丸くないし、何なら四角形に近い。
表面は傷だらけでテカりも全くない。
ブロードさんの杖に付いてるのと全然違う。
一見さん、ただの透明な色付き石だけど。
これがホントにそうなのかな?
「初日で星3は中々筋がいいな。魔晶石に限ってだが、発掘の才能あるぞ」
「らしいってさ。コレは帰ったら事務所に飾ろうかな」
メイルくん、なんかウキウキしてる。
良かったね、楽しそうで何よりだよ。
私も嬉しいよ。
「それじゃ、もう発掘は終わりで良いのかな?」
わざわざ私を起こしたってことはそういうことで良いんだよね。
「いや、悪いがもう少しだけ付き合ってくれ。一応、星4はいくつか確保したが、出来ればもう少し質の良いモノを厳選したい」
現状じゃ満足できないってことか。
なるほど、完全に欲が出てる。
あのブロードさん。
物欲センサーって知ってるかな?
こういう時って、もう出ないと思うよ。
でもまあいいよ。
まだ時間もあるし、付き合ってあげるよ。
「じゃあ私も手伝おうかな」
寝てスッキリしたし、今は身体を動かしたい気分。
おやつも全部食べちゃったから、少しは運動しないとだよ。
それに、私がいた方が早く終わる。
星4とは言わず、星5だってちょちょいのちょいだよ。
「そうか。じゃあお前のピッケルだ」
よし! シャキン!
って……うわっ、ピッケルさん重いよ。
どうしよう。
これを持って上がるだけでも結構キツいんだけど。
腰さんにくるかも。
ピッケルさん、もっと軽くなろうね。
「まずは魔晶石の探知からだ。こうやって岩に魔力を当てて、その振動で探知するんだ。やってみろ」
うん、やってみるよ。
目の前の岩石さんに、私の魔力を、
シーン、シーン……
ん。
「やったけど、これをやって何になるのかな?」
特に何も感じないけど。
「そいつは変だな。たしかに低レアだが、ここに魔晶石があるぞ」
「そうかな? 全然分からないけど……」
って言うかそもそも、原理が全く分からない。
なんで岩に魔力を当てただけで中身が分かるのかな。
急にそんな謎技術を教えられても困るよ。
「えっ、やってることってほんとにそれだけ?」
他にはなにか、
「……そうか。おいメイル、ちょっとやってみてくれ」
「ここはさっきやったけど、うん。たしかに魔晶石はあるよ」
メイルくんは分かるっぽい。
なんで分かるのかな?
「ミチルは何も感じない? こんなにハッキリ伝わるのに」
シン、シン……
「ほらっ」
いや、ほらっじゃないんだよ。
実演されたところでこっちは何も分からないよ。
って言うか、こんなの冷静に考えてできるワケないよ。
超能力者じゃないんだから。
もしかして2人で私をからかってるのかな?
「ミチル?」
……違うっぽい。
なに2人してキョトンとしてるのかな。
そんな、さも出来て当たり前みたいな雰囲気をかもし出さないでよ。
そういうの心に来るからやめてほしいな。
「うぅ、私だけなんで出来ないのかな」
何かコツとかは……
「お前……才能ないな! ハッハッハッ!」
めっちゃ笑顔。
ハッキリ言わないでよ。
「そっか。まあ、向き不向きは人それぞれだから。気を落とさないでね」
「ああ、気にするな」
なんでフォローされてるのかな。
「じゃあ僕たちはもう少し続けるから。ミチルは引き続き周りを見張っててよ」
トホホ、やらない方がよかったよ……




