74.味噌煮が食べたかったから
かなりハイペースで浴びるように飲むロムオンさんほんのり頬を赤らめているが、滑舌も問題なく寄って酔っているように見えない。実際まだ酔っていないのかもしれない。
しかし飲みすぎだ。まだ料理にも手を付けていないのにお酒だけガンガン消費していく。
もちろんお酒代はその都度請求している。
酔っぱらって払ってもらえなくなってしまうと困るからね。
新しいお酒にご機嫌なロムオンさんにユウトさんから小言が。
「この村に住むのも多分村長からは許可が下りるだろうが、ここに住むのはタミエさんが出してくれた酒目当てだろ?」
「そうじゃ」
「だったら稼がないといけないよな?この村じゃロム爺のお眼鏡に適うやつようなやつが居ないだろ?俺だって武器は手入れしてもらっているが、そんなにいっぱい武器は持ってないから頻繁に頼むことはしないぞ?」
「なぁに、タミエの料理がいまや王都まで噂が届いておるのじゃ、移住者はこれからも増えるじゃろうから、そ奴らの家を建ててやればいいだけのことよ。わしは別に鍛冶以外も出来るのでのぉ」
ロムオンさんの中でここに移住することが決定事項になっておりますが、肝心のことをお忘れですよ。
「あのぉ、このお酒はお店の看板完成記念の為の特別なものなので、普段の営業では出しませんよ?」
世界の終りのような絶望の顔をしている。
今まで営業中にお酒類は一切出さず、お酒を出すのは何かしらのお祝い事や打ち上げ的なことにしか今まで出してない。
何故出さないのか。
そんなことしたら村の料理屋で冒険者達から稼いでるおじさんとおばさんの店に影響が出てしまうから。
お昼だけの営業なら、この後まだ予定がある人が多いからお酒を飲んでいる場合じゃない。
それに酔っ払い対応なんてしたくない。
お酒は気が知れてる人たちにしか振舞いません。
「タ、タミエェ~どこで仕入れたんじゃ~~~」
「秘密です。それよりも料理冷めちゃうから早く食べましょう」
折角出した魚料理たちが冷めてしまう。
食べたかったんだ~サバの味噌煮。
味噌がこの世界にあるかどうかは知らないけど、身体が味噌を求めていたのです。
あぁぁ~おいしい!そうそうこれだよ、味噌煮の香りで白米いっぱい食べれる。
ホッケも身がほろほろとほどけていく口どけ。
そしてカキフライも口の中でカキの旨味がジュワ~っと広がってお酒がすすんでしまう。
ユウトさんも、一口目がサバの味噌煮に手を付けていてやっぱ中々食べれない味噌味の料理に惹かれてしまうよなぁと私一人で納得していた。
ロムオンさんはお酒ショックからまだ立ち直れておらず、グラスに注いであるお酒をそれはそれは大事そうにちびちび飲んでいる。
ホッケを取り皿に取り分けてロムオンさんに渡す。
「そのお酒とこのお料理合いますよ」
そういうとノロノロと動きホッケを口に入れると、グラスに入っていたお酒を一気にあおりとても満足そうな表情をしている。
ふふふ、やはり日本酒にはお魚料理だね。
ロムオンさんにはお家を建ててもらった恩があるので、お酒は店で提供しないとは言ったけどもしこの村に住むのであれば、ユウトさんみたいに晩御飯を一緒に食べるメンツに加われば解決すると思うんだよね。
賑やかな食卓になるのはいいと思う。
ただ、ロムオンさんはめちゃくちゃお酒飲むみたいだから、それが毎日って言うのは辛い。
「もし、ロムオンさんがこの村に住めるようになったら、週に一度ぐらいだったら一緒に夜ご飯食べるとき限定でお酒提供してもいいですよ」
それを言われたロムオンさんはゆっくりと私に顔を向け拝み始めた。
お、お酒だけで拝まれるなんて。
何故か今度はユウトさんが絶望に染まっている表情をしている。
あ、お家から出って言ってもらいたいのかもしれない!その辺もロムオンさんに条件出しておかないとね。ユウトさんに迷惑が掛からないようにしなきゃ。
「それから、お家はちゃんと自分用のお家建ててお引越しはしてくださいね。ちゃんと自立してる人にしかお酒は提供しません」
うんうんと珍しく話をしっかり聞いてくれている様子のロムオンさんに一安心。
これでユウトさんも心休まるだろう。
順風満帆な日常が続くと思っているところに、王都からの問題がやって来ているだなんて思っていませんでした。
誤字報告ありがとうございます!
ブクマも評価もありがとうございます。
魚料理食べたい。
うつぼって食べれるんですよね、びっくりしました。




