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79.肉は正義

 昨日はオキュイさんという新たな従業員を獲得したのと、焼肉の実験台になってくれた三人のおかげで焼肉は需要があるというのが分かった。


 とても楽しい時間だったけど、昨日はキッチンから焼肉の煙が部屋中に充満してだいぶ臭かった。

 肉を焼いて臭くなった部屋はユウトさんの生活魔法できれいにしてもらったので事なきを得たけど、もし商品化するとするなら家の中じゃなくて外でやってほしい。そこでテラスの出番。


 実はまだテラスの有効活用がいまいちだなと思っていたけど、コンロもしくは七輪ができれば外で焼き放題!別にテラスを作ってもらったのは焼肉のためじゃないけど今は休みの日に私がちょっとぼーっとしたりするのにしか使ってなかったからちょうどいいなぁと。


 独身貴族の私は普通に一人焼肉にも行くんだけど、お店によって小さい長方形のコンロが出てくる。

 網と言うかシマシマに穴の開いた鉄板で一人分を焼く。七輪で焼くのもいいけど、テラス席で置くってなると、小さいほうがいいだろう。


 そのためにはロムオンさんに作ってもらえるか相談しにいかないと。


 朝ご飯を食べて終えてユウトさんが一緒についてきてくれることになった。

 ロムオンさんは、現在自分のお家の建造していてもうそろそろ完成するらしい。


 お忙しいところ申し訳ないけど、私もコンロが欲しいのです。一人前用のミニ焼肉コンロが。

 この村で建築と小物修理屋を営む予定のロムオンさんのお家は大通りにあるかと思いきや、村の端のほうだった。

 お家も流石完成に近いだけあってもう住めそうな感じ。しかも、我が家に取り入れてもらったスライド式の窓を早速取り付けている。


 確か王都でも端に住んでるって言ってなかった?

 端っこ好きなのかな。


「ロムオンさ~ん!」


 呼びかければ作業していた手を止めてこちらに手を振り返してくれる。


「どうしたタミエ、珍しいのぉこんなところまで来るとは。家はあとちょっとで完成するからその時はお祝いに来てくれるかのぉ?」


「あ、はい是非」


「祝い酒があると嬉しいんじゃが……」


 ちらっと上目遣いをしてくるけど、おじいちゃんの上目遣いって……私には響かないからね!


「少しだけですよ。あ、すみません、お忙しいのわかっててご相談なんですけど、ミニコンロっていうの作ってもらえませんか?」


 馴染みのないミニコンロという単語を聞いてものづくり魂に少し火が付いたみたい。

 私のおぼろげな記憶を頼りに何とか形状を伝えると、地面に絵を描き始めたロムオンさんに私も描き加えていく。

 頼むのはコンロの部分。鉄板は道具屋のおじさんに頼もうと思っている。

 火加減の調整とかそういう細工部分はロムオンさんに作ってもらった方がいいものが出来上がるはず。


 するとうんうんと首を頷かせている。


「タミエはわしの知らんことをいっぱい知っておるのぉ、今度タミエのいた村に連れて行ってくれんかのぉ?」


 え……それは無理ですよロムオンさん、女神曰く一方通行って言ってましたから。

 助けを求めるべく一緒に来ていたユウトさんを見れば、目が任せろと言っているような気がする。


「わりぃなロム爺、タミエさんの村は訳あって特定の条件がある人間しか行けないんだ」


「その条件はなんじゃ!わしだって今から頑張ればできることかもしれないじゃろ!」


「それは教えられない。タミエさんの村を守るためだからだ」


 私の知らない設定が盛り込まれた架空の村が誕生した。

 どこにあるんですかそんな村、と突っ込んでしまいたいけどユウトさんに話を合わせておく。


「すみませんロムオンさん決まりなので」


 むぅと唸るとすごく残念そうに諦めてくれた。


「ロムオンさんどうでしょう?作れそうでしょうか?」


「わしを誰だと思っておるのじゃ!作れないわけなかろう!」


「そしたら作っていただけるということでしょうか?」


「無論じゃ!」


「そしたらおいくら支払えばいいですか?」


 それを聞いたロムオンさんはしばらく考えたのち条件を提示してきた。


「金ではなく酒で払ってくれ!この間の酒をくれ」


 流石酒飲みは違いますね、報酬がお金じゃなくてお酒ですか。

 分量どれぐらいですかね?この間は水差しに入れ替えて注いでいたのだけれど、水差し一杯分でいいだろうか?


「そしたら、水差し一杯分でどうでしょう?」


「いや、この間の水差しの大きさなら三杯じゃ!」


 三杯か……あの水差し一杯分の日本酒は原価で1200Vそれが三倍。

 悪くない値段かな。交渉するの得意ではないし相手はロムオンさんだしま、いいか。


「……うーんわかりました、三杯でお願いします」


「あいわかった、今から作り始めるぞい!」


「え!?お家は?」


「そんなもん後回しじゃ!すでに雨風がしのげるのじゃ完成でもいいぐらいじゃ!」


 お酒への執念をみた。

 説明が終わっているのでそのままロムオンさんの家を後にした。


 家に帰る途中道具屋さんにも立ち寄った。

 焼肉をするのに欠かせない鉄板を依頼しに。

 ただ、ロムオンさんが作ったコンロを見なければ、鉄板のサイズを決められないから鉄板加工が出来るかを聞きに来た。


 一か所だけ贔屓にするのはよくないよね。

 道具屋のドアをあけ、おじさんに挨拶。


「よぉタミエちゃん今日はどうした?」


「お願いがあるんですけど……」


 そういって鉄板を説明して作れそうかを確認して、ついでに肉をひっくり返すためのトングもできるかどうか聞いてみたらトングについては試作してみるから出来たら見てみてくれとのこと。


 うんうん、順調に焼肉布教準備ができてます。

 セルフサービスで肉を焼かせるなんて冒険者はまぁ旅先であるだろうけど、お店の提供ってまだないと思うんだよね。



 ここで人気が出れば、ロムオンさんが作ってくれるコンロや、道具屋のおじさんたちにも依頼が行くよね。

 ただ、ロムオンさんの場合気に入った人にしか作らないらしいから、もしかすると道具屋のおじさんが見様見真似で作ることになるかも?


 まぁ、なんにせよ流行れ焼肉!

 肉は正義!

うふぉあ!評価とブクマありがとうございます( ;∀;)

更新頑張りますぞぉ!!


焼肉食べたい。タンが好き。



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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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