表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/73

11.新米冒険者からの依頼①

 前回のあらすじ!


 私、ミチル=アフレンコ16歳はある日、自身が所属するパーティのリーダーと喧嘩。

 そのまま勢いで飛び出しちゃった。

 

 仕方なく新しいパーティを探すことになるんだけど。

 これが全然上手くいかなくて。

 意外にも大苦戦。

 

 パーティが見つからず途方に暮れる私。

 ミホちゃん……


 グスン

 

 そんな時、とある募集が偶然目に入った。


『メイル探偵事務所、助手一名募集』

 

 なんだろう。

 行ってみることにした。


 その場所を訪れた私。

 そこはなんと貴族のお屋敷だった。


 まずは綺麗で物静かそうな女性、ロザリアさんと面談。

 次に、日をまたいで当主さんと。

 

 お仕事の内容はここの当主、メッセさん。

 彼のお子さんが近ごろ探偵事務所を開くそうで、そのボディガード頼みたいとのことだった。

 

 家庭の事情、超待遇の後押しもあり、私はそれを了承。

 お引越しも完了して、初めての職場。

 そこで私はメイルくんと出会う。

 

 お互いの自己紹介も終え、話も順調に進む中、突然事件は起こった。


 それはメイルくんが急に、私を助手とは認めないとか何とか言い出して……

 


 あとは自分で思い出してほしいな。




「フンフフ~フン、フフフフン♪」

 

 ここは私が住んでる街。

 建物が多く並んでるんだけど、どれも古風で変わってる。

 都会過ぎず、かと言って田舎過ぎない。

 そんな街。

 

 故郷や王都と比べるとやっぱり不便だけど、ここにはここの良い所がある。

 派手さはないぶん、落ち着きがあって夜は眠りやすい。

 治安だって悪くないし、住民さん同士のトラブルもほとんどない。


 なにより、


「あっ、こんにちは~」

 

 みんな気さくで良い人ばかり。

 あいさつしたらちゃんと返してくれるんだ。

 私の育った街とは違って暖かさがある。

 暮らすには良い街だよ。


 ここに来てもう2年が経つけど、来た頃と全く変わらない。


 耳をすませば、小鳥さんたちのさえずり。

 みんな気づいてるかな?

 自然と溢れる笑み。

 土地柄に合った柔らかい空気感、この匂い。

 

 私はこの街の雰囲気が好き。


 歩いてると、ほらっ

 不思議なメロディーが聞こえてくる。


 ル~ルル~ル、ルルルル♪


 ルルルル~ル、ルルルル~♪


「フフフ~フ、フフフフ~♪」


 まっ、いま私が口ずさんでるだけなんだけど、初見さん。


「フフッ……あっ」

 

 そうしてる間に、ついたよ。

 

 周りと比べて比較的新しめな建物。

 2階建てのちょっとノッポさん。


 ここが私の職場だよ。


「いま戻ったよ、メイルくんっ!」


 暇だから散歩してたけど、帰って──


「──だからッ! 違うと言ってるだろ!」


 バンッ!

  

 わっ、急になにかな!?


「いいか! 何度も言うがワタシはれっきとした大人だ! お前と一緒にするな!」

「いや、年齢とか関係なしに、そういう所が子どもだって言ってるんだ」


 中にいるのは、いつも通りメイルくんとロザリアさん。

 それと、女の子?


 なんだろう、メイルくんより背が高いのかな。

 見た感じ12、3歳くらいと思う。

 

 とんがり帽子で分かりにくいけど、2つに結んでる青っぽい髪。

 瞳は青と紫の二色がグルグル混ざりあった感じ。

 奥にはうっすらとお星様が浮かんでる。

 

 恰好は私と同じで、魔術師みたいなローブを着てるね。

 でもちょっと派手かも。

 アレかな? 動きやすさを重視しているのかな?

 

 そんな子がメイルくんと揉めてるよ。


 ……って言うか、ロザリアさん。

 なに子どもが喧嘩してる隣で、呑気に本なんか読んでるのかな。


 1人優雅に紅茶なんてキメちゃって。

 どうして知らないフリを決め込んでいられるのかな。


「お前生意気だぞ! 子どもなら大人を敬え!」

「そうだね、こんな大人にはならないよう努力するよ」

「っ、この!」


 うわぁ、色々とカオスだよ……


 もう見ていられないよ。

 とりあえずお姉さんである私が何とかしないと。

 

 あの、メイルくん。

 その子はお客さんでいいのかな?


「むっ? 誰だお前は」


 あっ、声をかける前に気付かれた。


「はあ、ちょうど良いところにきた。子どもでは話にならなくてな。悪いがここの店主に変わってくれ」

「よく言うよ、キミも子どもじゃないか」

「ワタシは18だ! もう立派な大人だぞ!」


 えっ、この子……私より年上なの?


「おいお前、今ワタシの年を疑ったな?」


 ギロッ

 

「へっ? そ、そんなことないよ!」


 なんで分かったのかな⁉

 って言うかそんな獣みたいな眼光で睨まないでほしいな!

 怖いから!


「顔に出ていたからな。例え神父の目は誤魔化せても、ワタシの目はごまかせないぞ」


 えっ、そんなに?

 私って案外分かりやすいのかな。

 いや、そんなことないと思うけど……

 

「ふんっ、まあいい。まさかお前がそうなのか? まだずいぶんと若いようだが。なら折り入って頼みたいことがあってだな」

「ううん、違うよ。私は店主じゃないよ」

「むっ、そうか。なら──」

「その必要はないよ。だってもういるし」


 私の隣に、


「……へっ?」

「だから何度も言ってるよね。はあ、キミも話を聞かないタイプなんだね」


 ほらっ、メイルくんも言ってる。


「なっ⁉ まさかこんな、まだ声変わりもしていない、ワタシよりおチビな子どもがか!?」

「あとナチュラルに失礼だね」

「お、おい……」


 私に確認を取ってる。

 メイルくんをちょんちょん指さして。

 

「うん、そうだよ」


 メイルくんが店主だよ。

 それがなにかな?


「しょ、正気か……?」


 来るお店を間違えたみたいな反応だね。

 まあ、分からなくもないよ。

 子どもが店主だとビックリするよね。


「ふんっ、チビで悪かったね。でも今だけさ。あと2、3年もすれば、キミなんてあっという間に──」

「ぐぬぬ、言わせておけば……」

「ちょっとメイルくん、いい加減にしなよ」


 もう、メイルくん……

 なんでそんなこと言うのかな。

 相手はお客さんなんだから。


「とりあえずキミも落ち着こうよ、ねっ? あっ! そう言えばマダムさんからクッキーを貰ったんだ!」


 ちょうどいいし、今からおやつに──


「うぅ~~っ、子ども扱いするなあ!!!」


 あっ、


「まったくどいつもこいつも! この街のヤツらは一体全体どうなっているんだ! なぜみんなして人を見た目だけで判断する!? ワタシは子ども扱いされるのが一番嫌いだ!」


 うわぁ……

 

「僕だってそうさ。キミは自分がされて嫌なことを人にやるんだね」

「お前はまだいいだろ! ワタシは実際に大人だから問題なんだ!」


 ワーワー! ワーワー!

 


 はあ、どうしたらいいのかな。

 収集つかないよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ