表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/160

97.味噌キャベツ

 私とマァルさんが話していたら野営準備が完了したみたい。

 ユウトさんが置いていった鳥をトゥイさんとオキュイさんが調理してくれて、大雑把な焼き鳥みたいなのが準備されている。あとは焼くだけ。


 薪がぱちぱちと爆ぜている。

 そこへ海からざばぁ!と出てきたゴザレスさんは私と同じぐらいの大きさの魚を捕まえていた。


「どうだ?こんだけあれば足りんじゃねぇか?」


「やばぁすごぉ!それ素手で捕まえたのぉ?」


「あぁ」


 オキュイさんも興奮している。その気持ちわかる。

 ゴザレスさん凄すぎる。素手で小型マグロみたいなの捕まえられるんだ。


 とりあえず魚を捌くのはここにいる全員が出来ないと分かったので、ユウトさんが帰ってきたら頼んでみよう。

 最悪私が切るしかないけど、元の世界で魚なんて捌いたことがない。三枚おろしとか単語は知ってるけど、実際自分ができるかどうかは別。

 それにマグロみたいなこの大きな魚って多分切り方普通じゃないはず。


 前にマグロの解体ショーを見たことがあるけど、日本刀みたいな細長いので二人がかりで切っていたような気がするし。


 ゴザレスさんは生活魔法が使えるみたいで、びしょ濡れの服を乾かしていた。



 そしてユウトさんが森から帰ってきた。

 ちょっと服が汚れている。


「待たせた、準備ありがとうな」


「おう!ユウト、俺がとってきたこの魚捌けるか?」


 マグロみたいな魚を見て「……たぶん」と自信なさそうに答えていた。

 アイテムボックスから刃物を出して、魚を解体し始めた。

 オキュイさんは元勇者パーティーだからユウトさんがアイテムボックス持ちだというのを知ってるんだろうけど、トゥイさんやゴザレスさんも特にリアクションしてないからここにいる人たちには周知されてるってことでいいんだよね。


 それにしても冒険者の皆様はすごいです、今ここにあるもので食の準備が出来てしまうんだから。

 尊敬します。


 魚も木の棒に串刺しにしてどうやら炙るみたい。

 それでもまだまだ量があるから、ユウトさんが使い込まれた鍋をアイテムボックスから出してきてそこに水と魚の切り身を入れて、塩らしきものを入れている。


 薄味そうだなぁ、味噌があればいいのに。

 流石に味噌単体を写真に収めた記憶はないから味噌はないけど……いや、待ってあるかも。

 カバンに両手を突っ込みスマホ出してアルバムを確認する。


 あった!味噌キャベツ!

 居酒屋さんとかでよく出てくるやつ!

 でもカバンから味噌キャベツ出すって……どんなカバンってなっちゃうよね。

 うぅん、だけどせっかくお魚も入ってるし鍋があるなら味噌を入れたい。


 しゃがんでいるユウトさんに近づきちょんちょんと肩を突いて周りに聞こえないように話しかける。


「あの、そのお鍋に味噌入れませんか?アルバムに味噌キャベツがあるので味噌汁っぽくできますよ」


「わ、わかった。みんなから見えないところまで行って召喚して俺のアイテムボックスにしまおう」


 こくりと頷き、鍋をオキュイさんに託してユウトさんとほんの少し離れたところにある大岩の影まで行き、味噌キャベツを三つほど召喚した。


 戻ってきたときには大雑把な焼き鳥と串にささった魚の切り身を火の回りにセッティングしている最中だった。

 ユウトさんはアイテムボックスから味噌キャベツを取り出して何食わぬ顔で鍋に投入していく。

 自然な動きをしていれば周りに気づかれないもんだね。


 少しずつ焼けてきた鳥肉から香ばしい香りが漂ってくる。

 その匂いに反応してレイアさんが起きた。


「ご、ご飯!!」


 一言目がご飯、そりゃあれだけ盛大に腹の虫が鳴いてたもんね。

 きょろきょろと首を動かし焼き途中の焼き鳥に手を出してオキュイさんにはたかれている。


「レイアまだだめ!焼けてないのぉ!」


「む……すまん」


 自然とそんな会話をしているけど、状況を理解できてない?

 それを察してかユウトさんが機嫌悪そうに話しかける。


「っていうかお前何でこんなところにいるんだよ」


 今まで食べ物しか目に入ってなかったのかようやくちゃんと人にも焦点が合うようになって、ユウトさんに気付くと意識を失った状態でも離さなかった槍を構えた。


「ようやく会えたな!さぁ私と戦え!」


「嫌だよ。質問にも答えねぇし、っていうかお前何で今作っている飯をお前が食えると思ってるんだ?そりゃ俺たちの飯だぞ?」


「そ、そんな……」


 レイアさんがその場で崩れ落ちた。

 ユウトさんから聞いた通り本当にユウトさんにちょっかいというか戦いを挑むんだ。

 そして今まで見たことないユウトさんがそこにいた。

 それはもういつになく機嫌が悪くっていうかもうなんか悪みたいな?


「冒険者なら対価が必要だよな?無料で恵んでもらえるわけねぇよな?」


「か、金は無い……。私にはこの槍ぐらいしか……」


「じゃあその槍と飯を交換するか?俺はいいぜ?」


「この槍はだめだ!それ以外なら……できることは何でもする」


 日が暮れ始めて薄暗くなっている中、焚火の光が下からユウトさんを照らしているせいなのか、ものすごく悪役みたいなニヤリ顔が見える。



「ふっ……何でもするって言ったな?」


神なのか!?神なのですか!?

ブクマと評価ありがとうございます!!


嬉しすぎて職場でちょっと「ふぁっ!」てなりました。


あぁ、感謝です( *´艸`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ