63.一人暮らしのデメリット
一階に降り食べたかったアレを召喚する。
念のためにリビングじゃなくてキッチンで。
<チェーン店のお好み焼き(豚玉)>
SR
魔力100 金額900V
う~ん!ソースの良い香り、かつおぶしが湯気でふわふわ踊っているかのよう。
食べたかったんだよぉぉお好み焼き。ふっくら焼き上げられた生地から湯気が出ていて猫舌の人はすぐに食べれない温度だ。
リビングからイスを一個持ってきてそのままキッチンで食べる。広いリビングに一人でごはんって楽しくないからね。
一人ハフハフしながらお好み焼きを一人前ぺろりと食した。
あ~おいしい!野菜もお肉も一緒に食べれるお好み焼き大好き。
ただ、いままでずっとユウトさんと朝昼晩とご飯を共に過ごしてたから今のこの状況がとってもさみしく感じる。
さっき仕事終わりのゴザレスさんやユウトさんと食べておけばよかったなと思った。
ユウトさんは今日の晩御飯どうするんだろう。
あとでユウトさんの家に行こうかな。でも自立して自分で生計を立ててやっていくって決めたのに、すぐにユウトさんに頼るのはよくないよね。
あくまで、今は一人に慣れてないからそう思うだけだ。2、3日したらきっとこんな風に思わなくなるよね。
そうだ私は生活魔法が使えないから、これからは掃除洗濯いろいろやることが増えたんだ。
作業をすれば今の心のモヤモヤを考えなくて済むと思い、まずは食事の片づけを。
お好み焼きが乗っていたお皿を水に浸すと光の粒となって皿が消える。
すぐ終わった。
他に何かすることは……。
リビングのテーブルはユウトさんが終業後のご飯後にきれいにしてくれた。
キッチンも元々料理をしてないから汚れていない。
新築で今のところ気になる場所はない。
即ち、やることはない。
余計な事を考えないように、食べた後すぐ横になると太るとかそういうことを考えず自分の部屋に行きベッドにダイブした。
ようやく目を覚ますと薄暗く、この薄暗さがこれから夜になるかそれとも朝になるかわからなかった。
一人で暮らすには広いこの家で特にすることもないので、お手洗いに行ってから再びベッドにダイブするのに時間はかからなかった。
盛大な二度寝をして起きればさすがに朝になっていた。
よたよたと一階に降りて朝ごはんを召喚すべくキッチンに向かおうとしたら、玄関をノックされた。
どちら様ですか?と開ければそこに居たのはユウトさんだった。
「タミエさん……その……お隣さんだしオミのおすそ分けに来たんだ」
いつにないちょっとオドオドした感じのユウトさんが少しおかしくて、そして本来であればオミを売ってるはずなのにおすそ分けしてくれるだなんて、もしかしたらユウトさんも私と同じ気持ちなのかもしれない。
いままで当たり前だった朝昼晩を共にしてたのに、それが無くなったから調子が狂うっていうか、ストレートに言えば寂しい気持ち。
ユウトさんの本当の気持ちはわからないけど、きっと一人で食べるご飯は味気なくてつまらない、そう思ってここに来てくれたのかな。
私自身の気持ちをユウトさんに読まれているかは分からないけど、せっかく来てもらったからちょっと頼らせてもらおう。
「おはようございます、ユウトさん。オミありがとうございます。もう朝ごはん食べました?私これからなんですけど、よかったら一緒にどうでしょう?」
ユウトさんはさっきまでのオドオドした雰囲気がどっかに行って、一瞬で明るい顔になった。
なんだったら背景は花とかあってもいいぐらい。
一緒にご飯を食べれることの有難みを感じながら朝ごはん食べた。
食後のデザートはユウトさんが持ってきてくれたオミを二人でつまみながら他愛ない会話をする。
考えてみたら今日は営業もなく掃除をした後は特にすることがなかった。
もしユウトさんが来てなかったら、誰とも会話することなく家でダラダラして今日という日が終わってたかも。
……コミュ障か?
そ、そんなばかな!?
いままで社会人として円滑に業務が出来ていたのもある程度コミュニケーション能力があるからこそ。
いくら異世界で右も左もわからないとはいえ、それなりの時間を過ごしてるから村に買いもに行くのだって行けるはずなのだ。
でも思い返してみてもいつも誰かと一緒に買い物をして、一人で村や町をふらつくことがなかった。
よし、これから一人でウィンドウショッピングをしに行くぞ!!
うわあああああああん、評価とブクマありがとうございます。
昨日は10時に更新できなくてごめんなさあああああい!!(16時に更新してすみません)
ストック作れるようになりたい・・・。
あ、今日ひな祭り?もしかしてひな祭り?




