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89.ご飯を食べに来た??

 どう考えてもおかしな状況だけれども対応しないわけにはいかない。


「この度は遠路はるばる足をお運びいただきありがとうございます。こちらで出来る限りのおもてなしさせていただきます」


「うむ、急な来訪への対応感謝する」


 ユウトさんが仕切ってくれているので私はそれに従うのみ。


 部屋の中に国王をはじめとする護衛の騎士やらなんやらがぞろぞろと合わせて入っていき、特別に座り心地がいいイスもないのでルディさんには普段のイスに座ってもらっている。

 入ってきた人達の中で一人、騎士ではないみたいでちょっと上質な服を着てる人。

 ずっと私をジト目?いや睨みつけるような視線の人がいる。

 わ、私礼儀間違えてる?す、すみません。


 ルディさんが片手を上げると、整列をきちんとしていた騎士達が軽く休めの状態に切り替わった。


「あぁ~堅苦しいのは面倒だな、タミエちゃん元気してた?遊び来ちゃった」


 唐突に言葉を崩されてどう対応していいかわからずすぐに言葉に出来なかった。


「おい、ルディなんでこんなぞろぞろ引き連れて来てんだよ。あと連絡遅えよ、タミエさんに謝れ」


 ええええええ!?なんでユウトさんもため口になってるのぉぉぉぉ!?

 騎士の皆さんは微動だにしないけどこの状況どう考えてもおかしくない?

 不敬罪になるんじゃないの?え?


「ごめんなぁタミエちゃん、驚かせたくてギリギリまで秘密にしてた」


 てへぺろしてくるルディさん。

 いや言葉にならない。一生懸命練習した礼儀作法は……もういいの?

 っていうか全然何もしてないような状況ですけど。


「とりあえず何しに来たんだよ、さっさと帰ってほしいんだけどな」


「つれないこと言うなよ、ここの料理をこいつらにも食わしてやりたくてな。ちゃんと金は払うぞ安心してくれ、俺様の奢りよガハハハッ」


 この場に居る全員にどうやらご飯を振る舞えという事らしい。

 前回ルディさんには絶品なチーズが挟まったハンバーガーをたしか提供したはず。


 今回も同じものでいいだろうか?

 それとも今出せる一番高い物でも提供したらいいのだろうか?と考えていたらそれを察したかのようにユウトさんがルディさんに質問をしてくれた。


「こないだと同じでいいか?」


「いや、別のものが食べたい。噂によると食べ終わった後の食器洗いが楽な黄色いのが乗った肉がうまいと聞いたがそれがいい」


 食器洗いが楽なって……あ、パイナップルハンバーグディッシュですか?

 なんてピンポイントっていうかこれを勧めたのってもしかしなくてもモデアさんじゃない?


 ルディさんは連れてきた人たちを着席させると、よろしく!と言ってお金を差し出してきた。

 私はかしこまりましたとキッチンに向かうと、ユウトさんがいつも通りに座っている人たちへ水を配り始めた。


 人数分のパイナップルハンバーグディッシュを用意して、どんどん配膳していく。

 ルディさん以外はこの店の料理が初めてだけど、そもそもお米大丈夫かな。


 席に着いている人たちは見たことのない料理だからまじまじと観察している。

 ルディさんはいただきますと食べ始め、それを見た他の人達も恐る恐る一口食べているのが面白い。


「ん!?」


 ルディさんが声を上げビクッとなってから、一拍おいて他の人達もビクっとなりものすごい勢いで食べ始めた。

 しかし、あの睨みつけてきた一人だけハンバーグの断面を見たりお米を観察したりしてる人がいる。

 食材をまじまじ見て何を怪しんでいるんだろう。


 一人食べるのが遅くなったその人は、急いで食べ始めようやく食べ終わるとルディさんに発言の許可を得てから立ち上がりこちらに向かってきた。


「貴女がここの料理人でよろしいでしょうか?」


「はい」


「弟子入りさせてください!!」


「……はい?」


「私は王宮で料理長をしている者です。今まで王宮の皆様に満足して召し上がっていただく為、料理の研究を怠ったことはありません。故に、この国で一番おいしい物を提供出来ていると思っておりました。しかし私は井の中の蛙だったことを痛感しました。どうか、私を弟子にしていただけないでしょうか!!」


 あわわわ……。

 ご、ごめんなさい。私作ってないから教えられることが無いです。

 そもそも作るための調味料が多分足りない。

 お肉だってこの世界で牛っぽいものがあるかどうかすら知らない。


「も、申し訳ありません。弟子はとってないです」


 キレイな土下座が私の足元に出来上がった。


「そこをなんとか!どうか!」


「ご、ごめんなさい」


 っていうかみんな見てるし土下座しないでぇぇ!

 そりゃおいしい料理が増えたらいいと思うよ私だって。

 でも、私の場合作ってないから教えられない。召喚してるだけだからごめんなさい。

 後世に残すことが出来ないものでごめんなさい。


「お~い料理長、タミエちゃん困ってるからその辺にしといてくれ、そろそろ勇者様が動きだそうだ」


 ルディさんがそういうとしょんぼりと自分が座っていた席に戻った。

 ユウトさんがすっごい形相でルディさんを見てて、ルディさんは苦笑いをしている。


「悪かったなぁタミエちゃん。料理長も職人だからなぁ滅多に頭を下げないんだぜ?いやぁ珍しいものみれた」


「で、ルディ食い終わったから帰るんだろ?」


「いや、もう一個用があるんだ」


「タミエちゃん、いや多種多様店主タミエ、此度は領地の繁栄に貢献した功績を称え爵位を其方に授けようと思う」


「「なっ!?」」


 ユウトさんとシンクロしてしまった。

 いや、そうでしょ?唐突に爵位あげますって。

 えええええええ??

 要らない!全然要らない!!


 独身貴族が本当に貴族になるなんて嫌です!!

 き、貴族ってあれでしょ?領地経営とかしなきゃいけないんでしょ?領民のこと守ります的な例のアレですよね?なんだっけ、ほら、なんとかオブリージュ?


 無理無理無理無理ぃ!!

 な、なんとかお断りしたい。


誤字報告ありがとうございます。

本当助かります。っていうか自分で気づけよって話ですよね。すみません。


しかも、ブクマと評価がまた増えている・・・神よ。( ;∀;)ありがたやーありがたやー!!


それにしてもめっちゃ雪降りましたね。

寒くて布団から中々出れませんでした。

故にストックも出来ませんでした。


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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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