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93.ふわっふわのパンケーキ

 従業員皆でいただきますをして、ご飯を食べるけど当然会話が弾むことなく気まずい空気が流れたまま。少し居心地の悪そうなトゥイさんの弟?さんは従業員のみんなの前に出てくる料理が気になっている様子。

 いつもだったらとろけ過ぎたひどい顔になるトゥイさんがムスッとしながらご飯を食べている。

 かなり重症だ。


 食事は楽しくないとおいしさ半減しちゃうから、ここは空気を変えるべく私から弟?さんに話しかけてみた。


「あの私タミエって言います。この店の店主です。えっとトゥイさんのゴキョウダイなんですよね?お名前なんて言うんですか?」


「あ、すみません、自己紹介してませんでした。僕はマァルといいます。トゥイ兄さんの弟です」


 よかったぁ弟だった。顔が可愛いから一人称が僕の妹もあり得たから、弟ですと名乗ってくれてよかった。


「この場で話したくなかったら話さなくていいんですけど、トゥイさんのこと捜してたんですか?」


 私達に言っていい内容かどうか分からないけど、三人寄れば文殊の知恵、まぁ今はトゥイさん達を除いて4人いるけど、色んな人の目線で話が出来るだろうから話してくれると嬉しいな。


「はい、そろそろ兄さんに僕らの村に帰ってきて欲しくて。何度も冒険者ギルドを通じて手紙を出していたんですけど、全然返事返してくれなくて」


「ふん、あんな閉鎖的な村に誰が帰るか」


 自由な冒険者をやっているトゥイさんは故郷のことがあんまり好きじゃないのかな?

 いい思い出の無い故郷ならまぁわからないでもないけど。


「兄さんが次期族長なんだからそろそろ戻ってきてもらわないと困るよ」


「嫌だよ、お前がやればいいだろ」


「僕は兄さんみたいな力をもってないから誰もついてきてくれないよ」


「何言っているんだ。お前の能力だってすごいだろ?亜空間に物がしまえるなんて商人たちからしてみたら引っ張りだこになる。お前が族長になれば村の秘宝を安全に保管できるじゃないか」


 ん?今亜空間にものがしまえるって言った?

 え、それってアイテムボックスのこと?

 ってかそれ今この場で言っていいの?

 しかも村の秘宝って、ねぇ本当にこれ聞いてて平気?

 秘宝って単語にオキュイさんが目を輝かせてるけど大丈夫?


「いや、僕じゃきっと村の人達も安心して預けられないよ」


「じゃぁお前はせっかくもっている珍しい力を何の役にも立てずあの村でずっと過ごすのか?」


「それは……」


「前から何度か誘ってるけど一緒に冒険者をやればいい。今一緒にコンビを組んでるゴザレスもいるからお前のこと鍛えてもらえるし、何よりあの村じゃ知ることのできないことを外の世界は沢山経験が出来るんだ。あんな閉鎖的な村じゃ何の楽しみもなくただ生きるだけなんてつまらなすぎる。お前も村を出るべきだよ」


「っ!僕の将来の話はどうでもいいんだよ!兄さんが村に戻ってきてくれるのを皆待ってるんだ。族長になりたくないならちゃんと村のみんなに兄さんから事情を説明してよ。僕は・・もう……これ以上村のみんなから色々言われるのはごめんだよ。兄さんはずるい」


「……ごめん」


 完全に置いてきぼりにされている私達。

 なんだろう、薄っすら感じ取れるのは多分トゥイさんは故郷で村の人達に必要とされていて、弟のマァルさんは村人とトゥイさんの板挟みを受けているという事かな?


 弟さんに言いすぎちゃってまた気まずくなっちゃったぞ。

 ここは精神年齢38歳の腕の見せ所かな。こういう時はみんなで甘い物を食べよう!


 弟さんの分も合わせて、ふっかふかの幸せになれるパンケーキを召喚だ!

 ふっかふかのパンケーキの上に季節のフルーツがゴロゴロのったやつをここに居る人達分召喚してみんなの前に置いていく。


 オキュイさんはさっきまで秘宝に目が輝いていたけど、目の前のパンケーキを見るや色とりどりの鮮やかなフルーツに今度は心奪われている。


 甘い物が好きなトゥイさんもこのパンケーキが特別なものだと理解してさっきまでのムスッとした空気が吹き飛んで今の目にはパンケーキしか映っていない。


 弟さんは、「え、ぼ、僕もいいんですか?」と戸惑っていたけど、にっこりと頷けば満面の笑みが返ってきた。

 笑った顔はやっぱり兄弟だね、トゥイさんに似ている。


 ユウトさんもゴザレスさんも新しいメニューにテンションをあげていた。


 ここのパンケーキは本当にふわっふわでそんなに噛む必要もないぐらいの柔らかさ。

 ホイップクリームも甘すぎずフルーツとの相性も抜群。

 甘酸っぱいフルーツとパンケーキのほのかな甘さがたまりませんなぁ!


 幸せになれるパンケーキだからね、きっとトゥイさん兄弟もハッピーな気持ちになれるはず!

 トゥイさんを見れば、出たああああああああ!ヤバい顔!

 うんうん、見慣れたからこそおいしさのバロメーターとしてその顔見れてよかったと思うようになりましたよ。


 弟さんは……か、固まってる?

 え?もしかして苦手だったのかな?

 もしもーしと顔の前で手を振ってみるけど全くの無反応。


 心配になるぐらい動かないんだけど大丈夫なのかな。

 弟さん以外はパンケーキを食べ終わり、ユウトさんゴザレスさんオキュイさんがこのパンケーキについておいしかったねと楽し気に会話している。


 食べ終わったトゥイさんに話しかける。


「あ、あの弟さんってもしかして甘い物苦手だったりしますか?」


「え?好きなはずだけど……あぁ」


 横を向いて何かに納得したトゥイさん。


「気絶してるね。おいしすぎたんだ。タミエさんの料理は全部おいしいからこうなってしまうのもしょうがないよ」


 ええええええええええ!?

 目開けたまま気絶してるの!?


うぼぁ~~。

評価とブクマありがとうございます!!


食べたことありますか?幸せになれるパンケーキ。

おいしいですよね。本当ふわっふわ。


コロナが落ち着いたらまた食べに行きたいな。


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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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