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【ゆっくり寸劇】麻雀星人 多井隆晴【台本】

作者: 三木香泣

霊=霊夢

マ=魔理沙

その他・「」=ナレーション


マ「…また何も出来ずにラスったんだぜ。うおおぉぉおぉぉ、クソゲーなんだぜ!」


霊「どうしたの魔理沙、人間火力発電所みたいな声出して。」


マ「雀傑から永遠に上がれる気がしないんだぜ。先にリーチしても追っかけされて振り込むし、ダマでも向こうがリーチしたら一発で上がられるんだが? まったくなんなんだぜこれえぇぇぇ……?」


霊「あー、パソコンで何かしてると思ったら、麻雀。」


マ「運営が牌を操作して上がれないようにしてるに違いないんだぜ!ネットでも無課金アカウントは勝てないって書かれてるんだぜ!」


霊「もし運営側がそんなことしてたら、バレたら大事(おおごと)よ。まずないわよ。」


マ「…じゃあ、なんだよ。私が弱いだけって言うのか?」


霊「魔理沙って麻雀歴は?」


マ「んん? 初めて半年くらいなんだぜ。」


霊「すごいじゃない、麻雀の才能があるかもしれないのに勿体ないわ。」


マ「へへ…褒めても何も出ないんだぜ。…って何が勿体ないんだ?」


霊「ちゃんと勉強したら、もっと上手くなれるかも知れないってこと。」


マ「学校の先生か?」


霊「当たり前だけど、受験勉強じゃないわよ。魔理沙でも麻雀の勉強なら多少はやる気が出るんじゃない?」


マ「あー…麻雀の勉強ね。最初は役を覚えるのも大変だったのを思い出すんだぜ。」


霊「初心を思い出して、ステップアップするために座学に戻るべき時期があると思うわ。」


マ「って言っても何をすればいいのか分かんないんだぜ。」


霊「上手い人の麻雀を見るのが一番手っ取り早いんじゃない?」


マ「上手い人って…プロとかか?」


霊「そうね、プロ雀士の試合を見て手牌と切られた牌を自分の考えと照らし合わせてみるのはどう?」


マ「けど、私はゲーム専門でプロなんて知らないんだぜ。」


霊「Mリーグとかも聞いたことない?」


マ「麻雀のJリーグみたいなやつか?」


霊「まあ、そういうものと考えて差し支えないわね。」


マ「じゃあプロの打ち方を見てみるんだぜ。一番上手いプロって誰なんだぜ?」


霊「個人的な意見だけどそれは恐らく多井隆晴ね。」


マ「おおいたかはるって人が強いのか?」


霊「強いわね。さっき言ったMリーグの舞台では初年度のMVPを獲得しているわ。」


マ「麻雀のMVPってどういう基準なんだ?一番勝った人のことか?」


霊「Mリーグはポイント制で半荘を1ゲームとして1位から4位で得られるポイントのシーズンを通しての合計を競うわ。それの個人タイトルね。」


マ「なんかサッカーの勝ち点みたいだな。」


霊「ちなみに多井は前人未到の4シーズン連続200ポイントオーバーを達成しているわ。」


マ「は?サッカーでいうと何ポイントなんだよ。」


霊「魔理沙も知ってると思うけど、麻雀というゲームは運要素が強い。それでこの安定して突出した成績はとんでもないって分かるでしょ?」


マ「分かる。ちょっと調子良くても地獄モードに入ると一瞬で点数を失っていくんだぜ。」


霊「そんな彼のキャッチフレーズは麻雀星人とか、あとは有名な最速最強で知られるわ。」


マ「麻雀星人って…藤井聡太みたいなキャラなのか?」


霊「いや、全然。性格は負けず嫌いで麻雀以外にも活躍の場を広げる行動力旺盛な人みたいよ。」


マ「気になったんだが、最速ってことは鳴きまくって早く和了る打ち手なのか?」


霊「それも違うわね。少なくてもMリーグ初年度から彼を見てきたけど、ここ数年はめっちゃ守備型で門前寄りよ。」


マ「じゃあ、最速じゃなくね?」


霊「それは本人も言ってることよ。昔は攻撃型早上がり派だったみたい。」


マ「麻雀が一番強い人が守備型なんだな。やっぱり守備が上手くないと実績は残せないのかもな。」


霊「そうね。プロ入り後に守備型に転向したってことだから、そういうことでしょうね。」


マ「昔の『最速最強』時代から強かったんなら順風満帆のプロ生活だったんだろうな。」


霊「それがそうでもないのよ。」


マ「え、そうなのか?」


霊「プロ雀士って昔は社会的地位も認知度も低くてそれだけで食べていくのは難しい時代だったのよね。」


マ「私はそもそもプロ雀士って存在自体知らなかったのぜ。」


霊「今でこそMリーグが出来てYoutubeやネット配信でプロ雀士は活躍の場を広げつつあるのだけど、あまり実績のない人たちはプロでも雀荘でバイトしたりあるいは会社員と並行したり…これは今でもそういう現実はあるのだけども、当時はもっとその傾向が顕著だったわ。」


マ「ひょっとしてプロ雀士ってあまり稼げないっぽい?」


霊「さっきも言ったけど実績と人気次第ね。ちなみに多井は年収4000万以上あると公言してるわよ。」


マ「すげえ…」


霊「そんな多井も騙されて日本プロ麻雀連盟を脱退させられた時はどん底だったみたいだけど…。」


マ「強いならそのままでいれば良くね?なんで脱退したの?」


霊「多井はある時、土田浩翔って先輩雀士に誘われたのよ。『僕らで新団体を設立しないか』とね…。」


マ「暖簾分けじゃなくて、プロレスみたいな新団体旗揚げで分裂ってことか?」


霊「連盟は大きい団体だからそこまで影響はないわ。土田と多井を中心で数人のプロが勝手に抜けていった扱いね。」


マ「ふーん、給料とか不満だったのかな?プロ雀士は稼げない人がいっぱいいるっぽいし。」


霊「もしかしたら待遇の問題かも知れないわね。で、日本麻雀機構を設立するわ。」


マ「それで、多井隆晴と土田って人がお偉いさんの地位に就いたと。良かったじゃないか、何か問題でもあるのか?」


霊「理事長には土田が就任。でも、団体の運営は一筋縄では行かなかった。」


マ「…雲行きが怪しくなってきたんだぜ。」


霊「設立後、瞬く間に日本麻雀機構は立ち行かなくなるわ。残念ながらプロ雀士の理想郷とはならなかったみたい。」


マ「あらら…。まあ、駄目になったら駄目で諦めが付くんだぜ。」


霊「そこで次にRMUという新団体を立ち上げたわ!」


マ「マジで?二人とも諦めが悪い性格なんだぜ。」


霊「今度は多井が代表に就任するわ。」


マ「前回のなんだっけ…麻雀機構では土田さんが理事長だったんだよな。代表交代ってことか?」


霊「自分が駄目だったから今度は多井にやらせようと考えたのね。まあでも…」


マ「でも、なんなんだぜ?」


霊「そもそも多井は連盟を抜けるつもりがなくて、騙されて脱退してそして参加した日本麻雀機構も駄目になって、今度は無理やりRMUの代表にさせられた形なのよね。魔理沙なら、どう思う?」


マ「めっちゃ腹立つのぜ。」


霊「多井と土田の関係が悪化し、やがて土田はRMUを脱退。仲違いする結末となるわ。」


マ「多井さんはどうするんだぜ?ていうか麻雀打てる状況なのか?」


霊「本人も言う通り人生のどん底期。日本麻雀機構が終わった時点の収入はゼロ。新団体も慣れないことだらけで心身ともに負担となっていたのは容易に想像がつく。」


マ「なんだろう…ほとんど麻雀打ってないっていうか、麻雀以外のことでひたすら苦労してる感じなんだぜ。」


霊「それでも現在もRMUは残ってることから察しはつくと思うけど、運営は次第に安定し始めるわ。」


マ「へえ、てっきりまたすぐに活動停止かと思ったぜ。多井さん頑張ったんだな。」


霊「本人自体も世界麻雀選手権(WSOM)優勝を皮切りに日本シリーズ連覇、RTDマンスリーリーグ優勝と着々と実績を積み上げていくわ。」


マ「やっぱり、この人は麻雀を打ってナンボの人なんだぜ。」


霊「それから多井のみならず麻雀界の大きな転機が訪れることになるわ。」


マ「おん?結婚とかか?」


霊「2018年、Mリーグの発足。多井は渋谷ABEMASからドラフト一巡目指名を受けるわ。」


マ「確か、Mリーグって麻雀のプロリーグだったよな。他にも団体があるみたいだけど、それとは何が違うんだ?」


霊「最も大きな違いは全ての団体からドラフト指名された選手で構成されるチーム戦ということ。それと…」


マ「それと…なんなんだ? もったいぶるんじゃないのぜ。」


霊「優勝賞金5000万円。他の団体リーグ戦とは格が違うわ。」


マ「ご、ごごご、五千万んんんっ!?」


霊「準優勝でも2000万よ。Mリーグは4人1チームだから一人頭だと500万ね。」


マ「あのさ、プロ雀士ってほとんど貧乏なんだろ?じゃあ、皆目の色変えてくるんじゃあ…。」


霊「だからこそ、Mリーグが最高峰の麻雀プロリーグとして扱われているのよ。しかも、これまで放送されることもなかった他団体のリーグ戦とは違い、全試合がネット放送で中継されるまさにエンターテイメントとして最高の舞台として仕上がった麻雀リーグ戦よ。」


マ「中継って、どこで見れるんだ?」


霊「ABEMAでやってるわよ。月火木金の週4のスケジュールね。」


マ「見てみたく…ん?ABEMAって多井が指名されたチームじゃなかったか?」


霊「よく気づいたわね。プラットフォーム自身の旗艦チームの指名一巡目、要するにそれ自体が一番強い人の証明といっても過言じゃないと思うわ。」


マ「ごたごたしてる時期もあったけど、多井さんが頑張ってきたのは認められていたってことか。」


霊「そういうことね。それから多井はMリーグという最高の舞台で『最速最強』の大活躍を見せてきたっていうのは、最初に言った通り。」


マ「なるほどなんだぜ。そこまで聞いてやっと、多井さんが一番強いってのはどういうことかよく理解できたんだぜ。」


霊「Mリーグで存分に実力を発揮してからも、研究熱心に高い志を持つプロ雀士達と日々研鑽を積んでいるようだし、『最速』は自ら否定したけれど、そう簡単には『最強』を譲る人ではないと思っているわ。」


マ「私ももっと麻雀強くなるために多井さんの打ち方を見て勉強してみるのぜ!」


霊「じゃあ、その意気で頑張ってね。」


マ「……。なあ、霊夢。」


霊「どうしたの、魔理沙。お土産が木彫りの謎の仮面だった時みたいな顔して。」


マ「たかちゃんねる(多井隆晴のYoutubeチャンネル)なんだが、FPSばっかやってて麻雀動画ないんだが…。それと、ちょっとだけ桃鉄…あとスイカゲーム、競輪……。」


霊「……。言ったでしょ、麻雀以外にも活躍の場を広げてるって。」


マ「やるか霊夢……桃鉄!」


霊「(ズコーッ!)」


霊・マ「ご視聴ありがとうございました。」


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