92.身内現る?
トゥイさんの様子はおかしかった。
確かに私に相談したとしてもよい解決策を持っているとは言えないかもしれない。
でも話すだけでも少しは楽になると思うんだけどなぁ。話すだけでもって女子特有なのかな?
男子は具体的な解決策が分かりそうな人に相談するのかな。
いつもお世話になっているから何か力になれたらと思い営業のあとのご飯に何のデザートにしようかと考えながら家の前に帰りついた。
「ユウトさん今日は楽しかったですね」
「そうだな。この村いや、この町でお祭りっぽいことはそういえば無かったから新鮮だった。祭りだと港町のコスカで行われるやつが盛大にやるから、時期がきたら一緒に行かないか?」
港町!そういえばこの世界に来てまだ海を見ていない。
「ぜひ!行きたいです!」
どんな海が広がっているのだろう異世界でも海は青いのかな。
楽しみが出来たぞ!
「タミエさん海が好きなのか?」
「え?どうしてですか?」
「いや、めちゃくちゃ喜んでたから」
そ、そんなに態度に出ていたかな……恥ずかしい。
はははと笑うユウトさんはとても楽しそうだった。
「まだこの世界に来て海を見たことがなかったので、どんなだろうと思って色々想像して楽しくなってました」
「そっか、じゃあ明日の営業終わり飯食べた後にでも行くか?祭りはまだ先だから、海が見える落ち着いたところにでも」
「い、いいんですか!?」
「あぁ、タミエさんがそんな喜んでくれるならいくらでも。じゃあまた明日」
微笑みを残してお家に帰っていくユウトさんもなんだかんだ海が楽しみに違いない。
足取りがだいぶ浮かれている。
もぉ人のこと言えないじゃないじゃないですか、海はきっときれいなんですね!
そして翌日。
仕事が終わったあとに楽しみがあるから、そりゃもうめちゃくちゃ張り切ってお店の準備した。
お昼前に従業員のみんなが揃い、今日取り扱うメニューの説明をして各ポジションを伝達。
今日は外の整列をオキュイさん、中の配膳をトゥイさんとユウトさん、テラス席をゴザレスさんにお願いした。
順調にお客さんに対応出来てると思ったのに玄関から「ああぁぁぁ!」という大きな声が聞こえた。
な、何事!?
慌ててキッチンから出ていけば、トゥイさんを指さし声を上げている少年?がいる。
淡い紫色のウェーブがかかっているボブぐらいの髪の長さの可愛い感じの子。
見た目は女の子と言っても過言ではないんだけど声が少年っぽい。
「兄さんここにいたの!?何度も連絡してたのに全然返事くれないなんてひどいよ!」
トゥイさんのことを指さし騒いでいる。
ということは間違いなくトゥイさんのご兄弟?なんだよね。兄妹なのかもしれないけど。
そしてトゥイさんはものすごく嫌そうな顔をしている。
他のお客さんもいるし、その場をユウトさんが対応してくれている。
その場は大人しく席に着いて普通に料理を注文しているけど、ずっとトゥイさんをジト目で見ている。
身内に見られながら仕事をするってちょっとやりにくいよね、トゥイさんはいつもよりぎこちなくなっている。
私はキッチンに戻り指定されたものをどんどん出していく、トゥイさんの弟?さんは今日のメニューの中からカツサンドを選んでいた。
今居るお客さんの分を召喚し終わったので、トゥイさんの様子を確認するためにキッチンから出てみた光景は号泣しながらカツサンド頬張る弟?をなだめているトゥイさんの姿だった。
「うぅぅ……ひっぐ」
「みっともない泣くな。後でちゃんと話を聞くから。今は仕事中なんだこれ食べたら外で待ってるか、町の宿屋を教えてくれたら後で行く」
「外でで……待ってまふぅぅ」
ユウトさんはトゥイさんが動けない代わりにせっせとお客さんに水のお替りを入れたりとせわしなく働いてくれていた。
トゥイさんの弟さんが食べ終わった回のあと3回転ぐらいしてようやく終わった。
店の看板をしまう時に外にいたオキュイさんがトゥイさんの弟?さんと少し話し込んでいた。
従業員のご飯タイムの時も外で待たせるのはどうかと思い、ご飯は提供できないけど中にどうぞとお招きした。
トゥイさんは諦めの顔をして席に座っていたので、その横に座ってもらった。
従業員のみんなは仕事終わりでお腹すいてるだろうし、お腹を満たしてからの方がイライラせず話も聞けるはず。
料理を用意してとりあえずお腹を満たしてもらおう。
みんなの意見を聞いて召喚して目の前に持って行く。
とりあえず、いただきますをしましょうか。話をしてくれるかどうかはわからないけど、まずはそれからだね。
にゃああああああ評価とブクマありがとうございます( ;∀;)
Twitterで昨日エイプリルフールの飯テロネタを呟いてみたのですが、気がむいたらまたツイッターで飯テロ画像を貼っていきたいと思います。




