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71.魔除けアイテム

 初心に帰りハンバーガーを提供しよう。

 ただし、お店違いのやつね。


 今回のハンバーガーはチーズが絶品なところのやつ。ほんの気持ち程度お肉の味がいい気がする。あくまでも個人の意見だけれど。


 そして前回モデアさんと食事した時の反省を活かして今日の食事はみんなおんなじ物を提供しよう。

 このお店の一押しであろうチーズバーガーを3つ召喚してお皿に盛り付けなおしてリビングに持って行く。


 すると真っ先にユウトさんが反応した。


「こ、これは!」


「はい、チーズバーガーです」


 一応ナイフとフォークを用意した。

 貴族は手で食べるなんてしないだろうからね。

 私とユウトさんの分の食器類を用意して、いただきます。


 ハンバーガーをナイフとフォークを使って食べるなんて少し違和感あるけど貴族様の前では仕方なし。

 って思ってたのにユウトさん普通に手づかみで食べてる!?


 それを見ていたルディさんも手でつかんで食べ始めた。

 え?貴族的にそれはありなの?とルディさんを見て驚きを隠せないでいた。


「うまいな!そりゃ並びもするなぁ!いやぁ来れてよかった!」


「これはまだ店でも出してない料理だ。新メニューで出す予定?」


「え、あ、そう言うつもりじゃなかったんですけど」


 ルディさんは貴族じゃないの?私も手づかみで食べていい?

 流れに身を任せ持っていたナイフとフォークを置いて手づかみでバーガーを頬張る。


 あぁこのチーズたまりませんねぇ~。お肉からあふれる肉汁さらにチーズの濃厚なうまみがやみつきになる。みんなぺろりと平らげてしまった。


 私的には腹八分目ぐらいでちょうどいいけど男性陣には少なかった様子。


「タミエさん、お金払うからもう一個いいか?」


 その言葉を聞いたルディさんも目をギラつかせ追随してきた。


「俺様もいいか?もちろんいい値で払うぞ!いくらでも言うといい!」


 えっと……まぁ断る理由もないしとお金をもらって再びキッチンに行き召喚をした。

 二個目のバーガーもぺろりと食べ終わってとても幸せそうな顔をしているルディさん。


「美味かったよ、嬢ちゃんうちに来ないか?特別な待遇を約束をするぜ?」


 それを聞いたユウトさんがもの凄いにらみを利かせている。


「おいユウトそんな睨むんじゃねぇ……冗談だ、って言うか俺様にそんな態度とるの本当お前ぐらいなもんだよ」


 ルディさんがどんな地位の人かはわからないけど、ユウトさんは対等に渡り合っている。


「嬢ちゃん今日はありがとうな!お礼に魔除けアイテムを今度送るから店の前にでも付けておくといい。役に立つはずだ。そういえば、店の名前なんて言うんだ?」


 そうだ、まだユウトさんにすら言ってなかった。


「えっとお店の名前は『多種多様』っていいます」


「ほぉ面白い名前じゃねぇの!気に入った。また来るぜ」


「ありがとうございます。是非また来てくださいね」


 それを聞いたルディさんはなぜかドヤ顔でユウトさんを見る。

 ドヤ顔を向けられたユウトさんはスッと席を立ちルディさんの方へ歩み寄り腕をつかむと瞬間目の前でテレポートをした。


 確かに外は薄暗いから急いで送り届けたほうがいいかもしれない。貴族だったら帰らないときっと家の人たちがわたわたしちゃうもんね。

 ユウトさんが躊躇いもなくテレポートするってことはある程度事情を知ってる人なんだろうなぁ。

 ルディさんって何をしてる人なんだろう。


 そして後日本当にルディさんから魔除けのアイテムと呼ばれるものが届いた。

 木箱に入ったそれは、野球のホームベースを逆さまにしたというか、盾みたいな形をした白銀のプレート。

 そしてそのプレートには剣と槍をクロスさせた模様の上に鳥が描かれていた。

 プレートの上部には『多種多様』と文字が彫られている。


 何のマークだろう?見たことがない。

 冒険者ギルドのマークは剣と盾が描かれてるやつだし、商業ギルドは握手しているようなマークだったはず。


 その日の夕食時にユウトさんに見せると、食べてたものをブフッと噴いてた。

 そんなにすごい魔除けなの?


「タミエさんそれはこの国の紋章だ」


 ええぇ!!何で国の紋章が!?


「ルディのやつ……やりすぎだろ」


「あの、これは一体どういう……」


 まったく事情が飲み込めないのでこのプレートが魔除けと言う意味を聞いた。


「まぁこのプレートは国が認めた店または懇意にしている店だと知らしめるようなものだな。そんな店にちょっかいを出すような奴が居たら、国に喧嘩売ってるとみなすぞっていう意味がある。だからルディのやつは魔除けって言ってたみたいだ」


「わぁ……。そ、そんなすごい物だったんですか…………」


 このプレートがあればミステイストみたいな奴は寄ってこないという事だろう。

 確かに魔除け。


「あ、あの、そんなすごい物を送ってくることのできるルディさんって何をしている人なんですか?」


「そういえば王都に行くことがないからこの国の王の名前を伝えてなかった。すまない。ルディ、いやルシュディ=フォン=アウルゼンはこの国の王だ」


 ユウトさんの言ってる意味が分からない。だってあんな気さくな人が?王?

 もっとこう王様のイメージって下々の者が気軽に話せるような人じゃないし、公式行事とかで堅苦しい挨拶とかしてそうな感じでしょ?

 ルディさんからそんな雰囲気かけらも感じなかったよ?確か仕事も息子に押し付けてくるような人でしょ?


「タミエさんが言葉を失うのも分かるが、事実だ。あいつはひょいひょい外出していい立場じゃないのに人の目盗んでは王宮から抜け出すんだ。ま、やるときはやるだけの実力はあるんだけどな」


「わ、わ、私不敬罪とかになりませんか?お誘い受けなかったし……」


「平気だ、なんかあっても俺がタミエさんを守る」


 なんと心強い。勇者に守られるなんて……って今までもそうだったわ。

 ユウトさんありがとうございます。


 まさかまさかの国を味方に付けてしまったので、もしかしなくてもお客様が今までに以上にやってくる気がする。

うわああん!ブクマありがとうございます。

評価もありがとうございます。


おかげさまで、PVが今までより増えました。

本当にありがとうございます。

初投稿作品でこんなに見ていただけて幸せ者です。

完結まで頑張ります!!


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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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