表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

名前の由来を調べよう

作者: 浦田茗子


 日曜日のリビングで、小学2年生のゆうが聞いています。

「どうして、ゆうちゃんの名前は『ゆう』なの?

 どうしてひらがななの? みんな漢字があるのに」

学校の宿題で、自分の名前の由来を調べることになったのです。


 お母さんは答えます。

「名前は、あかちゃんへの初めてのプレゼントだからね、お父さんもお母さんも、どうしようかずっと考えてたの。

 それで、生まれたばかりのゆうちゃんの顔を見て、お父さんが『ゆう』にするって決めたのよ」


「『ゆう』っていうのは、いろんな漢字の、『ゆう』」

そう言って、お母さんは、メモ帳とペンを持ってきました。

「優しさの『優』。

 勇気の『勇』。

 きれいな夕日の『夕』

 楽しい遊びの『遊』。

 たくさんの友達の『友』。

 人との縁を結ぶ『結』。

 悠然とした『悠』……」

お母さんは、ちょっとむずかしいかな、と言いながら、メモ帳にペンを走らせます。


 ゆうは、メモ帳に躍り出た漢字を見つめて言いました。

「この紙、もらってもいい?」


「もちろん。

 とにかくね、お父さんもお母さんも、すてきな名前を、ゆうちゃんに贈りたかったんだ。これから大きくなっていく、ゆうちゃんにね」

お母さんは、なんだか照れくさそうに、お父さんのほうを見ました。


 お父さんが、コーヒーを飲みながらうけとります。

「そう。お父さんもお母さんも、よくばりなんだ。

 だから、ゆうちゃんの名前は、いろんな『ゆう』の意味がある、ひらがなの『ゆう』なんだよ。

 どうですか、ゆうさん、わかりましたか?」


「わかりました」

ゆうが、えくぼを見せて返事をしました。


 お父さんがおどけて続けます。

「ゆうさん、あなたは、自分の名前の由来を知りました。

 おめでとうございます、レベルアップです。

 2年生のお姉さんですからね。

 だからこれからは、自分のことは『ゆうちゃん』じゃなくて、『わたし』と言うように。……いい?」


「……わたし、わかった」

ゆうは、くすぐったそうにこたえました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ