9.レベル上がりました。
二回目の営業も順調に終わり、すこし遅めのお昼ごはんをユウトさんと食べる。
リビングには遠くを見つめたまま動かないトゥイさんがいるが、気にせず2人でご飯を食べる。
「ユウトさん今日もありがとうございます。外で列の整理や次回の優先チケット配ってくださって」
「いや、俺も楽しくやっているよ。なんか仕事してる感があってさ。今までが、土いじりと魔物退治ぐらいしかしてないから。新鮮でやりがいあるよ」
「ユウトさんも魔物退治してたんですか?」
「あぁ人手が足りないときに退治に協力している。ま、ゴザレスとトゥイがいればだいたい片付くけどな」
ここ最近は平和そのものでユウトさんも土いじりという名の畑仕事に精を出しているという。
ぼーっと遠くを見ていたはずのトゥイさんが会話に入ってきた。
「一人旅出来るだけの強さもってるもんねユウトさん。どうやって鍛えたの?」
「周りの冒険者と変わんねぇよ、目の前に出てきた魔物を討伐してるだけだ」
「ふぅーん」
納得いかない様子だけど、それ以上突っ込んでこないトゥイさんは「またね」と家を出て行った。
お昼を食べ終わった後のまったりした時間にステータスの確認をした。
するとレベルが上げられるとの表示。
うきうきでレベルを上げる。少しでも魔力が上がってくれたら、料理提供がしやすくなる。
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<ヒイラギ タミエ>
ジョブ 召喚士
レベル 6
体力 550/550
魔力 400/400
スキル 料理召喚Lv1(MAX5)
スキルポイント 350
◇スキルレベルアップまであと650ポイント必要
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おぉ!魔力が100増えた!
これならあと5品か6品増やしても大丈夫そう!
『盛況につき少し仕入を増やして10人以上ご案内可能になりました!
ただし追加人数は日によって異なります』
ということでしばらく続けていた。
回数を重ねれば、利益も増えているわけで事前召喚分も増やせるようになり、20人前後を一回だったのが、三回にまで増やすことが出来た。
食べ終わった人には申し訳ないけど、しばらくしたら御帰りいただいて次の人を案内するという、元の世界でもあったような行列のできる料理店みたいになってしまった。
料理店より今はパン屋みたいなもんか。
いつからご飯もの出そうか悩み中。
すでに10回以上営業しているのに人は減らない。むしろ増える一方というのはどういうことか。
いや沢山来てくれるのはありがたいにはありがたい。
しかし別に週変わりのメニューがあるわけではなく、最初の5品のまま変わりない。
飽きがきてもおかしくないはずなのに。
何度か来ている人に飽きないのか聞いてみた。
「何言ってるんだ!こんなおいしい料理飽きるわけないだろう。別に毎日食べてるわけでも無いからな。来るたびに頼むメニューを変えたりしてるし、甘いパンも美味しいな!ま、肉が入ってる方が好きだけど」
そして初来店のギルドの職員さん(女性)に話しかけられた。
「こちらの料理屋をやってくださってありがとうございます。冒険者の人達の仕事のやる気が違うんですよ。いろんな案件を受けてくれる人が増えました。人気の無かった採集案件もやってくれるぐらいなんです。こちらのお店の料理を食べる為に稼ぎを増やそうと頑張ってるみたいで。
あと甘くておいしいメロンパンを勧められてきたんですけど、本当おいしいですね。また来ますね」
そんな具合で飽きる人が今のところ居ないというのがわかった。
ギルドで冒険者だけじゃなく、職員の人にも話題になっているなんて。これはこの村の人全員来るのも時間の問題じゃないだろうか?
沢山の人が来て下さるのでユウトさんも小遣い稼ぎ程度に、
【デザートにオミはいかがですか?】ポップを作って出入り口付近にオミを数個入れたカゴを置いておいた。
オミ自体はユウトさんが以前から広めているので認知度があり、デザートとして売れていく。
ユウトさんはもしや商売上手?
村人さんたちと楽しく会話していたら、一人の冒険者さんが真剣な眼差しでこちらにやってきた。
「タミエさん、ユウトとは付き合ってないんだよな?だったら俺と付き合ってくれ!!」
公開告白に村人達は囃したてる。
突然のことに驚いてリアクションが全くできなかった。
というかまだお会いして数回程度だし、しかもここ最近は忙しくてあまり村の人たちとろくに会話も出来てませんけど。
フラグっぽいこと何もなかったよね!?
名前は確か・・・あれ?なんだっけ?
ばたばたしてて人の顔と名前なかなか一致させられなくて済みません。
「えっとぉごめんなさい。全然そういうこと考えたことありませんでした。今は恋愛には興味がなくて」
独身貴族そういうのちょっと興味なくって眼中にありませんでした。
今は収入の安定と自立について考えてました。
ずっとユウトさんの家にお世話になるのはよくないなぁ自立した方がいいなぁとは思っている。
だからと言って誰かと結婚してそこでとかそいうことは全く頭になかった。
全く怯むことなく冒険者は続けてきた。
「これからお互いを理解していけば大丈夫さ!俺はタミエさんの笑顔と料理が好きだ!」
う~ん。
私が捻くれているのか、どうにも料理が本命で私が二の次に聞こえてしまう。
「ごめんなさい」
それを見ていたユウトさんはこちらに来るなり
「俺の恩人困らせるなら俺が相手してやるぞ。俺を倒してから申し込むことだな」
な、なんで決闘になるようなことを!!
そもそも私はちゃんと興味ないって伝えてるしわざわざ戦うことないのに!
「はぁ……ユウトには勝てねぇよ」
そういって冒険者はすんなりと諦めた。
「タミエちゃんと付き合うには大変だぞ、おめーらがんばれよぉ」
とたまたま食べに来ていた村長さんが楽しそうに言ってるんですけど!?
私とお付き合いしたい人はユウトさん倒さなきゃいけなくなってない?
ここに食べに来てる村の人たちが証人になってませんか!?
なんか誤解生まれてません!?
私自由に恋愛も出来ないの!?
ってするつもり今のところないからいいんですけどね。
・・・今誰か干物って言わなかった?
そんな騒ぎの中、少し身なりの良い男の人が声を掛けてきた。
「あなたがこちらの料理を作られている方ですか?」
「あ、はい」
「私リベール商会のモデアと申します。本当においしい食事だった。失礼ですがあなたはこのような小さな場所で料理店を開くのは勿体ない!もっと大きい街に行くべきだ!私ならそのお手伝いができます。どうですか?私と一緒に商売しませんか?」
告白の次は営業がやってきました。




