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67.朝ごはんを一緒に

ユウト視点

 新しい家は内装が俺の家よりだいぶ凝っていて、タミエさんの趣味全開といったところだろうか。

 テラス席もあるし何よりスライド式窓ガラスって言うのは、考えてみればこの世界で見たことがなかった。


 しかも今後こうやってタミエさんと一緒にご飯を食べるのは、営業日だけになってしまう。

 この日を大事に過ごした。


 そして新しい店になってからの初日。

 俺はタミエさんに頼られる男になるべく、身体強化を駆使して最高のサービスを客たちに行なった。

 どうだいタミエさん!俺はやれば出来る男だろ?


 元の世界に居た時は飲食店で働いたことは無かったが、そんな自分でもこんなに接客が出来るのかとちょっと自画自賛だ。


 そうしてその日は終わったが、翌朝いままで居た人が居ないというのはだいぶ寂しいものがある。

 今までのように朝の挨拶、朝食を食べながらの他愛ない会話が無い。


 タミエさんが来る前は自分で朝ごはんを用意して食べるのが普通だったのに、今の俺の当たり前はタミエさんと食事をすること。


 口実を作ってタミエさんと朝ごはんを食べよう。

 みっともなくたっていい、俺はタミエさんと一緒に居たい。

 まだ寝ているロム爺は適当に自分で食いに行くだろうと思い放っておいた。


 タミエさんも美味しいと言ってくれたオミを収穫して、家の前に来たものの索敵魔法ので表示されるタミエさんの位置が全く動かない。

 これはまだ寝ているのかもしれない。


 一旦自分の家に戻り、タミエさんの反応が動いたら家を訪ねることにしよう。


 所謂ブランチの時間頃にタミエさんが動き出した。

 俺も家を出て玄関まで行きノックをした。


 だが、タミエさんを見た瞬間なんて挨拶しようか考えてたのに緊張で言おうと思っていたことが頭から消え去ってしまった。


「タミエさん……その……お隣さんだしオミのおすそ分けに来たんだ」


 出てきた言葉はまとまりのないことこの上ない。

 白々しいにもほどがある。

 自分で言ってとても恥ずかしい。


 そんな俺の様子を理解したのかどうかわからないけど、タミエさんから一緒に食事しましょうと言ってもらえた。

 まるでタミエさんに求められているかのような感覚になる。こんなに嬉しいことはない!


 そして寝起きのぽわっとした状態の笑顔が可愛すぎる!

 こうやって一緒に食べれる時間を毎日でも続けたい。

 今日の理由はオミのおすそ分けだが、明日はなんて言って一緒にご飯食べよう。


 いや、俺も男。

 どうせ朝みっともない姿を見せてるんだ、このまま言ってしまえ!


「タミエさん、家は別々になっちまったが迷惑でなければ今後も一緒にご飯を食べないか?」


 よっし、言ってやったぞ。

 どんな反応が返ってくるかとタミエさんを見れば、少し目を見開き驚きの表情をしてたが照れながら小さな声で「……はい、お願いします」と返ってきた。


 声を大にして叫びたかったがなんとか抑え、満面の笑みで「これからもよろしく」と返した。


 この後の予定がなかったら一緒に冒険者ギルドで採集案件受けないか?

 そう聞いたが、タミエさんは予定があるという事で「また今度採集しましょう」と断られた。

 意外だ。今までは特に大体予定がないから誘いを断られたことがないのだが、今日は断られた。


 この村のみんなと仲のいいタミエさんだが、特定の親友を作ったりしている様子が無いのに予定というのは何だろうか?


 よし、危ない目に遭うといけないから、俺は陰からタミエさんを見守ることにしよう。

 断じてストーカーではない。


 朝ごはんを食べ終え俺は自分の家に帰り、索敵魔法でタミエさんが移動し始めたらいつでも動けるように待機しておいた。


 良く寝ていたようやく起きてきて開口一番ロム爺は飯はまだか?と聞いてきたが、そんなサービスはうちにはありません。

 気軽に家なんか建てやがって、そんなロム爺にご飯用意するわけないだろったく。

 村に行って食ってこい。


「そうじゃユウト渡し忘れておったわい」


 寝起きのだるそうな声で短剣を差し出してきた。

 そういえばメンテナンスしてもらっていたな。


「次はどれを預かればよいかのぉ?」


 ぐぬぅ、家を建てたことはむかついているが、ロム爺の鍛冶の腕はこの国で最高と言われているからな。

 悔しいがロングソードを預けることにする。

 ついでにロム爺に彫金が出来るか聞いてみたらそんなの余裕じゃとドヤ顔を決められた。


「ロム爺、そしたらこれをペンダントにしてほしい」


 そう言って星々の雫を差し出せば、嬉々として作業に取り掛かってくれた。

 さっきまで飯はまだか?と言っていたはずなのに星々の雫を見た途端、飯を忘れて作業に意識が持って行かれている。

 こういう匠の仕事を振ると活き活きしている。


 いい感じに加工してくれたら、まぁ家を建てたことを許してやらんでもない。



 そうこうしてたら、家の中をちょこちょこと動いていたタミエさんはしばらくリビングで動きを止めてから、家を出た。


 距離を開けてタミエさんを見守る。

 タミエさんが向かった先は村の商店だった。

 お店で世間話っぽいのをしているが、何か依頼でもしているんだろうか。


 特に何も買わずに店を出てきたタミエさんは再び歩き出し、村を散策している。

 結局そのまま他の店に寄っても何も買わずに出て家に帰って行った。


 一体何をしていたのか俺には全く分からなかった。

見に来てくださりありがとうございます!!


次回はタミエ視点に戻りますよ。


レベル上がったんだから色々やってもらわないと!

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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