02【姫様と指輪】
俺が異世界に召喚されてから一週間が経っていた
その一週間全てで姫様を抱いている
いやむしろ姫様の方からの誘いであるのだけれども、その結果分かった事がある
俺は女性を抱くと経験値を入手する事が出来るみたいだ、モンスターを倒しても経験値は一応入るのだが、女性を抱く方が何故かは分からないが経験値にブーストが掛かり莫大な経験値を入手する事が出来る
しかしこの能力にも一つ難点がある
まだ未確認なのだが同じ女性ばかり抱くと経験値が著しく低くなることである
実際、俺のレベルは最初に比べて上昇が芳しくないのである
だがこればかりは姫様以外の女性を抱いていないのでよく分からない
どちらにしろ俺の能力の限界値が近いのかそれとも同じ女性では駄目なのかは行く行く分かる事だろう
因みに今現在のステータスはこんな感じだ
Lv11→LV14
HP2200→HP2800
MP1100→MP1400
SP1650→SP2100
STR105→STR120
DEF126→DEF144
INT63→INT72
DEX147→DEX168
AGI126→AGI144
LUK210→LUK240
CHA210→CHA240
チュンチュン♪チュンチュン♪
コンコン!ガチャ!失礼します!
いつも通りメイドが姫様の支度にやってきた
「ムリカほら朝だよ!起きて!」
「姫を目覚めさせるにはおはようのチューが必要です」
「何言ってんだよ、ほら起きた起きた!」
「んもーっ、つれないですわよ仁様~!」
「じゃあ先に食堂に行ってるから」
仁はそう言い残し部屋を後にした
「ほんと仁様は照れ屋さん何だから」
【食堂】
「そうだムリカ忘れないうちに言っておくよ、俺そろそろ魔王討伐に行くから!」
「えっ!?えええええええっ!!!」
あまりの衝撃だったのか姫様は椅子ごと転げ落ちた
「な、何故ですか?そんな急に言われましても困ります仁様!!
私は、私は仁様とずっと一緒にいたいです!」
「そんな事言われてもこっちが困るんですが、大体この一週間で冒険に必要な知識や経験は叩き込まれましたからね、もう他にやる事も無いですし」
「せめて後一週間!いえ5日ぐらいなら居ても良いですよね?」
流石に周りにいた大臣達が姫様を冷ややかな目で見始め独りの大臣が喋り出した
「姫様!勇者様の準備はもう完了しているのですぞ!そうやってワガママばかり言わないで下さい!」
周りからそーだ!そーだ!と賛成の声が飛ぶ
「こうしている内に魔王は勢力の増やしているやもしれませんから勇者様には一刻も早く魔王討伐に向かって頂かないといけません!」
「それは分かっています!ですが、、、」
「ですが何ですか姫様?」
「い、嫌だぁー!仁様と別れるのは嫌だぁー!」
美少女がましてや一国の姫様が駄々をこねる
それも子供がガチでやる床に転がり手足をジタバタさせるタイプの方だ
「姫様ワガママを言わないで下さい!」
大臣達が慌てて姫様をなだめるが一向に収まる気配はなかった
「嫌ぁー!仁様と仁様と一緒に居るのー!別れるなんて嫌ぁー!」
「分かりましたから分かりましたから姫様その様なはしたない事はお止め下さい」
「何が分かったの?」
ふと我に帰り姫様が大臣達に問い掛ける
「2日だけ2日だけなら良いでしょう姫様
勇者様には2日後には必ず出発して頂きますからね!分かりましたか姫様?」
「ええーっ!せめて4日だけ!ねっ!お願いだから!」
「ダメです!2日です!これ以上文句が有るのでしたら、この件をお祖父様にお話しなくてはなりませんがよろしいですかな?」
「分かりました2日で良いです
だからお祖父様に言いつけるのは止めて下さい」
あれだけ駄々をこねていた姫様がお祖父様の名を聞いて大人しくなるとは、そのお祖父様とは一体何者なのだろうか?一度会ってみたいな
「では勇者様の出発は二日後の朝と言う事で、それまでに何か必要な物が御座いましたら遠慮無く我々にお申し付け下さい勇者様!」
「あっはい、分かりました」
俺が姫様の奇行に呆気に取られている隙に話は全て進んでいた
「仁様、2日間と短いですが宜しくお願い致しますね...と言うわけで早速行きましょうか」
有無を言わさず姫様は俺を寝室へと無理矢理連れ込んだ
「ちょっとムリカ落ち着いて!な!まだ2日有るわけだし」
「ウフフフッ安心して下さい!仁様は何もしなくて結構ですから!そこで2日間じっとして天井のシミを数えていれば直ぐに終わりますから!」
「2日間天井のシミだけ数えるとかどんな拷問だよ!?
おい、だからちょっと待てって!」
「待てませーん♪待ちませーん♪」
「待てって、ギャーーー!!」
こうして2日間に渡り城内にはベットのきしむ音が常に鳴り響いていた勇者仁の悲鳴付きで!
そして運命の出発の日になった
「では皆さん行って参ります!」
俺は爽やかな笑顔で見送りに来てくれた人に別れの挨拶をした
腰に手を回して離れない姫様をくっつけた状態で
「姫様離れて下さい!勇者様が出発出来ないでしょうが!」
大臣達が姫様を必死に引き離そうとする
「嫌ぁー!やっぱり嫌ぁー!離れたくない!!」
「姫様いい加減にして下さい!我々と約束したじゃないですか!
勇者様をちゃんとお見送りすると!」
「嫌な物は嫌なのよ!ねぇ仁様、私も魔王討伐の仲間に加えて下さい!
そうすれば離れ離れにならなくてすみますもの!」
「駄目に決まっていますぞ!姫様ぁー!」
持病の腰痛が爆発して安静にしていた爺が杖をつきながら現れた
「姫様ともあろうお方が、おか、おか、おかあぁぁぁぁぁ腰がぁぁぁぁぁ!!」
爺はメイド達に担がれ何処かへと運ばれていった
「何しに来たんだ?」
「さぁ?わかりませんわ
それよりも私を勇者様の仲間にして下さい」
「なぁムリカいや姫様それは流石にダメだ
今から向かう先は何が待ち受けているか分からないそんな旅なんだ
そんな旅に自分自身を守れない奴を連れて行く訳にはいかない、逆に仲間の足手まといになるから
だから分かって欲しいムリカ、君は連れていけない」
その言葉を聞いた姫様の目には涙がこぼれていた
「じ、仁様がそこまで私の事を考えていてくれたとは思いもしませんでした
わかりました私はこの城で仁様の帰りをお待ちしております
ですから必ずや魔王を討伐して戻って来て下さいね」
「ああっ約束するよ」
「はい待っています仁様」
姫様はニコリと笑顔を向けてくれた
「そして魔王を討伐し国を挙げての凱旋パレードをしてその暁に私との結婚!!
ウフウフフフフッ!子供は3人位が良いですわね!
一人目は女の子、二人目は男の子、三人目はどちらでも構いませんわ
あっ!でも仁様が望むのなら何人でも構いませんわ!
仁様との子供ですから可愛いに違い有りませんから!グヘグヘヘッ!!」
「勝手に妄想し始めたぞ!なぁーどうするんだよ!ほっといて良いのか?なぁ?」
大臣達に助けを求めるが誰一人として俺と目を合わそうとはしない
「もう良いよ!もう勝手に行くからな!魔王討伐に行くからな!」
「お待ち下さい仁様!」
正気に戻った姫様が仁に声を掛ける
「あの仁様お願いがあります!
もしよろしければ、その右手にはめている指輪を私に預けて下さいませんか?」
「別に構いませんが安物ですよコレ?」
「値段何て関係有りません仁様が身に着けていた物が欲しいのです」
俺は指輪を外し姫に渡そうとしたら姫様は何故か左手の薬指を強調してきた
「いや、あの、はいどうぞ!」
「いやいや渡すのではなくハメて下さい!ここにハメて下さい」
更に左手薬指を強調してくる
「ムリカ?その意味って分かってるの?」
「何の事でしょうか?」
「いやだから男性が女性の左手薬指に指輪をハメる行為の事だよ!」
「ああもう焦れったいですわね!パンパン!!」
姫様が手を鳴らすと周りにいた大臣達が俺を羽交い締めにして無理やり指輪をハメさせようとしてくる
「おいお前ら!さっきまで我かんぜずを決めていたのにこんな時だけムリカに協力するのか!おいやめろ!マジでやめろって!おい!やめろー!」
「ウフフフッ!素晴らしいですわこの指輪!それに仁様からの初めてのプレゼント!本当に素晴らしい!ウフフフッ!」
姫様は左手を天に向けクルクルと回っている
「もう俺行くからな!」
「あっ仁様!でしたら最後にキ...」
俺はその言葉を聞かない為にも走って城を後にした
「ほんと仁様は照れ屋さんなんですから.....必ずや魔王討伐して無事に帰って来て下さいね
私は、ここでずっと仁様の帰りをお待ち申し上げております」
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