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73.看板づくりと日本酒

 バタバタとした営業日の翌日。

 ロムオンさんに看板をお願いするためにユウトさんの家のドアをノックした。


「おはようございます。タミエです。ロムオンさんいらっしゃいますか?」


 家の中からぱたぱたとこちらに来る足音が響く。

 玄関のドアを開けてくれたのはユウトさん。


「おはようタミエさん。中に上がってくれ」


 慣れ親しんだユウトさん家のリビングにてロムオンさんを待つ。

 我が家のリビング兼飲食スペースが広いからか、他の人の家と比べたら全然広いのにユウトさんの家のリビングが狭く感じる。


 階段から人が降りてくる音が聞こえるから、そろそろロムオンさんが来るみたい。


「おぉ!タミエ元気にしておったか?家の調子はどうじゃ?何か不具合とかは無いか?」


「今のところ不具合は無いです。ロムオンさんの技術力はすごいですね!感謝してます」


「ファファファ!そうじゃろ!」


 ご機嫌なロムオンさん。若干目の下にクマが出来てるけど大丈夫かな?


「ところでわしに用があると聞いたのじゃが」


「あ、あのお店の名前が決まりましたので、看板を作っていただけないかな~と」


「わしもそう思っておったのじゃ!、家としては完成しておるが、店なのに名前が無いのが物足りないなぁと。して、名前はなんて言うんじゃ?」


「はい、『多種多様』っていいます」


 一瞬真顔になり目を閉じ何か考え込んでいる様子。

 しばらくして顔を上げるとクワっと目を見開きこちらを見ると自信満々な顔を向けてきた。


「わしが最高の看板を作ってやるぞい!」


 なんだかすごいやる気のロムオンさん。デザインとか考えてくれていたのかな?

 これでお店の顔となる看板を作ってもらうお約束が出来たので楽しみに待っていよう。


「じゃあちょっくら今やってる作業終わらせてから看板作り始めるとするかのぉ」


「急いでないんでロムオンさんの都合のいい時にお願いします」


「任しておけぇ~」


 そういって再び二階に上がって行った。

 まったりとお茶を飲んでいたユウトさんはボソッとロムオンさんのことを呟いた。


「モノづくりの技術はすごいんだから、もっと人の話を聞けばいいのに」


 確かにモノづくりの技術はすごい。家が建てられるし確かここに来たのもユウトさんの剣のメンテナンスだとか言っていた気がする。ユウトさんにロムオンさんについて聞いてみた。


「ロムオンさんってメインのお仕事って何してるんですか?」


「あぁ、一応鍛冶士だな。建築もそうだが、彫金や革細工なんかも出来るらしい。モノづくり全般につよいぞ。王都の端に店を構えているが、ロム爺が気に入ったやつしか対応しないんだ。ロム爺が打った剣は刃こぼれしにくくて、切れ味も良い。剣を嗜む奴らはみんなロム爺に剣を作って欲しいと言っているんだ」


 そ、そんな人がユウトさんの剣のメンテナンスしてるんだ。すごい。

 っていうかすごい人に家建ててもらったんだ……。


 そんな事実を知り、家を大切にしようと改めて思いました。


 数日後ロムオンさんが看板を作ってくれました。

 木の素材を活かしたデザインで、丸太を輪切りにしたものに一文字ずつ文字を彫りいれてあり、団子のように文字数分の四つ『多種多様』と丸が並んでいる。


 素敵!!他にないデザインだと思う!

 看板が完成したので、我が家で看板完成プチ祝いをユウトさんとロムオンさんの三人で行いました。


 ロムオンさんがお酒が好きなのはお家が出来た時のパーティーでも明らかだったので、せっかくスキルレベルが上がって日本酒が出せるようになったんだから、飲んでみてもらおう。


 お料理もお魚料理メインで召喚。

 もう一つの食卓と言われているチェーン店の海の幸シリーズ。

 サバの味噌煮、ほっけの炭火焼き、カキフライを召喚して食卓に持って行く。


 見慣れない料理にロムオンさんは首をかしげていた。

 しかしお酒を持って行ったらそれはそれはまるでおもちゃを買ってもらった少年のように目を輝かせていた。

 見た目はおじいちゃんだけど。


 この世界のお酒と比べると度数が強いだろうから、少なめにグラスに注いだけどロムオンさんからお小言

 が。


「わし、看板づくりめっちゃ頑張ったのにこれっぽっちの酒しかもらえんのか?」


「いえ、お替りはあるんですけど、度数が強いのでまずはお試しで飲んでもらって大丈夫だったらいっぱい注ぎますよ」


 一口酒を口に入れれば、ロムオンさんの目が飛び出しそうになっている。


「うまい!!なんじゃこれは!うますぎる!!こんな酒は初めてじゃ!これはどこで仕入れたんじゃ!!」


 ギラギラとした目でこっちを見られておりますが、仕入れ……スマホです。

 なんて答えよう。


「ひ、秘密です」


「そうかぁ……そりゃそうじゃな、商人の商売道具じゃもんなぁ」


 意外とあきらめが早かった。

 と思ったが、早い理由がありました。


「よし、わしこの村に住むぞい。王都の店はやめる!」


 ええ!?

 それはまずいのでは?いくらロムオンさんが気に入った人相手にしか商売しないからって、王都からいなくなったら困る人が絶対いるはず。



「おい、ロム爺そんなことしたら王都の冒険者たちが困るだろうが」


「知ったことか!わしはわしが作りたいものを作るだけのこと。王都の冒険者たちの中に面白い奴らが居るのは認めるが、この村にはユウトがおる。別にわしは困りはせん!」


「いや、だからロム爺が困るんじゃなくて、王都の冒険者たちがだな……」


 話している最中だけど、ロムオンさんの意思は揺るがないらしい。


「わしはこの村に住むんじゃ!!明日村長に話をつけに行くわい!」


 ほとんど周りが見えていないロムオンさんにユウトさんが大きなため息をついた。

 日本酒出さない方がよかった……?

ブクマありがとうごじゃいます。

評価もありがとうございます。


眠い・・ですぅ。(4:02)

日本酒好きです・・・


誤字あったらごめんなさい。

起きれたら確認しま・・・す・・・

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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